8月12日、クレオパトラの命日に東京国立博物館にて鑑賞しました。
エジプト関係の展覧会は毎年夏に上野公園にある美術館、博物館のどこかで開催されているようです。私はもう何年前なのかわからないくらい前に行ったことがありました。ずっとエジプト展が気になっていたけど、夏休みって人が多そうだし家に子供がいるし何となく行かないでいました。今年は思い切って前売り券を生協で購入し、購入したからには絶対行こうと気張って向かいました(大げさですね(^▽^;))
今回の展覧会は世界12か国、美術館や博物館、個人所蔵あわせて40か所から作品を借り受けて集めたのだそうです。交渉にすごく時間がかかったのでは。去年もたしかエジプトの王妃や女王をテーマにした展覧会があったのは記憶してます。今年も似たテーマで開催するのだなあ、と思いましたが、去年を見てないので私としては新鮮な気持ちで鑑賞出来ました。
展示は時系列で並んでいるかと思いきや、さにあらずで途中で時間の迷路に入り、またお名前が似ていてこんがらがってしまいました。もう少しわかりやすく展示してほしいです・・・。
帰宅してからまずはもう一度公式ホームページやblogを読み直しました。神官、乳母など身分の高い女性も展示されてましたが、展覧会のタイトルに則って女王や王妃の名前をメモ書きしました。
ヘテプヘレス・・・古王国第3王朝フニ王の娘第4王朝創始者スネフェル王の妃、クフ王の母(前2614~2556年頃)
彫像はなく、肘掛椅子や寝台などの生活用品のレプリカが展示されてました。寝台は傾斜があって寝づらそう・・・体の上にかけた布団がずるずる足元にずれ落ちそうです。枕も固くて横向き専用の寝づらそうなものでした。
でも肘掛椅子はオシャレ♪きっと座面にクッションを敷いていたのでしょう。
クフ王ってあの巨大なピラミッドを作らせた王ですよね
ヘテプヘレス2世・・・古王国第4王朝メンカウラー王の妃
「王妃ヘテプヘレス2世とその娘メレスアンク3世」
危うくヘテプヘレスと混同するところでした(汗)
古王国では「ジェドエフラー王と王妃ケンティカ」の像も展示されてました
王にはたくさんの妃がいます。皇太子は必ずしも正妃(第1夫人)のお子さんではなかったそうですが、先代の王と正妃の間に生まれた王女と結婚することによって正式な血筋を継承した王と認可されたそうです。
だから正妃の権力は強かったそうです。
時代はどーんと過ぎゆき
イアフヘテプ・・・第17王朝末期セケネンラー2世の妃、新王国第18王朝イアフメス王の母
エジプトを侵略しようとしたヒクソスとの戦いで夫と長男が次々と戦死。幼いイアフメスの共同統治者となり、息子を立派に育てる。敵の侵入を阻止しながら国を統治し、子育てもこなしたイアフヘテプ。素晴らしい王妃ですね
やがて成長したイアフメス王はヒクソスをナイル流域から追い出し、古代エジプト王朝で一番繁栄した新王国第18王朝を築く。
イアフメス・ネフェルトイリ・・・新王国第18王朝創始者イアフメス王の妃
後にイアフメス王と共に神格化される。2代目王アメンヘテプ1世の母。
ハトシェプスト・・・トトメス1世と正妃(イアフメス王の娘)との間の子、トトメス2世の妃。後に女王となる(前1492~前1458年頃)
若い王妃時代の肖像。利発そうな美人さんです。トトメス2世の没後、自分の子でない幼いトトメス3世が即位して共同統治者となるが後に女王となる。
女性はファラオになれないのが決まりだったので、男装して統治したそうです。戦争ではなく外交で平和な時代を作る。
死後、トトメス3世が女王像をことごとく破壊(王妃の像は残した)王名表からも削除されたそうです。でも、現在はしっかりお名前が残ってるのですね。
トトメス3世は自分のハーレム宮殿を作り、妻たちを住まわせたそうです。そしてその宮殿で女性たちは麻生地の工房を担ってたそうです。
ティイ・・・新王国第18王朝アメンヘテプ3世(前1388~1350年頃)の妃、アメンヘテプ4世の母
平民出身の妃。正妃の娘でないのが異色。地方の有力者の娘だったそうです。王様からとても愛されていたそうで、外交の手腕も発揮。美人で聡明だったのでしょう。王の没後、即位した息子は自分の名前をアメンヘテプ(アメン神は満足する)4世からアクエンアテン(アテン神に有益な者)に改名、そのころ発言権を強くしていたアメン神官をけん制して都をテーベからアマルナに移すときに同行したそうです。
孫のツタンカーメンのお墓にはティイの髪の毛が収められていたそうです。おばあちゃん子だったのかな。
ネフェルトイティ・・・新王国第18王朝アクエンアテン王の妃
