雨が降らないうちに行ってしまおうと思ったけど、上野に到着したら小雨がふってしまった。しっとりした天気がターナー日和に思えたりもする(^-^)
そんな10月24日に鑑賞しました。
雨の日でも来場者は多く、人気の高い画家なんだなと思いました。私もこの画家の絵が好きです
まずターナー若き日の自画像を版画にした絵がありました。
ターナーの自画像(W. ホウル[子]による版画)1859-61年出版
・・・なかなかのハンサムさんです♪
会場の説明書きに書かれてましたが、床屋さんの家の息子で父親は息子の絵を店に飾って
「息子はいずれ画家になるぞ」と人に言ってたそうです。いいお父さんじゃないですか。
やがてロイヤルアカデミーで絵画を学んだのち、当時は絵の題材のランクとして下位にあったという風景画(ランクは今はないですが)の良さを世間に認識させたいと思い、携帯に便利な水彩画セットをもってあちこちにスケッチをしたそうです。スケッチだけでなく水彩画で一つの作品もつくってます。その水彩画作品を見るのを楽しみにしてました。
その水彩画を2作品ほど・・・
《スカボロー(版画集「イングランドの港」のための原画)》1825年頃
「スカボローフェアScarborough Fair」という歌や曲で有名な港町。手前の人物や船をはっきり描き、海に移る影が透明感を感じさせ、後景はもやにけぶり空気を感じさせる。
絵は写真じゃないから、画家がその時感じた印象にあわせて演出がされます。
それによってこんなに心地よい作品ができるのですねえ
《ヴェネツィア、月の出(「大運河とジュデッカ」スケッチブックより)》1840年
旅先のスケッチですが、色がとても美しい、自由で感覚的な描き方で、水彩画とはこんな風に自由に描いていいんだと思いました。
そして絵といい、題名といい、のちの印象派の画家モネの「印象、日の出」を想起します。
ターナーの携帯絵の具セットは写真でみたことがあります。色数はさほど多くはありませんでした。その限られた色で美しい絵を描いている。色の性質、混色の具合を熟知されていたんでしょう
油絵の作品は緻密で物語がはいってる作品が多かったです。
《バターミア湖、クロマックウォーターの一部、カンバーランド、にわか雨》1798年
若い頃の作品。山間にかかる虹がドラマチックです。
《ヴァティカンから望むローマ、ラ・フォルナリーナを伴って回廊装飾のための絵を準備するラファエロ》1820年
かなり大きな作品で、バチカンの回廊からながめる市街のパノラマを本当に見ている気分になります。
この写真ではわかりづらいですが右側で上を向いている人物はラファエロです。建物の絵の緻密さには驚嘆されます。
それに対し、この大きい絵にしては小さいけど、実際はある程度目鼻立ちがはっきりわかる大きさのラファエロの顔が簡単に描かれているのに驚きました。
ターナーの油絵作品には、人物がたくさん描かれている絵が多かったですが、どれも小さくて、目鼻は一応それっぽい印みたいに簡単な描きかたをしてました。ターナー氏の興味には人物はさほど重要ではなく、風景の一部でしかないのかな、と思いました。それでも、この壮麗な建物のバルコニーにラファエロが佇んでいると感動的です。
《レグルス》1828年
ローマの執政官レグルスは第二ポエニ戦争でカルタゴ軍に捕えられ、瞼を切り取られ、日の光を浴びて失明する。その最後に目に映った映像を想像して描いた作品。
日の光がやがて視界のすべてを奪い、暗転していく直前の刹那、残酷で美しい絵
ターナーの絵には海が多く描かれていて、どれも迫真にせまってます。その海は時に人の命を奪うほど波が高い。彼はその波をどこからスケッチしたのだろうか。やはり風強い日に海辺でスケッチをしたのでしょうね。壁の説明には船に縛り付けて嵐の海をスケッチしたとか、描く前に船酔いしそう・・・。晩年は海が良く見えるお気に入りの部屋を借りて描いたらしいですが。
そして船など乗り物もよく描かれています
《スピットヘッド:ポーツマス港に入る拿捕された二隻のデンマーク船》1808年
降伏したデンマーク船は国旗をイギリスの国旗の下に掲げさせられています。デンマークにとっては悔しい光景です。
