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震災28年 深江キャンパスで慰霊献花式行われる

2023-01-18 08:40:40 | 阪神・淡路大震災
 阪神・淡路大震災から28年を迎えた1月18日、神戸商船大(現・神戸大海事科学部)の震災犠牲者慰霊碑がある深江キャンパスでは12時30分から追悼の献花式が行われた。阿部晃久海事科学研究科長は「災害はいつ起こるか分からないため、日ごろから意識することが重要」と語った。<島袋舜也>


(写真:神戸商船大学犠牲者慰霊碑に献花する阿部晃久海事科学研究科長 2023年1月17日12時30分ごろ 神戸大深江キャンパス)


(写真:慰霊碑に手向けられた花や国際信号旗。信号旗は「U」と「W」の組み合わせで、「これからの航海の安全を祈る」という意味。 2023年1月17日12時40分ごろ 神戸大深江キャンパス)

 深江キャンパスで行われた献花式は、震災で犠牲となった神戸大海事科学部の前身である神戸商船大の学生5人(うち留学生1人)、研究員1人の計6人を追悼する。神戸商船大学犠牲者慰霊碑は震災で倒壊した旧神戸商船大の正門の石柱で作られており、亡くなった6人の名前が刻まれている。

 式典前には慰霊碑に震災発生時の1995年に神戸大理学部地球惑星科学科助教授(=准教授)だった兵頭政幸さん(神戸大内海域環境教育研究センター名誉教授)が慰霊碑前に訪れた。兵頭さんは「たまたま通りかかって訪れた。慰霊碑を見て今日は震災の日だなと思った。当時は神戸大で教員をしていたが、対応に追われ、半年間何もできなかった。地震でごちゃごちゃになった実験室の復旧や義援金の配分を行うために学生と面談を行った。被害状況が深刻な学生ほど面談に来なかったため、呼び出して状況を聞いた」と話し、震災発生時については「人生で最大のゆれを感じた」と語った。


(写真:船の汽笛が鳴る中、1分間の黙祷を捧げる参列者たち 2023年1月17日12時30分ごろ 神戸大深江キャンパス)

 式典は阿部晃久海事科学研究科長をはじめ教職員や一般参列者など14人が参加した。12時半に船の汽笛が鳴る中、1分間の黙祷を捧げ、阿部晃久海事科学研究科長らがひとりひとり、慰霊碑に献花を行った。

 献花に訪れた一般参列者の桜井加津子さんは「昔から帆船が好きで、1992年に練習帆船の体験航海に参加して、神戸商船大の学生たちと交流があった」と語り、「当時の神戸商船大の白鴎寮の学生たちは海洋実習で身につけた学びと経験を生かして、震災で倒壊した住居から約100人を救出した。震災の時に発揮されたシーマンシップを今の学生も忘れないでほしい。深江キャンパスでの学びと経験を後輩たちに受け継いでいってほしい」と話した。

 阿部晃久海事科学研究科長はニュースネットの取材に対し、「志半ばで、大きな災害によって命を奪われた学生と研究員に、改めて哀悼の意を表す。地震はいつ起こるか分からないため、避けようがない。だから、いかに普段から災害を意識するかが重要だ」と語り、「私も震災で被災したが、神戸商船大では武道場が遺体安置所になるなど対応に追われた。震災のような災害は頻繁に起こるわけではないので、年月が経つと忘れてしまう。忘れるからこそ前に進める部分もあるが、精神的なショックは長く続くと実感した。災害時など緊急時に冷静に対応できるように学生たちは普段の授業や研究活動から、物事を落ち着いて考える習慣を身に着けてほしい」と話した。




【震災号外】慰霊碑に遺族ら献花

2023-01-17 23:59:59 | 阪神・淡路大震災
 神戸大学ニュースネット委員会は、1月17日付で、震災号外を紙面版とウェブ版(PDF)で発行しました。17日昼に行われた兵庫県南部地震神戸大学犠牲者慰霊献花式の様子や、式に参列した藤澤正人学長のことばを記事にしています。

▽2023年1月17日付「震災号外」=



 号外は、下のURLからPDF版でも見ることができます。
https://hanshin-awaji.seesaa.net/article/497000214.html?seesaa_related=category

▽関連号外
【震災号外】5時46分 祈り捧げる
https://blog.goo.ne.jp/kobe_u_media/e/e48bce800234247c3d1c9714eef6bb10


