7月25日松下幸之助一日一話(松下幸之助.COM)
三回ダメを押す
新しい仕事をするときはよ ほど注意をしなければいけない。その仕事を進めていくとき、上長の人に承諾を得ても、実行するに当たっては、三回ダメを押したい。一度だけ「よろしい か」、「ああよかろう」と承認されても、それで事足れりとしてはいけない。そして後でうまくいかなかったときに、「あのときに上長のあなたが承諾したから やったのだ」というようなことを言うのは、言う方が間違っていると考えるべきだと思う。
一度はんを押してもらったからもうそれで事足れりというような考えでは、真に過ちのない、生きた仕事はできるものではないと思うのである。
2013年7月25日天声人語(OCN朝日新聞デジタル)
天声人語
▼鉛を使った中国大陸風の白粉(おしろい)が日本ではじめてつくられたのは、飛鳥時代も終わり頃、持統天皇の治世だったとされる。日本書紀に〈其(そ)の造れる鉛粉(えんふん)を美(ほ)めたまへり〉とある。僧が献上し、女帝はとても喜んだという記述である
▼時代は下り、宮仕えに出たばかりの清少納言は不慣れでつらい思いをしていた。思いがけず大納言と対座することになり、身がすくむ場面を枕草子は描く。〈袖をおしあててうつぶしゐたり、裳(も)・唐衣(からぎぬ)にしろいものうつりて、まだらならんかし〉
▼恥ずかしくて顔を見せたくない。扇もないので袖で隠して突っ伏していたので、白粉がとれてまだら顔になっているに違いない、と。化粧崩れなら直せば済む。しかし、化粧品のせいで肌の方がまだらに白くなってしまったのだという
▼ その「白斑(はくはん)」の原因が、こともあろうに美白の効果をうたうクリームや乳液というのだから、被害者の方々には手ひどい裏切りだろう。カネボウ化 粧品によれば、白斑が大きかったり、たくさんできたりという重症の人が2250人もいる。メーカーとしては決定的な信用の失墜である
▼どんな仕組みで発症したのかもわかっていない。使うのをやめれば治るのか。医薬部外品として承認した厚生労働省に手抜かりはなかったのか。疑問は尽きない。カネボウには全員の完治まで責任をもってもらわなければならない
▼人にもよるのだろうが、清少納言は化粧を「こころときめきするもの」と書いた。それが、台無しになった。