カトリック社会学者のぼやき

カトリシズムと社会学という二つの思想背景から時の流れにそって愚痴をつぶやいていく

56歳で叙階の新主任司祭の初ミサ

2023-04-16 17:51:44 | 教会


 今日の復活節第二主日のミサから当教会のミサは元に戻った。コロナ禍をなんとか乗り越えることが出来たわけだ。地区別の分散ミサは終了した。晴天にも恵まれ、実に3年ぶりにすべての地区の信者が集った。今日は恐らく100人を超えたのではないだろうか。


 今日のミサは新たに赴任された新主任司祭のM師によるものだった。新主任司祭の意向だろうか歌ミサだった。皆が声を合わせて歌うのは久しぶりだった。賛歌をはじめ歌詞や祈祷文が変わったところもあり、オルガンや聖歌隊のリードが印象的だった。献金袋もきちんと以前のように回ってきた(1)。

 今日の福音朗読はヨハネの20章で、復活したイエスが弟子たちの前に初めて姿を現す場面だ。誰も信じない。イエスは言う。「見ないのに信じる人は幸いである」(29節)。神学的には興味深いシーンだ。師は原稿を前もって用意され、慎重にお説教の話しをされた。若々しい張りのある声だった。感謝の典礼で奉納祈願の前に長い沈黙の祈りがおかれ、印象的だった(2)。聖体拝領も普通に戻った(3)。


 聞くところによると、M師のキャリアーは驚くべきものだった。普通の会社員生活の中で洗礼を受けたのは30歳、山手での教会活動のなかで召命を受け、神学校に入ったのは49歳、叙階は56歳で(4)、教区の主任司祭はここが初めてだという(5)。信徒の皆さん、新しい主任司祭を心から歓迎しておられた。M師の活躍を期待したい。M神父様、がんばれ。

【新主任司祭】

 

 


1 維持費や献金についてはいろいろ議論があるようだが、それよりもコロナ禍の中でどこの教会でも献金箱を使う方法が定着していたようだ。カゴを使う方法がどれほど一般的かはわからないが、当教会は伝統的に袋を使ってきたようだ。実際には両方が使われるのが普通だろう。
2 この沈黙の祈りはどうも日本でのみの適応らしく、以前のミサの式次第では、司祭により、教会によりやったりやらなかったりだったらしい。新しい式次第での大きな変化の一つになるかもしれない。
3 さすが両形態の聖体拝領をする方はおられなかったが、聖体拝領後、司祭はパテナをカリスの上ですすいだり、拭いたりすることが出来るようになったという。所作の違いはよくはわからなかった。
4 神学校入学は慣例的に40歳未満が条件だという。司祭の養成期間が、予科1年・哲学2年・神学3年・助任1年として、現在は叙階されるまで短くてもほぼ7~8年かかるからだろう。8年の養成期間を長いとみるか短いとみるかは一概に言えない。大学を出てから、ドクターをとったり(課程は別として)、司法試験に合格したり、医師免許を取ったりするケースではどうしても30歳前後になってしまうことが多いようだ。叙階が30歳前後というのは特に遅いわけではないらしい。
5 つまり、M師のケースは特例なのかもしれない。人智を超えた神の計らいにただ驚くばかりである。

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ご復活を信じなければ司祭にはなれませんよ ー 2023年イースター

2023-04-09 18:39:30 | 教会


 主のご復活おめでとうございます。

 私の所属教会はまだ分散ミサが続いており、全員が一緒にこのミサに与れたわけではありませんでした。とはいえ、快晴にも恵まれ、多くの方がごミサに集まり、主の復活をお祝いしました。コロナ禍のせいでここ数年見たこともない人数の参加者数でした。ごミサでは続唱やアレルヤ唱は全員で声を出して歌うことが許されました。さすがグロリアは聖歌隊が歌いましたが、会衆が一緒に声を出して歌うのは実に3年ぶりでした。なんだかんだ言ってもマスクはみなさんまだしておられ、歌うといってもマスク越しでなんとも時世を感じさせるものでした。聖歌隊はさすが張り切っておられ、お御堂に歌声が響き渡りました。

 主任司祭のS師は今日が最後のミサということで、お説教にも熱が入っていました。福音朗読は復活の主日はヨハネの29:1~9が読まれる。ヨハネがが描く「空のお墓」のシーンだ。S師は、復活というのは、自分は30歳で叙階されてから司祭を45年やってきたが、実はいまだなんのことかよくはわからない。自分の石神井の神学校の時代の院長が「復活を信じなければ司祭にはなれませんよ」と口をい酸っぱくして説いていたことを今でもよく覚えている。ヨハネが言っているように「理解する」ことと「信ずる」ことは別だ。復活はいまだ理解できないけれどずっと信じて司祭を45年続けてきた・・・と長く印象的なお説教だった(1)。ミサの後のお別れのご挨拶のなかでも同じように神学生時代の思い出を語っておられた(2)。