イギリス側にいるターナーは幾分高騰感をもってこの絵を描いたでしょう。見たイギリス人は胸を躍らせたにちがいありません。白い帆を張った帆船の姿は美しく勇壮でもあり、降伏したとはいえデンマークの海軍の設備の良さを感じました。
《平和―水葬》1842年
友人の水葬を描いたものだそうです。厳かで哀愁に満ち、そして美しい。友人の棺が海に入れられるその瞬間、まるで神の注いだ光のごとくその棺が明るく照らし出されています。それはターナーの友人への想いの光にも思えます。時代は帆船から蒸気船に移ったようですね。汽笛の音が聞こえてくるようです。
ターナーの筆致はだんだんと大きく筆跡がわかるようになり、それを旧態依然の批評家が批判する事も多かったそうです。
でもこの人の絵の心地よさはこの筆致が生み出しているように思えます。この人の油絵の道具が展示されていました。こじんまりとしたセットでした。絵具の自家製チューブみたいなのがありました。ひとつだけ市販のチューブがありましたので、後半生では普及されていたのでしょう。
ターナーの中年以降の姿を他の画家がスケッチした絵も展示されていました。壁に描かれた解説には、女性からはあまり注目されないとかなんとか書かれていましたが、すっかり太鼓腹で人の好さそうなおじさんの姿でした。いえいえ、彼に与えられた美はすべて彼の絵に注がれたのです。
英国最高の画家と現在いわれているそうです。
そうそう、この絵も
《チャイルド・ハロルドの巡礼―イタリア》 1832年
夏目漱石が「坊ちゃん」のなかで赤シャツが気取ってターナー島と名付けた小さい島の元となった絵(じゃないかな)といわれています
遺作の絵は未完成で、これから具体的な絵を描くはずだったそうです。
《湖に沈む夕陽》1840−45年
これだけでも十分に美しい抽象画のようにも見えます。
ターナーの油絵だけでなく水彩画もいっぱい見れて幸せでした。試し書きみたいな作品も見れて画家の試行錯誤を垣間見れて興味深かったです(#^.^#)
こんな楽しい天気予報が出口にありました
天気によって絵を変えるみたいです☆
そんな10月24日に鑑賞しました。
雨の日でも来場者は多く、人気の高い画家なんだなと思いました。私もこの画家の絵が好きです
まずターナー若き日の自画像を版画にした絵がありました。
ターナーの自画像(W. ホウル[子]による版画)1859-61年出版
・・・なかなかのハンサムさんです♪
会場の説明書きに書かれてましたが、床屋さんの家の息子で父親は息子の絵を店に飾って
「息子はいずれ画家になるぞ」と人に言ってたそうです。いいお父さんじゃないですか。
やがてロイヤルアカデミーで絵画を学んだのち、当時は絵の題材のランクとして下位にあったという風景画(ランクは今はないですが)の良さを世間に認識させたいと思い、携帯に便利な水彩画セットをもってあちこちにスケッチをしたそうです。スケッチだけでなく水彩画で一つの作品もつくってます。その水彩画作品を見るのを楽しみにしてました。
その水彩画を2作品ほど・・・
《スカボロー(版画集「イングランドの港」のための原画)》1825年頃
「スカボローフェアScarborough Fair」という歌や曲で有名な港町。手前の人物や船をはっきり描き、海に移る影が透明感を感じさせ、後景はもやにけぶり空気を感じさせる。
絵は写真じゃないから、画家がその時感じた印象にあわせて演出がされます。
それによってこんなに心地よい作品ができるのですねえ
《ヴェネツィア、月の出(「大運河とジュデッカ」スケッチブックより)》1840年
旅先のスケッチですが、色がとても美しい、自由で感覚的な描き方で、水彩画とはこんな風に自由に描いていいんだと思いました。
そして絵といい、題名といい、のちの印象派の画家モネの「印象、日の出」を想起します。
ターナーの携帯絵の具セットは写真でみたことがあります。色数はさほど多くはありませんでした。その限られた色で美しい絵を描いている。色の性質、混色の具合を熟知されていたんでしょう
油絵の作品は緻密で物語がはいってる作品が多かったです。
《バターミア湖、クロマックウォーターの一部、カンバーランド、にわか雨》1798年
