島から出ていく。出稼ぎや学校に通っている家族を
気遣う母親の気持ちは並大低のものではなかっただろう。
標準語は通じているのだろうか、食べ物は口にあって
いるのだろうか、風邪などひいて
いないかと案じながら、油味噌やサーターアンダギーを
作って送ったそうだ。
漁師仲間達の多くが本土へと行った経験を持つ。
「家から、よく油味噌が送られてきて、無くなる前に
又届くものだから、油味噌だらけになったことがあるさぁ」
と笑って言っていた。
ゆでた豚肉を味噌で炒めた油味噌、方言でアンダースと
言う。これをブリキ缶に詰めて送ってくるそうだ。
高温多湿の沖縄では、食物を腐らせずに蓄えるために、
数々の保存食があみ出された。
なかでもアンダースはトップだろう。
お弁当やおむすびを買うと、必ずといっていいほど
油味噌が入っている。
最初の頃は、この油味噌の甘さが苦手だった。
それがいつのまにか馴染んできたのか、たまに油味噌を
買うこともある。
沖縄のコンビニのオムスビには油味噌がある。
数あるオムスビの中で一番売れているそうだ。
昔ながらの油味噌は家庭によって異なる。
今は昔と違って砂糖や調味料もふんだんにあるので、
砂糖やみりん、酒を入れたり
このみによってはショウガ汁など加えて昔以上に
バージュンアップしている。
オバァがいるときは、よく作ってもらったけれど、今は
買わないと手にはいらない。
やっぱりオバァの手作りが一番口にあっている。
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