視覚障害者きうっちの自立への道

視覚障害者きうっち(S52年生)が気の向くままに日々の生活をツラツラとつづるブログ

キーボードだけでExcelをサクサク使ってみよう

2012-08-25 13:00:00 | その他
 Microsoft Excelは使用している端末のOSがWindows系であった場合、最もポピュラーな表計算ソフトの1つです。
ところでみなさんはこのExcelというソフト、ほとんどのことは実はキーボードのみの操作で、しかもそちらの方が実は楽にできてしまうということを知っていますか?(さすがにグラフやオートシェイプといった、いわゆる『画像的な要素が濃いもの』はマウスを使った方が楽ではあるのですが)
この記事では「キーボードでの操作を知っていた方が、たぶんマウスより作業が簡単になる」というものを3つほどチョイスして紹介してみたいと思います。

 また、Excelをキーボードのみの操作で使用することになる全盲の視覚障害者の方には、
以下で紹介していることは、必ずどこかの場面で役に立つはずです。

■知っておくと何かと便利なショートカットコマンド「Ctrl+1」
 キーボードのみの操作でExcelを使おうと思った場合、まず知っておきたいショートカットコマンドがあります。それが

Ctrl+1

というコマンド。ちなみにここでいう「1」はフルキーの1、キーボードの左上の方にある「1」のこと。
このショートカットコマンドを入力すると、いわゆる「Excelのセルの書式設定」を呼び出すことになるのですが、
そもそも何で「これ」をまず覚えておいた方がいいのかというと、それは以下のような理由が挙げられると思うからです。

1.実はExcelで必要な作業の大半は、この「セルの書式設定」のコマンドでまかなえてしまうから
2.この「セルの書式設定」はマウスで呼び出すよりも、Ctrl+1のショートカットコマンドで呼び出した方が明らかに早いから

 まず1について理由を説明すると、実はExcel上の作業の大半は、この「セルの書式設定」のコマンドの中でほぼできてしまうから。
セル内の文字の配置の変更、文字の大きさやフォント、文字色の変更、セルの網掛けの設定、etc-。このことは、Excelでちょいちょい作業をしていくと、何となく気づいていくと思います。

 そして2について。これは「既にキーボードの上に両手がある場合」という条件付きではあるのですが、
右手でCtrlキーを、左手で「1」のキーを押して「Ctrl+1」のショートカットコマンドを入力するクセをつけておけば
マウスで「セルの書式設定」を呼び出すよりも本当に早くなると思いますよ。ぜひ一度お試しあれ。

※この「セルの書式設定」と同じように、文字の大きさやフォントを変更するコマンドは
 似たようなもの(Wordではフォント)が当然Wordにもあるのですが、実はWordの「それ」もショートカットコマンドを使って一発で呼び出すことができます。
 そのコマンドは「Ctrl+D」-。これも知っておくと、Word上での作業が格段に楽になると思います。

■罫線はキーボードの方が実は簡単に引ける!?
 ところで、これを読んでいるみなさんは「Excelの罫線はマウスを使わないと引けない」と思っていないでしょうか?
Excelのグリッド線(つまりセルのマス目)から外れた場所に罫線を引こうと思った場合は、確かにそうです。
でも、普通に「Excelのグリッド線、セルのマス目に沿った形」で罫線を引こうとした場合には、
実はキーボードから操作するやり方の方が、簡単、かつキレイに罫線を引くことができます。
そのやり方としては、上で挙げている「セルの書式設定」を使い、以下のように行ないます。

 まず、Excelのシート上の「罫線を引きたい範囲」のセルを選択します。
ここでは例として、セル「B2からD4」の範囲を選択します。

 次にショートカット「Ctrl+1」などを用い、「セルの書式設定」を呼び出します。
ここで十字キーの←または→、
あるいは「Ctrl+タブキー」を使って
「セルの書式設定」内のタブを「罫線」にします。
キーボードの操作だけで罫線を引こうとした場合、この「罫線」タブを使って、Excel上に罫線を引くことになるのですが
ここでは例として「表の外側に太い罫線、内側の格子状に細い罫線」を引くやり方を紹介していきます。

 まずタブキーを1回押すと「罫線の種類」を選べるコンボボックスがあります。
ここでは「表の外側に太い罫線」を引きたいので、この中から太い罫線を選びます。
(ちなみに、音声読み上げソフトでは「太線」や「実線」と読み上げることが多いです。選択肢としては、上から6番目あたりの線です)