若い頃の作品。山間にかかる虹がドラマチックです。
《ヴァティカンから望むローマ、ラ・フォルナリーナを伴って回廊装飾のための絵を準備するラファエロ》1820年
かなり大きな作品で、バチカンの回廊からながめる市街のパノラマを本当に見ている気分になります。
この写真ではわかりづらいですが右側で上を向いている人物はラファエロです。建物の絵の緻密さには驚嘆されます。
それに対し、この大きい絵にしては小さいけど、実際はある程度目鼻立ちがはっきりわかる大きさのラファエロの顔が簡単に描かれているのに驚きました。
ターナーの油絵作品には、人物がたくさん描かれている絵が多かったですが、どれも小さくて、目鼻は一応それっぽい印みたいに簡単な描きかたをしてました。ターナー氏の興味には人物はさほど重要ではなく、風景の一部でしかないのかな、と思いました。それでも、この壮麗な建物のバルコニーにラファエロが佇んでいると感動的です。
《レグルス》1828年
ローマの執政官レグルスは第二ポエニ戦争でカルタゴ軍に捕えられ、瞼を切り取られ、日の光を浴びて失明する。その最後に目に映った映像を想像して描いた作品。
日の光がやがて視界のすべてを奪い、暗転していく直前の刹那、残酷で美しい絵
ターナーの絵には海が多く描かれていて、どれも迫真にせまってます。その海は時に人の命を奪うほど波が高い。彼はその波をどこからスケッチしたのだろうか。やはり風強い日に海辺でスケッチをしたのでしょうね。壁の説明には船に縛り付けて嵐の海をスケッチしたとか、描く前に船酔いしそう・・・。晩年は海が良く見えるお気に入りの部屋を借りて描いたらしいですが。
そして船など乗り物もよく描かれています
《スピットヘッド:ポーツマス港に入る拿捕された二隻のデンマーク船》1808年
降伏したデンマーク船は国旗をイギリスの国旗の下に掲げさせられています。デンマークにとっては悔しい光景です。
イギリス側にいるターナーは幾分高騰感をもってこの絵を描いたでしょう。見たイギリス人は胸を躍らせたにちがいありません。白い帆を張った帆船の姿は美しく勇壮でもあり、降伏したとはいえデンマークの海軍の設備の良さを感じました。
《平和―水葬》1842年
友人の水葬を描いたものだそうです。厳かで哀愁に満ち、そして美しい。友人の棺が海に入れられるその瞬間、まるで神の注いだ光のごとくその棺が明るく照らし出されています。それはターナーの友人への想いの光にも思えます。時代は帆船から蒸気船に移ったようですね。汽笛の音が聞こえてくるようです。
ターナーの筆致はだんだんと大きく筆跡がわかるようになり、それを旧態依然の批評家が批判する事も多かったそうです。
でもこの人の絵の心地よさはこの筆致が生み出しているように思えます。この人の油絵の道具が展示されていました。こじんまりとしたセットでした。絵具の自家製チューブみたいなのがありました。ひとつだけ市販のチューブがありましたので、後半生では普及されていたのでしょう。
ターナーの中年以降の姿を他の画家がスケッチした絵も展示されていました。壁に描かれた解説には、女性からはあまり注目されないとかなんとか書かれていましたが、すっかり太鼓腹で人の好さそうなおじさんの姿でした。いえいえ、彼に与えられた美はすべて彼の絵に注がれたのです。
英国最高の画家と現在いわれているそうです。
そうそう、この絵も
《チャイルド・ハロルドの巡礼―イタリア》 1832年
夏目漱石が「坊ちゃん」のなかで赤シャツが気取ってターナー島と名付けた小さい島の元となった絵(じゃないかな)といわれています
遺作の絵は未完成で、これから具体的な絵を描くはずだったそうです。
《湖に沈む夕陽》1840−45年
これだけでも十分に美しい抽象画のようにも見えます。
ターナーの油絵だけでなく水彩画もいっぱい見れて幸せでした。試し書きみたいな作品も見れて画家の試行錯誤を垣間見れて興味深かったです(#^.^#)
こんな楽しい天気予報が出口にありました
天気によって絵を変えるみたいです☆
先日「スカボロフェア」をアカペラアンサンブルで歌いました。皆さん、意外と歌詞の中身をご存じないかも?
