沖縄の一般家庭の台所には香炉中心とした花瓶、水盃、酒盃、盛り塩、米が
必ず置かれている。これは「ヒヌカン様」を祀っている。
沖縄では土地の四方、家の各所に神様がいるといわれている。
その中でもっとも親しく付き合うのが「ヒヌカン様」で、
沖縄の主婦は、起きたらまず、朝一番の水をヒヌカン様にお供えすることから
一日が始まる。
供えて物にも、それぞれ意味があるといわれている。
水は「清らかなもの」酒は「水と火と米の結晶」塩は「海の幸」米は「地の幸」
花瓶に葉物を供えるのは「子孫がいきいきと活力あふれ、枝分かれするように
栄えていきますように」という意味があるそうだ。
しかしヒヌカン様は家の中でもっとも親しく付き合う火の神様で、
あまり格式にこだわらないといわれている。
なので我が家では、小さいコップに水、そしてお酒、お米を供えている。
ヒヌカン様は、神様との仲介役をしてくれる。
神様といえどけっして万能ではないらしく、それぞれに管轄や得意分野が
あるのだとか。八百の神(やおろずの神様)という言葉もある。
ヒヌカン様は内容を聞いて適任の神様に伝えてくれる。
またヒヌカン様は天の役所の出張所であり、結婚、出産、死別などを
ヒヌカン様に報告すると天の役所に届けてくれるという。
水を変えるのを忘れても許してくれる。
しかし1日と15日にはお酒、お水、お米を交換する。
家を守ってくれる大切な神様、それがヒヌカン様である。