目の中のリンゴ

20年ぶりにオペラ座熱が再燃!!

「ストーリー・セラー」 有川浩

2010年09月22日 | 読書
「阪急電車」が映画化され、
「フリーター、家を買う。」もドラマ化される
人気作家・有川浩さんの本。

「ストーリー・セラー」(有川浩 新潮社)

Side:AとSide:Bという2編からなる小説で
予備知識ナシで読んだので、
勝手に、見方を変えた同じ話なのだろう、と
思っていたら、全く違う話だったので
Side:Bの読み始め、戸惑ってしまいました。

”ストーリー・セラー”物語を売る人。
どちらも、女性小説家が登場し、
その作家生活と愛する伴侶との日々が描かれ
どちらも、病によって別たれる・・・という
泣ける恋愛小説。

読んだ後で書評を読んでまわったのですが、
非常に評判が良いようで。
有川浩さんのファン、ということが前提の書評が多かったけれど。

それらによると、主人公の女性が彼(旦那さん)と出会い
小説家という仕事を全面的にサポートされ、
そのツライ仕事ぶりがリアルに描かれていること、
有川さんと旦那さんとの実生活とカブることがあり
どこまでがフィクションなのかわからない・・・
というところに妙味があるようです。

ファンでない私にはその辺は全くわからないので
小説そのもの、として読んだ感想は、
私はあまり好きではなかったけれど、
多くの人に好まれる本だろうな、ということ。
作家さんの書きたいもの、思いの詰まった作品だなぁと
感じました。

読み手と書き手の関係、
プロの書き手になる、ということ、
作家を待ち受ける苦悩(悪意ある書評など)、
愛する人の献身的なサポート・・・
そんな創作活動の裏側を知るという意味で
興味深かったです。

でも、死によって愛する人と別たれる、
というお話は、なんていうんだろう、
経験してみないとわからないものなんじゃないか?と
妙に冷めた自分がいたのでした。

人の死に接した時の、どうしようもない絶望や悲しみや
怒りや祈り・・・さまざまな感情が描かれた
古今東西の文学に触れて、人は感動したり
救われたりするものなのですが、
この小説でのそれは、あくまでも個人的で親密で
濃密なもので、他者が介入できない世界なのでは?と
感じてしまったのです。
「セカチュー」を冷めた目で観ていた時と
同じような気持ちで読んでました。
こんな夫婦が実際にいたら素晴らしいよなぁ・・・みたいな。

この小説をけなしたいわけではなく、
たぶん、もっと若いときの私だったら
滂沱の涙で、人生のベスト3だわ!ぐらいに
思っていたかもしれない。

他の有川さんの作品は2,3しか読んでいないけど
中高生の頃に読んだら心酔していただろうな、
と思いました。
・・・私が純粋さを失ってしまった、
ということなんだろうね。

心のこもった贈り物のような装丁は素敵です。
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