スカボローは、北海沿岸の英国中部の重要な交易拠点。そこには道化師や手品師が集い、毎年8月15日には45日間にも及ぶ長期間の市が開かれました。
恋人に捨てられた若者が、彼女に縫い目なしで彼のシャツを縫ったり、それを乾いた井戸で洗うような一連の不可能な仕事を成し遂げれば、彼女を取り戻すだろうと言う歌です。パセリ、セージ、ローズマリー、タイムは、魔よけのハーブ(薬草)。この絵を見ながら、この元歌を口ずさみたくなりました。
Are you going to Scarborough Fair?
Parsley, sage, rosemary and thyme
Remember me to one who lives there
For once she was a true love of mine.
スカボローの市へ行くのですか?
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
そこに住むある人によろしく言ってください
彼女はかつての私の恋人だったから
Have her make me a cambric shirt
Parsley, sage, rosemary and thyme
Without a seam or fine needle work
And then she'll be a true love of mine.
ケンブリックのシャツを彼女に作ってもらってください
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
縫い目も残さず針も使わずに
そうしたら彼女は私の恋人
Have her wash it in yonder dry well
Parsley, sage, rosemary and thyme
Where ne'er a drop of water e'er fell
And then she'll be a true love of mine.
あの涸れた井戸でそれを洗ってもらってください
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
そこは一滴の水もなく雨も降らない
そうしたら彼女は私の恋人
Have her find me an acre of land
Parsley, sage, rosemary and thyme
Between the sea and over the sand
And then she'll be a true love of mine.
1エーカーの土地を彼女に見つけてもらってください
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
海と岸辺の間にある土地を
そうしたら彼女は私の恋人
「スカボロフェア」の歌詞を教えていただきありがとうございます。
スカボローフェアは賑やかで盛大な市なはずなのに、この歌は哀しげで神秘的な雰囲気を感じてましたが、かなわぬ恋の想いが歌詞につづられていたのですね。
また、パセリ、セージ、ローズマリー、タイムはイギリスの家庭料理で使うハーブですが、何やら呪術的にも感じられました。
イギリスにはハリーポッターのように、昔から魔法遣いが潜んでいる国だから、不可能と言いつつも不思議な呪文でもしかしたら実現するのかも、と一縷の望みを託している青年の気持ちを歌詞から感じました。
ああ、この歌を聞きたかったです
せっかくご招待いただいたのに、先月は体調を崩してしまって・・・
ターナーの「スカボロー」は祭りの賑やかな絵ではないけど、たくさんの船が停泊していて、栄えている港町なのがうかがえますね。さほど大きい絵ではありませんが、見ごたえがあり、ターナーの水彩画ってほんとうに素晴らしいです♪
この展覧会はおススメですよ(^^)/
それはよかっターナー(^^♪
あ、いや
遵命さん☆
上野に行かれたのですか。今は木の葉も色づき、晴れの日も多く、散策や展覧会めぐりにちょどよいですね♪私も先週「洛中洛外図」を見にいきました♪
ところで!
遵命さんのツイッターを拝見して、「鴻門宴伝奇」の上映のニュースを読んで色めき立ってます。実現しますように
そしてそして最後に
ターナーからぼた餅
お粗末