旅とエッセイ 胡蝶の夢

横浜在住。世界、50ヵ国以上は行った。最近は、日本の南の島々に興味がある。

ヤンゴン街角散歩

2019年12月05日 12時44分56秒 | エッセイ
ヤンゴン街角散歩
 
 ヒャー、面白いわ、この街。学校にいるだけで、楽しいものが向こうからやってくる。街を歩けばさらに楽しい。これでミャンマー語が話せたら、3倍楽しくなるだろう。前のパン屋の親父さん、メロンパンが美味いけど何か持ってそう。学校帰りに立ち寄る茶店の若者、色々話しかけてくるが会話が成り立たない。
 先生(学校のお嬢さんたち)にミャンマー語を教わり、反対に自分が日本語を教えているのだが、60過ぎた頭にはなかなか浸透しない。お脳のしわがほどけない。
 自分が教えている生徒が、一晩でカタカナを全部覚えてきたのには魂消た。二十歳ちょっとの頭にゃ、何でもぐんぐん入り込む。
 ミャンマー語の学習はカタツムリの遅さだが、英語は日々ブラッシュアップされている。ミャンマー語の授業は英語だし、毎日セヤーマ(女の先生)と話しているからね。
 先日、スズキさんとナイトマーケットに行った。ほら、無料夕食配布所の時に道に迷って行き着いた線路を超える歩道橋。あれを渡って大きな通りを横切ってすぐ。といってもヤンゴンの人すら分かるまい。
 学校から歩いて15分くらいだ。あの時、東に向かっている積りが、南に向かっていたことが分かった。全然方向違いだった。無料夕食配布所は無かった。満月の祭りの三日間だけだったのね。
 ナイトマーケットは、凄い規模だ。内と外に分かれている。外は野菜・肉・果実・花・魚等々で、内は食品・衣料品・雑貨その他。例によって裁縫コーナーもあり、女の子とミシン一台が狭いスペースにひしめき合っている。ここは21時までのようだ。
 固定の店舗も通りに並び、熱帯魚の店や植木屋があった。もちろん食堂も、屋台と店舗と様々ある。ここで食べた食堂の飯は美味かった。特に、ライムジュースが絶品でした。
 注文すると、女の子が近所の市場の店に買いに行った。ので、ずいぶん時間がかかり、飯をほとんど食い終わっていた。このライムジュースは、カクテルのブラッディーマリーのようにカップの縁に塩が付いているのが憎いね。これで少量の砂糖が甘さを増す。冷たくて、ちょっと酸っぱくてのどに心地よい。麺は、お母さんがグジョグジョにかき回してくれた。お姉さんが、皿の縁に溢れたスープを丁寧にふき取ってくれた。優しい。お姉さん、ライムジュースおかわり。麺も焼き飯も食って、二人で1万チャット(700円)でお釣りが何枚もきた。
 マーケットでは、ムラサキイモ(4本70円)と、鉢植えの花を買った。芋は、翌朝圧力のかかる電気釜で焚いたら柔らかくなり、美味しかった。花は一番安いのを4つ買った。これが重かった。鉢は付いていないので、近所で買って植え替えた。今学校のエントランスに置いてある。
 もっと立派な植木が欲しい。周りの家は、どこも植木を置いている。どこで買うんだろう。植木屋さんは、なかなか見つからないのね。