 次にタブキーを2回押すと、「外側」のプッシュボタンがあります。ここでEnterキーを押すと
「事前に選択しておいたセルの外側」に罫線が引かれます。
またこの時、カーソルが「罫線」タブの一番上、罫線の種類を選べるコンボボックスの上へ自動的に移動しています。

 次に「表の内側の格子状に細い罫線を引きたい」ので、「罫線」タブの一番上にあるコンボボックスから「細い罫線」を選びます。
(ちなみに、音声読み上げソフトでは「実線」や「細線」と読み上げることが多いです)
そして、この後タブキーを3回押すと、「内側」のプッシュボタンがあるので、ここでEnterキーを押します。
これで「事前に選択しておいたセルの内側」に罫線が引かれます。

 ただし、このままだと「罫線を引いた操作」が完了したことにはなりません。
なので、ここから「Shift+タブキー」を何回か押して
「OK」ボタンを押します。これで、選択した範囲のセルの外側に「太い罫線」が、
内側の格子状に「細い罫線」が引かれました。

 また、上の例では「罫線を表の外側と内側へ格子状に引くやり方」を紹介しましたが、
もちろん、罫線を上下左右へ一本ずつ引いたり、
または選択した範囲のセルが複数だった場合には、内側の縦、もしくは横のグリッド線にだけに沿って
罫線を引いたりすることもできます。「罫線」タブの一番上で「引きたい罫線の種類」を選んだ後、
「外側」や「内側」のプッシュボタンを押さず、その下の方にある
「ひだり線」や「うえ線、もしくは「内側たて線」「内側よこ線」といった項目に
任意でチェックを入れていきます。

 ちなみに、該当する項目に「何らかの罫線」が既に引かれている場合は
最初からチェックボックスが入った状態になり、その逆の状態であれば、チェックボックスには当然チェックが入っていないことになります。

■キーボードだけの操作で離れた場所のセルを選択する方法
 Excelでは、どこかのシート上で「Ctrl+G」というショートカットコマンドを入力すると
「ジャンプ」という機能を利用することができます。利用したことがある人は分かると思うのですが、
これは例えば、Ctrl+Gを押して呼び出されてきた小ウィンドウの中に、

h25

と入力してenterキーを押すと、Excel上のカーソルがその「セルh25」にジャンプするというもの。
実はこの「ジャンプ」機能を利用することで、Excelでは「離れた場所にある複数のセル」を一度に選択することができます。
この方法を用いれば、キーボードのみの操作でも「離れた場所、または範囲の複数のセル」を一度に選択することができるので、覚えておくと色々と便利です。
そのやり方は、だいたい↓こんな感じ。

例えばセル「A1」とセル「C1」、そしてセル「E1」を一度に選択したいとします。
この場合は、Ctrl+Gで「ジャンプ」機能の小ウィンドウを呼び出した後、このように入力してからEnterキーを押します。

a1,c1,e1

するとあらビックリ!簡単に離れた場所にある、複数のセルを選択することができます。
ちなみにセル番地を指定する際のアルファベットは、小文字でも大文字でもどちらでも構いません。

 また、「離れた場所にある複数の範囲」を選択したい場合は、次のようにします。
例えば、セル範囲A1からA5、C1からC5、E1からE5を同時に選択したい場合は、
Ctrl+Gで「ジャンプ」機能の小ウィンドウを呼び出した後、その中へ次のように入力します。

a1:a5,c1:c5,e1:e5

 これで、離れた場所にある複数の範囲を選択することができました。
全盲の視覚障害者の人は、ちょっと確認することが難しいかもしれませんが、例えば上記の操作をした後に
Ctrl+1で「セルの書式設定」を呼び出し、罫線を一度に引いてみるとかしてみると、割と確認をしやすいと思います。

 それと、これはあまり知られていないことかもしれませんが、Excelでは「:」は、○○から××の範囲、
「,」はセル○○とセル××、という意味で使います。

 例えば、普段家計簿などで何気なく使っていると思われるSUM関数。その書き方は

=SUM(A1:A25)

となるわけなんですけど、この場合は「セルA1からA25の範囲の数字を加算する」という意味になります。
では、上記の関数を

=SUM(A1,A25)

とした場合は一体どうなるのか?この場合は
「セルA1とセルA25の数字を加算する」という意味になるんです。
このことは、知っておくと結構色々な場面で使いでがあるかもしれませんね。
コメント (6)
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