スタートから1年を迎えた岸田政権。
この1年を評するメディアのそれはどれも芳しくない。旧統一教会の対応に振り回され、閣内にも後出しジャンケンで逃げ回る大臣がいて連日映し出されている。トップリーダとしての統率力が問われる羽目になった。身内に足を引っ張られたのではたまらない。
広島からの総理大臣は宮沢総理から30年ぶり。河井夫妻による前代未聞の巨額買収事件に揺れた広島だけに、さまざまな期待が入り混じった船出となった。
岸田総理の選挙区は広島1区。広島市の中心地で被爆地ヒロシマだ。それだけに核兵器廃絶をライフワークだとする岸田総理への期待は大きい。「ヒロシマ選出の首相にできないのなら誰もやれない」地元ヒロシマからはそんな声が上がる。
あれから1年。岸田総理の掲げた新しい資本主義の中身はまだ見えない。目玉政策のはずの所得倍増も見えてこない。ライフワークの核兵器廃絶では、核兵器禁止条約国会議へ日本政府はオブザーバー参加さえも見送り、被爆者をがっかりさせてしまった。
「決断と実行」を掲げた岸田総理のポスターがまち中にあふれる。その「決断」は「国葬」の独断で実行されることになったのだが、非民主的な進め方で支持率を大きく下げてしまった。素早い決断が皮肉にもあだとなった。
少数派閥の総理なので地盤が弱く統率できないと見るむきもある。だが、小泉内閣などは無派閥の総理であっても強烈なリーダー性を発揮していた。
昨今の自民党は、いい意味で派閥が切磋琢磨していた頃とは違い、寄らば大樹の陰的な党体質になっている。それなら、それをしっかり逆手にとって信念を強く貫けばついてくる。要はブレずに政治理念を貫き、どれだけ達成しようとするかその執念にある。
そもそも、総理になってやりたいことは何だったのか。人生のライフワークだとまで云うのなら、せめてそれだけでも拘り続け、ヒロシマの首相として核兵器廃絶と世界平和へ筋道をつけ、歴史に名を残すようになればいいのに、勿体ない。
1年のタイミングで長男を総理秘書官に任命し物議を醸しだしている。跡継ぎを育てる準備なのだろうが、退陣準備かとまで揶揄されてるようだ。引き際の段取りなのかとまで映ってしまうのは、支持率低迷や山積する課題に立ち向かう気概が伝わってこないから。
岸田派の流れはリベラルな政治理念も持っていた会派。ブレずに愚直に思い切ってその政治理念でやればいい。ひろしまの期待をしぼまさないでくれ。