慰霊献花式が行われる 震災から28年

2023-01-17 18:19:10 | 阪神・淡路大震災
 震災から28年をむかえた1月17日。今年も神戸大六甲台第1キャンパスの慰霊碑で神戸大の震災慰霊献花式が行われた。式典への参列は、新型コロナウイルス感染対策のため、神戸大役員と遺族に3年連続で限定された。式典終了後に、一般の人も献花を行った。<本多真幸>


(写真:遺族らによって供えられた花と犠牲者の名前が刻まれた銘板 2023年1月17日13時00分ごろ、神戸大六甲台第1キャンパスで)


(写真:慰霊碑に一礼する藤澤正人学長 2023年1月17日12時30分ごろ、神戸大六甲台第1キャンパスで)

 
 神戸大周辺では明け方から好天が続き、ぬくぬくとした陽光が差し込んでいた。六甲台第1キャンパスで行われている3月下旬までの大規模工事の影響で、慰霊碑付近は狭くなっていた。
 開始時刻の12時30分に参列者は1分間の黙祷を捧げた。初めに藤澤正人学長が花束を慰霊碑に献花し、続いて、理事ら大学幹部が白い菊の花を慰霊碑に供えた。その後、参列した遺族が花を捧げた。
 式典終了後は一般市民や学生も献花を行った。現役の学生や大学教員などが、亡くなった神戸大の学生や職員を偲んだ。コロナ禍前と比べれば依然として少ないものの、献花に訪れる人の数は年々増えている。式典終了後2,3時間が経過しても献花に訪れる人が見られた。

 藤澤学長はニュースネットの取材に対し、「震災があったことを若い人にも知ってもらわないといけない、来年も献花式は行う。大学も次の世代に伝えていくようにしっかりと考えていく。」と語った。


(写真:ニュースネットの取材に応じる藤澤正人学長 六甲台第1キャンパス慰霊碑前で)

【藤澤正人学長のコメント】
—――どんな気持ちで献花したか。
震災から28年たった。献花式で、当時病院で当直していたことを思い出しながら、28年経ったのだと感じた。震災当日の朝は、被災して運ばれてきた人の手術をした。そのうち病院では水が足りなくなった。その後は重傷者がたくさん運ばれてきて、昼ごろまで大変だった。亡くなった学生は夢を叶えることができず残念だと思う。生きていれば今は50歳前後で、社会で活躍していた。大学や神戸が住みやすい環境になることが必要だと思う。

—――今の学生が関心を持つには
震災は、語り継いでいくことが大切。次の世代に認識してもらう必要がある。

—――災害対策について、大学としての取り組みは。
大学としては、都市安全研究センターなどで研究を行い、テクノロジーを用いた防災や減災に取り組んでいる。南海トラフもいつ起こるかわからない。

—――献花式は来年もやるのか。
震災があったことを若い人にも知ってもらわないといけない。献花式自体も存在を知ってもらわないといけない。他人事だとは思わず、普段から取り組む必要があり、大学も次の世代に伝えていくようにしっかりと考えていく。


 1995年(平成7年)1月17日午前5時46分に発生した兵庫県南部地震で、神戸大では、学生39人(うち留学生7人)、職員2人と、名誉教授1人、生協職員2人が犠牲になった。海洋政策科学部の前身の神戸商船大では、学生5人、研究員1人が亡くなった。六甲台第1キャンパスの慰霊碑は震災の翌年3月に建てられ、その後、毎年慰霊碑前で献花式が行われている。



震災28年慰霊献花式 参列者のことば【前編】

2023-01-17 18:08:02 | 阪神・淡路大震災
 1月17日に阪神・淡路大震災の慰霊献花式が行われた。神戸大学ニュースネット委員会は、参列者がどのような思いで献花式や1.17を過ごしているのか、話をきいた。前編では、震災で亡くなった神戸大生の遺族と友人や知人、また現役の神戸大生のコメントを紹介する。後編では、大学教職員や一般市民のことばを掲載する。<震災取材班>


(写真:震災で亡くなった神戸大生の遺族)

