市場に活気があったころ、市場の前には行商や露店のオバァが
肩を寄せ合うくらいの感覚でものを売っていた。
そんなオバァたちが客待ちのあいだにすることは、モヤシのヒゲ取りか
ラッキョウの皮剥きだった。
沖縄ではどこの家庭でもスーパーで袋に入って売られている
モヤシを使うのではなく、オバァが一本ずつ丁寧にヒゲをとったモヤシを使っていた。
今は、業者から袋入りされたヒゲのついたそのままのモヤシをそのまま調理する。
もう一つがラッキョウで、以前はオバァたちが皮剥きしたものが普通に
売られていたが、ラッキョウを剥くオバァが絶滅となり、皮剥き、
つまり買ってきてそのまま鰹節をふりかけて醤油をたらして食べることができるラッキョウが
売られているのが少なくなった。収穫されて土だけ落としたものが売られている方が多い。
沖縄のラッキョウは島ラッキョウ、本土の一般的なラッキョウよりも形は小さく
細長いのが特徴で、ピリッとした強い辛みと独特な香りがする。
本土のカレーについてくる甘酢漬けのラッキョウとは違い、生で食べるのが一般的で
塩漬けや天ぷらにしていただく。
島ラッキョウは1月〜6月が収穫期で、3月〜5月に旬をむかえる。
観光客にも人気があり、今ではハウス栽培もされていて、
ほぼ一年を通して売られている。オバァたちがラッキョウの皮をむいて、
ヒゲ(根っこ)をとって掃除されたラッキョウが少なくなって、自分で処理して
いただくには手間暇がかかりすぎる。
以前はどこにでもすぐに食べられるラッキョウが売られていたが、
ほとんど見なくなった。