日本ではネフェルティティの呼び方の方が有名。「美しい婦人が来た」という意味だそうです。さぞや美人だったのでしょうね。
この像はネフェルトイティ像とも、ツタンカーメンの実母と言われるキヤ像とも言われているそうです。・・・ということはツタンカーメンとは母子ではなかったのね。
夫アクエンアテン王と新首都アマルナで自然な造形の美術文化を推進。
首都は次の王ツタンカーメンの時代にテーベに戻されます。
そして新王国第19王朝に入ります。
この時代は王妃の名前の前に、何といっても190cmほどあったという大柄な王で、しかも古代にしては90歳くらいまで長生きした驚異的な生命力の王ラメセス2世をメモしておきます。
ラメセス2世はたくさんの妃とお子さんを持った人だそうですが、「偉大なる王の妻」(正妃)の称号を持つのは二人の妃です。
ネフェルトイリ・・・息子は皇太子になりますが、父親の長い治世の間になくなります。
ラメセス2世は彼女をとても愛したそうですが、若くして亡くなったそうです。
イシスネフェルト・・・ネフェルトイリが亡くなった後「偉大なる王の妻」に昇格。
彼女の子も皇太子になるが、やはり父の治世のうちに亡くなったそうです。
そしてさらに時代は過ぎて
マケドニアのアレクサンダー大王が東方遠征をし帰路没したのち、同行した将軍プトレマイオスがエジプトで独立して王朝を作ります。プトレマイオス王朝です。
クレオパトラ7世・・・プトレマイオス12世の娘、弟のプトレマイオス13世と共同統治、後に女王となる(前1世紀頃)
もうすっかりヨーロッパ人のお顔です。・・・というよりローマの彫刻師が作ったからローマ人風になったのかな?
クレオパトラ像がいくつか展示されていて、その近くにカエサル、ちょっと離れてアントニウス、オクタヴィアヌスの像が展示されてました。アントニウスはマッチョなラテン系の大柄なお顔、その隣に展示されていたオクタヴィアヌスのお顔の小さい事!カエサルはもう年を取ったお顔だけど、端正で若い頃はハンサムだったのではと思わせます。カエサルとクレオパトラの間の子カエサリオンの銅像もありました。とても愛らしい。その造形は完全にギリシャ・ローマ彫刻です。
・・・というわけで全員という訳ではないけど大体の妃のお名前を時系列で記しました。(ここまでででもう充分、大変だった・・・orz・・・)
展示には神様の像、生活用品などありましたが、一番興味を持ったのはアクセサリーです。細かなビーズや神様の刻印をした金細工を組み合わせた繊細なデザインです。
可能な限り画像を集めてみました。
まず、イアフヘテプが勇敢な戦士に授けたネックレス
「ハエ型装飾付首飾り」
金色のハエの飾りがついてます。五月蠅い奴だと思ったわけではなく、ハエのように勇敢に敵に突進する兵士を讃えた勲章なのだそうです。
ハエはいやだけど、このデザインは素敵♪
やはり新王国時代のブレスレット
もっとおおきな画像だとわかるのですが、繊細な貴石のビーズと金細工の組み合わせ。金細工には横向きで立っている牝のカバの姿が刻印してます。
タウレト神といい安産の神様だそうです。その横向きの姿がユーモラスで可愛い♪
そして貴石とガラスのビーズと金細工が組み合わさったネックレス
「ウジャト眼の首飾り」
中央の金細工にはウジャトの眼が刻印されてます。
ウジャトの眼はホルス神の左目で月を暗示し、そして幸福と繁栄を表すのだそうです。
とてもエジプトらしい刻印で美しい。
刻印をみると私には右目に見えてしまうのですが、きっと見方がわかる人には左目にみえるのでしょうね。
それから密教に出てくる観音菩薩の涙の化身ターラー(多羅)菩薩を思い出しました。
他にもウジャトの眼の指輪やネックレス。丸いピアスなどあり、色合いも美しく見ていて楽しかったです。そして腕輪も指輪もとても直径が小さい。身に着けている王室の女性はとても小柄で華奢だったようです。
そういえば壁の絵やレリーフなども女性はいずれもほっそりしています。古代エジプトではほっそりした女性が好まれたようです。そんな女性が繊細なビーズ細工のアクセサリーを付けていたんだとしばし空想しました。
アクセサリーはギリシャ系のマケドニア王朝のも展示されてました
いずれも「蛇型の腕輪」
蛇はウラエウスという聖蛇がよく王や王妃の額に飾ってますが、こちらはどうなんだろう。
エジプトというよりギリシャのデザインで、端正な形ですが、私はやはり小さなビーズを細い金糸で組み合わせたエジプトのアクセサリーが好みです。
クレオパトラの像を見てるとがっしりとした感じがして、やはり人種が違うんだなと思います。