震災で亡くなった神戸大生の遺族
▽都築和子さん
 当時法学部4年 故・櫻井英二さん<愛媛県立八幡浜高卒/ユースサイクリング部>の姉。
「今年もJR六甲道から(慰霊碑まで)1年を振り返りながら歩いてきました。去年は特段ビッグニュースはなかったが、私にとって(ニュースネットに震災体験の)インタビュー取材を受けたことは大きくて『英くん、お姉ちゃん頑張ったよ』という気持ち。嫌なこともたくさんあったけど、健康に平凡に新年を迎えられて、またここに来られて良かったです」

参考記事「【慰霊碑の向こうに】15 故・櫻井英二さん(当時法学部4年)=姉・都築和子さんの証言=」
<前編>https://blog.goo.ne.jp/kobe_u_media/e/9bf0c4a091b634fa88beb244e92ff7cb
<後半>https://blog.goo.ne.jp/kobe_u_media/e/4a7df18ea52c327df001a6bad941545f


(写真左:弟を偲ぶ都築さん)

▽上野政志さん
 当時発達科学部2年 故・上野志乃さん<兵庫県立龍野高卒/マンドリン部>の父親。
「この日は毎年時間が空いていれば慰霊碑前に来る。銘板の汚れが気になるので立てて貼ってあげたい、という思いがある。また、記念樹を植えたいという提案もしてみたが、実現していなくて寂しいです」


(写真左:慰霊碑についてのコメントをする上野さん)

▽戸梶幸夫さん(75歳)
 当時経営学部4年 故・戸梶道夫さん<大阪府立三国ヶ丘高卒/バドミントン部>の父。
「大阪から毎年来ていて、来年も元気なら来ようと思っている。この頃は顔を合わせる人が減って寂しく思う。息子は震災の前の日に成人式に出席して、17日は部活があるからと神戸に戻ってしまった」


(写真左:息子について語る戸梶さん)

▽戸梶栄子さん(73歳)
 当時経営学部4年 故・戸梶道夫さん<大阪府立三国ヶ丘高卒/バドミントン部>の母。
「早いなと思って。息子には、『元気にしてるよ』と伝えた。あの子はすごく頑張り屋さんで元気な子だった。塾に行かずに、勉強時間を計り、毎日10時間近く勉強していた。ご飯の時間を毎食決めており、とてもせわしなかったのを覚えている。やっぱり17日はここに来たいです」


(写真:献花する戸梶栄子さん)

▽藤原宏美さん、藤原美佐子さん
 当時経営学部4年 故・藤原信宏<三重県立津高校>の父母。
「三重から3時間かけて車できました。今日は天気も体調もいいし来ようかなと思った。コロナ前までは毎年参加していたが、今年は3年ぶり。子どもに罪はない。献花式に来て、あのアパートに入れた私のせいではないかという罪の意識を感じてしまった」


(写真:献花する藤原さん夫妻)

▽坂本秀夫さん(77歳)
 当時工学部3年の坂本竜一さん<兵庫県立八鹿高卒>の父親。
「竜一が生きていれば今年で49か50。僕が竜一を亡くしたのと同じくらいの歳になったなぁ。彼のところに行くのも近くなったと感じます」


(写真:献花する坂本さん)

▽森尚江さん(86歳)
 当時法学部4年 故・森渉さん<大阪府立泉陽高/軽音楽部>の母親。
「震災にあったときは泉北ニュータウンに越してきたばかりでした。息子、渉の追悼のために毎年必ず献花式に行く」

▽阪口真咲さん(49歳)
 当時自然科学研究科博士前期課程1年生 故・今英人さん<石川県立泉丘高卒/軟式野球湧源クラブ>の妹。
「滋賀県から来ました。毎年来ていて、また来たよという気持ちです。震災28年目は、結構経ったなと感じます」

▽中村房江さん
 当時経営学部3年 故・中村公治さん<名古屋市立向陽高卒/映画研究部Rick’s>の母親。
「名古屋から来ました。この2年間は来なかった。亡くなった息子に対する自分の気持ちは変わらないが、他のきょうだいは地震に対してあまり反応がない。仕方のないことなのかもしれないが自分が経験して初めて分かるようになると思う」


(写真:献花する中村さん)

▽鈴木綾子さん
当時工学部3年 故・鈴木伸弘さん<静岡県立浜松北高卒/軟式野球部>の母親。
「浜松から来ました。この2年間は来なかった。年をとってくると、子供がいないのが寂しいです。もし子供がいたら心強かっただろうと思って、とにかく寂しい」


