
20年以上まえ、初めて訪中したときもそうだったけど、
飯時になるとこっちが知らないヤツがやたらと登場する。
20年前は途上国という以上に後進国だったから、
タカリにきてるのかと思っていた。
まだ共産党(国)の支配が強力だったから、
日本でいうところの市の商工労働課の役人や会議所議員みたいな人がよく同席していた。
けど今は、そんな役付きの人はこない。
代わりといってはなんだけど、工場長の同級生とか、親友とその恋人とか、
説明されても理解不能な人たちがやってくる。
鄭州での最後の夜、
唯一日本語をわずかに話せる陸さんが、一足先に香港に戻ってしまった。
残ったのは、日本語はおろか英語もろくに話せない王さん&張さん、そして僕。
ともかく、3人で夕食に出かけた。
そして、やはり現れた。
どういう間柄かは知らないけど、武さんという名の人らしい。
そして手土産に、酒精度52度の白酒(バイチュ)を2本持参していた。
言葉は、とにかく通じない。
武さんが僕にニッコリと笑いかける。そして白酒をイッキ飲み。
また、武さんが僕に微笑みかける。また白酒をイッキ飲み。
中国人通しで盛り上がって馬鹿笑い。またまた白酒をイッキ飲み。
ヤツらの微笑みは、イッキ飲みのサインなんだろうか?
ともかく2本を4人で空けてしまった。
その後のことは、よく覚えてない。
あさ起きたらホテルで寝てたから、何とか帰り着いたんだろう。
白酒のイッキ飲みは勘弁してほしいが、
この夜会った武さんはなぜか憎めない人だった。
アメリカ人並みの大仰なリアクションが、見てて痛快だった。
どうせストレンジャーと食事するハメになるなら、
武さんみたいな微笑み力がある人との方が遙かに楽しい。
めずらしくもう一度会いたいと思わせてくれた武さんだった。