那覇に行ったときに、ふらりと立ち寄ったお店の陳列の下の方に
隠れるように置いてあった財布を気にいって買った。
自分の生活の中で最も必要のないもの、おそらく財布だろう。
そもそも現金を持ち歩く習慣がない。
唯一、月に一度だけ散髪に行くときに持っていく。
それ以外持ち歩くことがないので、できるだけよい物を
持つようにしている。
ところが値段を聞いて安さに驚いた。
安さの理由は、元の販売所が店じまいしたので安く仕入れることが
できたそうだ。
八重山の国指定の伝統工芸織物の一つ「ミンサー織」で
あしらわれた財布。ミンサー織は、八重山の島々で、代々織継がれてきた
手作りの木綿帯で、主に男性用の帯として織られてきた。
ミンサー織の独自の柄は「いつ(五つ)の世(四つ)までも末長く・・・・・」
という意味で、乙女心の愛の印として自分で織り上げた帯を
婚約者に贈った。
また、両端のムカデの脚のような柄は、昔の通い婚のな残りを残し、
「足繁く私のところへ通ってください」
という気持ちが込められている。この柄が気に入って
サンシンの胴巻きのことを「ティーガー」というが、
このティーガーもミンサー柄を巻いている。