ある時期、宮古島の飲み屋街「通称イーザト」には飲み屋が
乱立していた。人口比例では、その数は日本一多いといわれていた。
土曜日になると客のタクシーと行き交う人で歩けないほどだった。
そのイーザトに足を踏み入れてはならない日というのがあった。
それは南方カツオ漁の人たちが島に戻ってきた日。
高校の卒業式の日。
それと「成人式」の日。
今では考えられないことだが、高校の卒業の日は先生も一緒になって
飲んでた時代があった。
そして成人式の日は、堂々と胸をはって飲める日。
高校を卒業すると島を出ていかなくてはならない。
初めての里帰りが成人式の日。
女の子は着物で着飾り、男の子は慣れないスーツに身をつつむ。
久しぶりに会った同級生たちとの楽しい時間。
飲み屋のママから「今日は成人式だから、譲ってあげてね。」
といわれたのが懐かしい。
子供の頃から大人たちが飲むのを見ているから、オトーリで酒を
あおるように飲む。
飲み屋街の辻には酔い潰れて、人生初の路上寝をしている子もいる。
宮古島の成人式は、帰省している間にやってしまおうと
1月5日に行われる。
年末年始と飲み続けて3日と4日は休肝日、そして5日に成人式。
各家庭でも成人祝いが行われるが主役の成人は同級生たちと
飲みに出かける。
子供が少なくなったのか、毎年成人祝いをハシゴしていたこともあったのに
ほとんど呼ばれなくなってしまった。