区役所
裁判所
雑貨屋さん
お寺の庭


通り道の作業場








ガソリンスタンド
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ミャンマー昔話 - 智者ポウ

2019年12月05日 10時16分43秒 | エッセイ
ミャンマー昔話 - 智者ポウ

 学校のジョー先生に翻訳してもらった、ミャンマーの昔話を一つ意訳してみた。


ミャンマーの昔話 - 智者ポウ

 昔々のおはなし。ビルマの王様が年を取り、体が弱ってきたので、そろそろ国を譲ろうかと考えました。
 王様には、二人の立派な王子の孫がいました。王子たちは頭が良くて、武勇に優れた若者です。王様は、二人をとても気に入っています。どちらを選ぶか、頭を悩ませました。どうしても決められません。そこで大臣たちを集めて会議を開きました。
 「お前たちを呼んだのは、この国の将来を決めるためだ。ワシはこの国が平和で、実り豊かなまま末永く続いて欲しい。二人の王子のどちらを次の国王にしたら良いと思うか。みなの意見を聞かせてほしい。」
 大臣たちは、お互いに顔を見合わせました。えらい事になった。二人の王子には、それぞれ忠実な家来がついている。一人を選んだら、別の王子が黙っているはずがない。王子が良くても家来は黙っていない。戦いが始まるぞ。これはうかつに意見を言えない。推薦しなかった王子に殺されてもおかしくはないからな。誰も言葉を発しません。
 「どうした、お前たち。不甲斐ない者ども。舌を持たぬか。言葉を忘れたか。」老いた王は、怒りで身を震わせます。ふと見ると、智者ポウの姿が目に入りました。
 「おう、ポウよ。そなたがおったな。いつもの知恵を出しておくれ。お前なら、どちらの王子を選ぶか。はっきりと答えておくれ。」ポウは名指しされて、青ざめました。これはよほどしっかり考えて答えを出さないと、命取りになる。智者ポウは語り始めました。

 王様、昔々のお話です。ライオンが、ジャングルの動物たちの王でした。ライオンの王は、腹一杯肉を食べると一週間寝続けます。そこは広い洞窟で、ライオンは家来のうさぎ、豚、鹿と一緒でした。
 ウオー、よく寝た。目を覚ましたライオンは、大きなアクビをしました。ライオンの息をまともに浴びた鹿は、顔をしかめ、思わず後ずさりました。
 んっ鹿よ。お前はなぜ下がる?ワシの息がくさいとでも言うのか。鹿は真っ青になり、思わず言いました。「いいえ、王様。王様の息はかぐわしく、花の香りがします。」その答えを聞くとライオンは、「うそをつくな。ワシの息が、花の香りなどするものか。」
 ライオンは怒り、鹿を噛み殺しました。そして豚に向かって息を吹きかけました。「豚よ。ワシの息はくさいか。」豚は震えあがりました。鹿は反対に答えて噛み殺された。ここは正直に答えたほうがよい。
 「王様、恐れながら、王様の息は腐った肉のにおいがします。」「無礼者!」ライオンは豚を噛み殺しました。
 「うさぎよ。お前はどう思う。ワシの息はくさいか?」目の前で起きた出来事に体を固くし、息をするのも忘れていたうさぎは、名指しされて震えあがりました。
 反対を言った鹿は殺され、正直に答えた豚も殺された。一体どう答えれば良いんだ。
 うさぎは、口を開きました。「王様、わたしは王様の息をかぎましたが、何の匂いもいたしません。わたしは、今風邪をひいております。」ライオンの王は、その答えを聞いてどうしてよいのか分からず、「そうか。」と言って横になった。


 王様は、智者ポウにたずねました。「ポウよ。何が言いたいのだ。」ポウが答えます。「王様、私はお二人の王子のどちらを選ぶべきか、一生懸命考えました。しかし、私の頭が風邪をひいているので、答えが出ません。」
 それを聞いた王様は苦笑して、「そうか。もうよい、分かった。」と言い、会議はお開きとなりました。

* 面白い。物語が多重構成になっていて、クオリティーが高い。

 けど、これがもし一休さんの話なら? 俺ならこう突っ込む。「ちょっと待って、一休さん。これって何の解決にもなっていないじゃん。」

 やはり、ここは二人の王子に難題を与えて競わすか。或いは、致し方なく一人をくじ引きででも選んで、彼に国を譲ると言い渡す前に、もう一人を遠征か遠い国への使節に任命して都を出す。こんなところかな。

 みなさんは、どう思います?
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