(写真:献花する鈴木さん)

震災で亡くなった神戸大生の友人、知人

▽国司和丸さん(故・高見秀樹さん<当時経済学部4年>の一期後輩の第36代応援団長)
 当時経営学部3年
「毎年変わらない。現況報告しに来ている。ともだ公園には最初はたくさんの人が来ていたが、だんだん人が少なくなって、ニュースでも取り上げられなくなっている。みんなの記憶が薄れていっていると感じます」


(写真:献花する国司さん)

▽末吉種子さん(100歳 森渉さんの下宿の大家さん)
「震災で亡くなった森渉さんの母親・尚江さんとは毎年ここで顔を合わせる。森渉くんは新聞社への内定も決まっていて優秀な子だった。元気やったらどんなに活躍しとっただろうと思います」


(写真中央:森渉さんについて語る末吉さん)

▽越山健治さん(50歳 当時工学部4年)
 故・戸梶道夫さんのバドミントン部の先輩。
「毎年、献花式より少し早い時間に来ていますね。遺族の方に会えたりするかなあと思ってきたが、あんまりいないみたいです」

▽安永倫子さん
「震災当時、神戸大2年生でした。阪急六甲駅の近くに住んでいて、自分は無事だったが、先輩や後輩が亡くなった」


(写真中央:献花する安永さん。)

現役学生のコメント

▽高橋悠太さん(慶応大4年)、國清彩さん(関西大4年)
高橋さんは、「中高のクラブ活動で、一人息子を亡くされた加藤りつこさんと10年来の付き合い。息子さんは志半ばで亡くなった。お母さんはどれほど辛かったことか。僕たちが思いを受け継いでいますよという感謝の意を示すためにここへ来ました」と話す。
國清さんは、「毎年来ていて今年で5回目。いつも同行していた加藤さんが体調を崩して来られなかったので、代わりに来ました。今年は代行ということで、思いを届ける。花を届けることで震災を忘れないという意を示したいです」と話した。

▽経済学部4年の堀田ちひろさん
「4年間震災救援隊に所属し、卒論でも震災関連のテーマを扱っている。来るものかなと思ってきた。使命感です」

▽経済学部4年の学生
「最近、阪神・淡路大震災で神戸大生が亡くなっていると知り、今、4年生なので最後に手を合わせに来ました」

▽法学部2年生の古谷美南海さんと武田百花さん
「ニュースネットのTwitterで追悼記事を読んだり、社会科学図書館で震災関連の展示も見たり、通学途中に阪急宝塚線で震災追悼の「生きる」の文字を目にしたりした。2人で誘いあってきた。祖母が淡路島に住んでいて被災したり、知り合いが亡くなったりした」

▽人間発達環境学研究科修士1年の女子学生
「神戸大に5年通っていたが、来たことがないので、神戸大生として今日ここに来ないといけないと思いました」

▽農学部1年の女子学生
「高校まで長野に住んでいて震災に馴染みがなかったが、学生という自分と同じ立場で亡くなった人がいるということを忘れてはいけないと思って来ました」

▽人間発達環境学研究科1年の登賢太郎さん
「年代、同じ立場の人が被災したことを知りました。高田先生など当時の被災したいろんな話を聞いて、次の災害が起きた時に備える必要があると思った」
 


【震災号外】5時46分 祈り捧げる

2023-01-17 17:29:53 | 阪神・淡路大震災
 神戸大学ニュースネット委員会は、1月17日付で、震災号外を紙面版とウェブ版(PDF)で発行しました。紙面版は17日に六甲台第1キャンパスで行われた慰霊献花式で配布しました。1月17日5時46分ごろの、東遊園地、ともだ公園、琵琶町公園、神戸大慰霊碑の様子を取材し、まとめています。

  神戸大で亡くなったのは学生39人、教職員3人、生協職員2人の合わせて44人で。慰霊碑には学生39人と教職員3人の42人の名前が書かれている。

▽2023年1月17日付「震災号外」=


 記事は、下記のURLからPDFでも見ることができます。
https://hanshin-awaji.seesaa.net/article/497000145.html

▽関連号外
【震災号外】慰霊碑に遺族ら献花
https://blog.goo.ne.jp/kobe_u_media/e/7867b828f2ac0f6819a9eee867aca886