カトリック社会学者のぼやき

カトリシズムと社会学という二つの思想背景から時の流れにそって愚痴をつぶやいていく

富士山世界遺産センターに遊ぶ

2018-04-22 08:33:00 | 観光

 知人に勧められて、富士宮市にできた「富士山世界遺産センター」に行ってみた。昨年12月23日オープンしたばかりということで生まれたてのホヨホヤである。そのためあまり知られてはいないようだが、素晴らしいの一言に尽きる。
 2013(平成25年)にユネスコの世界文化遺産に「富士山ー信仰の対象と芸術の源泉」として登録されたものだ。建物や展示がとてもモダンで、しかもよく考えられている。歩きながら富士登山ができる設計になっている。高齢者や障害者の観覧をよく考えた設計だ。特に最上階の展望ホールはアッと驚く仕掛けでただただ感嘆した。
 このセンターでは富士山の特徴をいくつかの分野ごとに整理説明しているが、私が興味を持ったのは富士山を「信仰の対象」として描いているところだ。難しい議論を始めたらキリが無いだろうが、「修験道」を強調することによって富士山が日本人の「心性」の一部を構成していると言いたいようだ。修験道は山岳信仰と密教のハイブリッドみたいなもので宗教と呼べるかどうかわからないが、富士山は山岳信仰の頂点だとみなしているように聞こえた。
 このセンターが文科省の施設なのか、県の施設なのか、またはなにか財団法人の施設なのか知らないが、浅間神社との関わりを強調しているようだ。また、高齢者は観覧料無料というのは素晴らしい。まだあまり知られていないせいかどうかわからないが大混雑というほどでは無かった。富士山は山梨県側だけではないという静岡県の心意気が伝わってきた。久しぶりの遠足気分であった。

 

 

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神山復生記念館を訪ねる

2018-04-21 10:47:29 | 教会

 好天に恵まれたので先日思い立って御殿場の「神山復生記念館」(こうやま ふくせい)を訪ねた。パリミッションや岩下壮一師に関心を持つカト研の皆さんはよくご存知だろうが、私は初めての訪問だった。この記念館は神山復生病院の敷地内にある。1897年(明治30年)に日本初のハンセン病治療所として建てられ、2002年(平成14年)まで事務所として使われていた建物が記念館として開設されたものである。2016年(平成28年)に創建時の姿に復元されたという。 予約なしの突然の訪問にもかかわらず、係の方が丁寧に案内、説明してくださり、感銘を受けた。「復生」(ふくせい)とはResurrectionの訳であり、現在われわれは「復活」と訳している。
 展示は、ハンセン病患者の生活の悲惨さを過度に強調するのでも無く、また、岩下師をはじめ歴代病院長を英雄視して描いているわけでもなく、治療の歴史を淡々と紹介しているところが心にしみた。といっても、展示の中心は、6代目院長の岩下壮一神父と初代婦長の井深八重である。岩下師が愛用されたという小さな聖書が特に印象的であった。また、NHK大河ドラマでよく知られるようになった井深八重が、同志社で学びながらもやがてカトリックに改宗し、1989年(平成元年)まで治療に尽くしていたことを知り、深く考えさせられた。特にいくつかの展示品は、戦前の公教会と皇室との関わり方(皇室のハンセン病への支援と表現すると誤解を招くか)について、カトリック教会が戦前日本を生き延びるために味わった苦痛と英知を思い起こさせてくれた。
 自分がカトリックであることがなにか晴れがましいことのように思えて、すがすかしい気持ちで記念館をあとにした。

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