寒露の時期にわたってくる「サシバ」
サシバは鷹の仲間で雄は47㎝、雌は雄より少し大きくて50㎝、
翼を広げると1mほどでカラスより少し小さい。
桜が咲く季節には日本本土の里山で繁殖し、冬は東南アジアへと越冬の
渡りをする。その渡りの途中に沖縄、宮古、八重山で一日羽根を休めるが、
中には途中立ち寄った島で越冬することもある。
宮古島で越冬するサシバのことを「バンダカ」と呼んでいる。
昨年、伊良部島で確認されたサシバは、12729羽いたそうだ。
昔は、その何倍も何十倍も空を黒く埋め尽くすほどのサシバがわたってきていたという。
乱獲や土地開発で渡りの数も生息数も激減して絶滅保護種となっている。
今では考えられないことであるが、食料が乏しい時代はタンパク源であった。
サシバを捕獲するために木の上にはツギャーと呼ばれる小屋が作られていた。
サシバで作った雑炊のことを「タカジューシー」という。
時期になればサシバを捕まえたり買ったりして、本土や沖縄本島で働く子供や
親戚に送っていた時代があった。
冬の故郷の味、それがサシバだった。
食料の乏しかった時代の御馳走であって、今は飢えるほど困って生活をしている
わけではない。生活が良くなって来てサシバを捕る必要も無くなった。
今は徐々にであるが渡りの数も増えてきているという。
20年くらい前まではサシバの密猟が問題になっていた。
今は啓蒙活動のおかげでサシバを守る意識の方が高くなっている。