アメリカの中間選挙は予想を覆し伯仲した結果になっている。
上院は引き続き民主党が過半数を制し、下院は共和党が過半数に達した。今日時点で下院は民主212議席VS共和218。残る5議席を争っている。
選挙前、大方のメディアの予想は、インフレーションが争点となり共和党の大勝。レッドウエーブが起きるとするものだった。だが、実際にはレッドウエーブは起きなかった。
そもそも、中間選挙は現職大統領には不利に働いてきた。人気の高かった大統領でさえ敗北している。戦後の結果を見ても18回の中間選挙で、下院で大統領の与党が勝ったのは2回だけ。4年前の中間選挙でトランプは41議席も共和党の議席を失わせている。
バイデン与党の苦戦が報じられていたのに結果が伯仲となったのはなぜか。専門家の見方は、選挙戦終盤でのトランプの次期大統領選への「出馬表明」のニュースが、若い有権者や民主党支持者の投票行動を変えさせたのだという。
出口調査などによると、18歳から29歳の有権者の3人に2人が民主党へ投票している。その理由は「民主主義の危機」をあげる。寛容を失わせアメリカ社会を分断させたトランプ政権の悪夢が、若者の投票行動に繋がったというわけだ。
トランプの敵はトランプだった。
議会にねじれは生じたが、民主主義の良心が辛うじて機能したアメリカ中間選挙。とりわけ若い世代の投票行動は「これから」の希望となる。
国際社会は民主主義と強権主義が色濃く対立する。どんな未来を望むのか、世界の若者たちの選択がそれを決める。