 復活徹夜祭での新たな受洗者はおられなかったようだが、プロテスタント教会からの転会者がおられ、皆から盛大な拍手のもとに迎入れられていた。豊かな信仰生活が続くことを祈りたい(3)。

 ごミサの後、教会委員長が歓送の言葉を述べられ(4)、お祝いの花束を贈られた。軽い立食パーティも開かれ、子どもたちがイースターエッグを皆さんにあげていた。コロナ禍をなんとか乗り越えてやっと元にもどりつつあるという復活祭でした。

 

【復活のローソク】

 

 

1 言うまでもないが、「理解する」ことと「信じる」こととを対比的に論じるのは神学の中心テーマであり続けている。「理解せんがために信ず」とアンセルムスが述べたのは11世紀のことだ。「体の復活」と言われてもピンとは来ないが(理解)、「あなたの親兄弟にもう一度会えるのですよ」と言われれば、そうかなとも思う(信仰)。キリスト教は神学的には「三位一体」説を信じることが根幹だが、信仰的には「復活」を信じられることが根幹になるという。
 S師が言うように、ヨハネはこの福音書で「見て、信じた」と言っているが(第8節)、「何を信じたか」とは言っていない。空の墓を見てゼベダイの子ヨハネは何を信じたのであろうか。
 司祭の定年は一応70歳のようだが現在は司祭不足のせいか75歳まで伸びているようだ。定年後は協力司祭として続ける司祭もおられるようだが、S師のように引退される方も多いという。司祭の老後は年金や介護・医療など問題の複雑さは一般社会人と特に変わるものではない。あえて言えば、個人差が大きい、教区司祭と修道会司祭の違いが大きいのが特徴かもしれない。 
2 S師のように第二バチカン公会議直後の1970年代半ば頃までに(この頃から日本社会全体とともに日本の教会の体質も大きく変わる)叙階された司祭の環境は神学校時代も叙階直後も現在とはだいぶ異なっていたようだ。たとえば、この頃は石神井で勉強していた神学生のなかできちんと叙階までたどり着けるのはほいぼ三分の一といわれていた。神学校の教育は厳しく、ちょっとでも改革的な、革新的な意見を表明すると「従順ではない」としてすぐ神学校を追い出されたという。司祭不足を嘆いている現在の日本の教会からは想像できない姿だった。私の周りでも、司祭になれた人、なれなかった人が数人いる。「召し出し」という言葉だけでは推測できない背景が当時の日本の司祭育成課程には潜んでいたようだ。私は個人的にはこれはキリスト教の日本への「土着化」路線をめぐる葛藤の反映だと考えているが、今度来られる新しい司祭に尋ねてみたいものだ。
3 プロテスタントで洗礼を受けた人がカトリック教会に移る場合、以前は「転会」と称していた。今は何というのか知らない。洗礼はすでに受けているから洗礼は受けずに堅信を受けるのが普通だ。または、場合によっては洗礼を受けることもあるようだ。洗礼名や堅信名を新たにもらうこともあるようだ。神学的にはいろいろ議論があるようだが、信仰面からは「改宗」とは言わずに「転会」という表現がふさわしい気がする。カトリックからプロテスタントに移る場合は対応は相手によってかなり異なるようだ。日本では「宗教二世」が社会問題になっているが、宗教間の移動が問題になっている社会も多いと聞く。原理主義的な宗教が世界中で復興しつつある中で転会が持つ意味も変わりつつあるようだ。
4 教会委員長の歓送の辞は親愛感あふれるものであったが、長広舌というかなにぶん話が長すぎた。神父様に最後なのだからもう少し語ってもらってもよかった気がしないでもない。


【聖歌隊】

 

 

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2023年枝の主日 ー コロナ禍を乗り越えて

2023-04-02 21:43:12 | 教会


 今日は受難の主日(枝の主日)だった。ローソクは4本ともった。まだ分散ミサとはいえ、多くの方が集まった。聖歌が戻った。聖歌隊が歌い、我々も初めて賛歌など声を出して歌った。実に声を出すのは3年ぶりだった。ご聖体拝領もアーメンと唱えることが許された。入堂式(主のエルサレム入城の記念)では神父様が入堂され、棕櫚の枝祝別された。神父様のお説教も力が入っていた。イエスを歓喜の声を上げて祝った群衆がやがてイエスを十字架につけろと叫ぶ。われわれもこの両側面を持つ存在なのだと言うことを忘れるなと言われているように聞こえた。
 福島野菜の販売も再開された。徐々にコロナ前に戻りつつあるようだ。いよいよ過越の3日間が始まる。盛大な復活祭を迎えたいものだ。


 【2023年受難の主日】

 

 

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