旅とエッセイ 胡蝶の夢

横浜在住。世界、50ヵ国以上は行った。最近は、日本の南の島々に興味がある。

三明治

2015年10月16日 15時11分41秒 | エッセイ
三明治

 中国語の習得には失敗したが、漢字の国に生まれたことは良かった。中華文化圏の国々を旅して、看板やメニューが何となく分かる。これが韓国やイスラム圏となると、クソ全く分からないじゃないか。これじゃあ看板があっても意味がない。もっとも同じ漢字とはいえ、中国も日本も簡略化しているから、古くからの繁体字を使っている台湾の漢字が分からなかったりする。
 また同じ字でも意味が違う使い方はよく有る。豚が猪だったり、歯医者が牙院だったりするのね。日本人はひらがな、カタカナという優れた発音記号を手にしているから、外来語にうまく対応してIT(電脳)化にスムーズに乗れた。漢字しか使わない国は苦労している。ナポレオン、ビートルズ、フェラーリ、ジンバブエ全てに漢字を当てはめなければならない。コカ・コーラは〝可口可楽〟といった具合ね。音と出来るなら意味も似たものが望ましい。タバコのフィリップ・モーリスが始めて中国市場に参入した際、全く売れなかったという。あまりにも売れないので、その原因を追及したところ、当てはめた漢字が「ご祝儀・お小遣いが貰えない。」といった意味だったと分かった。漢字を置き換えたら少しずつ売れだしたそうだ。意味と音が見事にマッチすると、ミニスカートが迷你裙になる。あなたを迷わすスカートという訳。
 台湾や香港で、漢字の氾濫をギラギラの電飾看板で見るのは楽しい。でも気をつけないといけない。酒家がホテルで汽車が自動車だったりする。ちなみに電車は火車だ。昔のバンコクのチャイナタウンで〝冷気大茶室〟という看板を見つけ、アイスコーヒーでも飲もうと入ったら売春宿だった、ドピャー。レストランの名前が〝金玉満堂〟だったりするのも楽しい。粥、麺、飯とかを見て想像しながら注文するのもいいね。
 話は横道にそれるが、日本のカタカナ表記はもうちょっと原語に近づく努力が欲しい。コーヒー→カフェ、マドリード→マドリー、カブール→カーブル、ウルグアイ→ユルグアイ、いちいち日本ではこう言うと講釈が必要だ。腹がたつ。ガブリエルだってギャビエルにすれば少しは通じやすい。もっともアメリカ人はゴジラをガジーラとか発音するから、カタカナでは限界があるのは分かっている。でもなんでカーブル(アフガニスタンの首都)がカブールなんだよ。バラナシーがベナレスなんだよ。二つ覚えなきゃならないじゃないか。
 漢字に関して、中国人が日本に来てギョっとする事もある。例えばトイレで御婦人用とか書いてあると、ヒエーとなるあるね。〝御〟は御者とかを考えれば想像がつくように、「またがって、または押さえつけて乗りこなす。」という意味だ。だから文字通りにとったら、婦人にそういう事をする場所、ということ。まずいっしょ。
 仕事で香港に行った時、同僚と二人レストランで飯を食いながらメニューを見ていた。これなんだろうね、三明治。三明治は何種類かあってポピュラーなアイテムのようで、そんなに高くもない。注文しようか。だけどフィリピンで名前が面白いから、飯の一種と思ってHALOHALOを注文したところ、パフェが出てきてブッ魂消たことがあるからな。よくかき回して食べてねって、そこの親父の食ってる焼き飯と代えてくれ。そうしたら三明治、隣のお姉さんが、指さして注文するじゃあありませんか。一体何が出てくるやら。何のことはない、サンドイッチでやんの。



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