でもエジプト人として生涯を全うして、何度も王朝が変わったとはいえ何千年も続いた王朝を守り彼女の死と共に古代エジプトは終焉をむかえたのですよね。
ヨーロッパののちの時代に書かれたクレオパトラはなんだかお腹にセルライトがいっぱいついてそうなくらいぽっちゃりです(汗)
「クレオパトラの死 」アッキーレ・グリセンティ筆 1878~1879年
ギュウッて握られた蛇も断末魔
大変な才女だと聞くし、ローマの英雄の心をつかむ人間的魅力のある女性だったのだと思います。
最後にクレオパトラが亡くなった日の夜空の再現が大きな映像で見れました。現在とだいぶ星の位置がずれているのですね。
鑑賞後、ビーズのアクセサリーコーナーを見ました。いずれも1万~3万円くらいしてさすがに手が出ない。ブレスレットであの繊細なビーズの腕輪と似ていて金色の飾りには猫の姿がついているのも素敵で欲しかったけど高くて・・・。
そしたら、展覧会とアクセサリーメーカーの共同企画でウジャトの眼のついたビーズのネックレスが4千円代なので、ちょっと迷いましたが買ってしまいました。
これ前売り券付きでお得なセットもあったそうです。
嬉しくて帰宅して首に着けたら・・・ちょっと重くて・・・。これぐらいなら普通は全然平気な重さなのですが、自分頚椎症でリハビリに通ってる身でした(^^;)
でも見て楽しんでます♪
おおそうだ☆
ショップにはオシリス結びのマークペンダントが売っていて、お値段も手頃で、お友達同士で鑑賞に来た高校生くらいのboysが気に入って買ってました。いいねえ、似合うよ!
お願いだから王朝順とかで展示して下さいよぉ~!あと展示品の材質、例えば
ラピスラズリや紅玉髄や花崗岩etc.…ちょこっと展示プレートに書いてあると
もっと興味深く観られるのにぃ~~と思っていながらアンケートに書くのを
見事に忘れた(爆)ファラオの呪いか?いや!それは無い。今回の展示は
女王、王妃様がメインだから
今回の展示、プトレマイオス王朝時に製作されたギリシャ、ローマとエジプトの
文化が妙にミックスされた、何ともいえない變…いや!超個性的な遺物が
展示されているかな~
それでは趣向を変えまして、天下を取った顔(オクタヴィアヌス)と
良い線まで行きながらダメだった顔(アントニウス)とを見比べてみました
。
ローマ初代皇帝陛下のオクタヴィアヌス。何を考えてるのか解らない顔
してやが…
なりたくないタイプとお見受けいたしました。表情が見えない彫刻みたいな
お顔(・・・って彫刻か
一方、負けた方のアントニウス。…どこか私の大好きなサッカー選手に似て…
せぇくしぃ~
心の中で自分で自分のほっぺた殴りながら「あれはクレオパトラ女王陛下の
オトコだ!!しっかりしろ自分!!」と必死で冷静さを保っていた(←バカ)。
ぽけぇ~~っと他人の男に見とれていたら、どこかからサッカーボールと
黒鉄扇飛んで来るワ
でも、クレオパトラ女王はたぶんアントニウスのこの、せぇくしぃーなトコロに
惚れたのだな。と勝手に思って楽しんでいました
そういえばクレオパトラ女王のもう一人のオトコ(カエサル)の彫刻も
有ったよな…。全然見比べていない。
私、ジジイは嫌いなんだよ(←ひでぇ!!)
クレオパトラ女王はたぶんアントニウスのこの、せぇくしぃーなトコロに惚れたのだな
たしかに!アントニウスは頭像をみるだけでも筋肉隆々とした大柄な美丈夫なのがわかりました。武将としても抜きんでた存在だったのだから、現代に生きてたら必ずやスポーツのスタープレイヤーになってると思います☆
もててただろうなあ~
最初は幼い弟と結婚し、次に50代のカエサルと結婚したクレオパトラにとって、これまで会った男性にはないタイプで惚れちゃいますよね。
アントニウスも高貴で美しい、そして権力をも掌握できる彼女に惚れたのでしょうねえ。男は高い山のような女を手に入れようとするから(by「フォーエバーラバーズ」)
ギリシャ文化とエジプト文化が混在したマケドニア朝美術作品は今回はそういえばあまりなかったですね。しいていえば蛇の腕輪などはそういう作品の一つなのかな(?_?)。この腕輪、考えてみれば紀元前のアクセサリーで保存状態がすこぶる良いのに改めて驚きます。現代でも宝飾メーカーがデザインしてそうなくらいモダン。またいつかこの時代の作品を見れる機会があると期待してます!
blogの感想は資料を少しずつ集めてから一気に文章をパソコンに入れるのですが、今回はすっかりエジプトの世界にはまり込んで、ふと「ラメセス。ラメセス、ルルルルル~」と呟いていてナイルの彼岸に行ってしまいそうになりました
エジプト関係の展覧会としては地味な印象ですが王妃や女王の事も知れてアクセサリーも綺麗で面白かったです(^o^)丿☆