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素心 バーミヤン天上壁画~流出文化財とともに~

2016-06-16 14:33:27 | 一期一絵



東京国立博物館で開催されている「黄金のアフガニスタン展」に合わせて東京芸術大学の陳列館にて「アフガニスタン特別企画展」として開催されています。
先月芸大まで頑張って行ったのに、藝大美術館での展示だと思い込んで美術館入口の「本日閉館」の立札を見てガックリして帰ってしまったのですが
展示しているのは敷地内で向かい合ってる建物「陳列館」でした(汗)。
赤煉瓦の色合いも美しい古い建物が陳列館、建物の前には展覧会の看板とロダンの「青銅時代」が並んでいて色合いもいい感じです。

入場無料でしかも写真を撮るのも大丈夫(ただしフラッシュは不可)です。「黄金のアフガニスタン展」の最後にも展示されてた日本へ流れてきて保護された作品の他のすべてを展示、そして2001年にタリバンによって爆破された東西2体のバーミヤン大仏の内、東大仏の収まっていた岸壁の仏龕の天井に描かれていた壁画を芸大で再現した作品が鑑賞できます。やはりこちらの美術展も見たくて6月15日に行ってきました。

会場は入口から鮮やかなブルー。ラピスラズリの洞窟を思わせる内装です

1990年代、国内の混乱と共にアフガニスタンの国立カブール博物館に所蔵されていた国宝級の美術品が盗まれ、破壊されたバーミヤン大仏の壁画や周辺の窟から削り取られた壁画断片までも盗まれ散逸してしまう。その中で日本に流れてきた美術品は故平山郁夫氏が提唱し「文化財難民」として保護し東京芸術大学で修復保存していたそうです。
そして今回の展覧会を終えた後アフガニスタンに返却するそうです。


1階の展示

ギリシャ・ローマの文化を感じる西洋的なお顔の人たち


左にいるのは牛の頭部、そして真ん中と右はライオンです。真ん中のライオンはなんだかユーモラス♪


そして気品のある端正なお顔の仏様たち


3~4世紀、ハッダ
上の写真の真中の仏様です


ヴァジュラバーニ(執金剛)3~4世紀、ハッダ
ギリシャ美術の影響を感じる執金剛像。薄い衣の流れる様子が美しい


仏様の横顔がまたとても美しいんです

バーミヤン石窟からはがされた仏画も展示されてました
仏画の中にはわざとお顔が削られてしまっている痛ましい作品もありました

こちらの仏様はとても小さい絵でしたが、ほんのり笑顔なんです


こちらも優雅なかんばせが見られます

そしてバーミヤンの壁画を復元したクローン作品も展示されてました。
これまでのコピー作品とはまた違う、いつかは壊れてしまう可能性のある文化財を最先端の科学技術と修復する人の感性と技術を合わせて作り上げた文化財複製。そうやって次世代に作品を伝えてゆく意義を持っているのだそうです。
そのクローンの内の3点は実際に触ることもできました。


そしてバーミヤンの東大仏の天井画を複製した作品が展示されている2階へ

丁度講演会が天井画の下で催されていてこの青い入口から見ると中は混んでました。
少し待って入ってみました。
天井にはあの壁画が。丁度バーミヤン大仏の頭から見える高さに合わせて展示されているそうです

「天翔る太陽神」。ペルシャの神様だそうです
照明は床から発していましたが、なにせ人が多いので光が遮られほの暗い中浮かび上がるように見えました。部屋の全体を写したかったのだけど、やはり人が画面に沢山映るので遠慮しました。


太陽神の右上に見える風神。遠く海を越えて日本にも風神の絵が描かれました。


翼を持ったアテナ神。おお、ギリシャの神様も

他にもブッダの姿も描かれていました。本物の壁画を再現したのちわかる範囲で加筆したそうです。赤色とラピスラズリの青色が鮮やかで美しい。

同じ部屋にガンダーラ美術のレリーフやガラス製品、象牙でできた飾り絵の断片がありました

菩薩とクシャン人供養者 2~4世紀、カピサ


ガラス器 1世紀 ベグラム


装飾版断片 1世紀 ベグラム
こちらは象牙で繊細に像とゾウ使いが描かれてます。

そして入口と反対の壁一面にはバーミヤン仏頭から見える景色が映ってました。



美しい夜明けの景色

2階展示室入口のそばで藝大ユーラシア基金の募金を募っていて、500円だとリーフレットをいただけて、1000円だとパンフレットがいただけます。
私は500円寄付してリーフレットをゲットしました。
500円コインを入れるとゆっくりと螺旋状に転がり穴に落ちていく仕組みの集金箱が面白かったです。
その集金箱に500円を入れて手を合わせてお祈りされる紳士がいました。それで私もその集金箱を写真に写すのは遠慮しました。

天上画の全体は写真に写せなかったので入口にあった全体像の写真を載せます

写真の下の方に何人かのサインが書かれてます。


この展覧会と合わせて「黄金のアフガニスタン展」が鑑賞できた、と気持に区切りが出来ました。
古代のアフガニスタンの王たちは様々な人種や宗教を懐深く受け入れて融合していったのですねえ。

天翔る太陽神のお顔は優しい笑顔でした。

盗難され散逸した数多くの作品のうち、日本で保護され「文化財難民」となった作品は、多分幸運なのだと思います。平和を取り戻したら必ず祖国に帰れる保証があるから。今年とうとう返還されるそうですが、大丈夫かな、なんて心配になりますが。どうぞご無事で。



藝大までは上野駅から少し歩くので、今ちょっと健脚でない私はJR上野駅の目の前にある東西めぐりんという路線バスに乗って芸大前で降車しました。

このバス停で3つ目の停留所でした。乗車代は100円です。ご参考までに


2 コメント

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ガラス器 (林谷)
2016-06-28 19:56:13
青さが美しいです♪
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今も、昔も☆ (blueash)
2016-06-28 22:41:34
林谷さま
たしかに☆
もう2000年も時を経ってるのに青いガラス壺は今見ても十分鮮やかで美しいですね!やっぱりラピスラズリブルー。壺の周りにガラスの飾りをつけていてセンスが良くて、作った人の遊び心も感じて素敵です
実は「黄金のアフガニスタン展」にも似ている作品が展示されていたんです。せっかくだから写真を付け足しました
もう日本では見れない作品だし、よろしければ、ちょっと見てみてくださいね!
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