しばらく美術展に行ってませんでしたが、暖かい2月2日にこの展覧会へ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/cd/8027297c3668bd5697c7479243c2d853.jpg)
鑑賞者は多すぎず少なくもなく比較的見やすかったです。
エル・グレコはその名の通りギリシャ人ですがギリシャのクレタ島ではイコンを描き、その後イタリアのベネチアで後期ルネッサンスの息吹を吸収開眼し、ローマの滞在を経てスペインのトリドに定着、活躍したスペイン三大画家の一人(後の二人は後に活躍するベラスケスとゴヤ)だそうです。
はっきりと黒で輪郭をとり、明るい所は本来の色を超えて白さを強調、色のコントラストが激しく、誇張されたスタイルの良さ、うねるような構図に配された神々や人物の姿を見て、思わず「ジョジョの奇妙な冒険」を思い起こしました。
最初のクレタ時代で描かれたイコンのテンペラ画「聖母を描く聖ルカ」は損傷があり左の人物(聖ルカ)が殆ど削れていましたが、ギリシャがカソリックでなくギリシャ正教の国なんだとあらためて確認。非常に細かい筆致のテンペラ画でマリア様はあまり表情を表に出してなく厳かな雰囲気でした。
この人の始まりはこういう細密画から始まったのですね~。
クレタからベネチアに行き、間もなく正確な遠近法と大げさなくらいの身振りと鮮やかな色を身に付ける。飲み込みの早い人だったのでしょうすっかりベネチア派の絵画。でも
既に暗闇と光の差を鮮やかに強調する絵を描いてます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/18/1070635ee8be99a21d331769f97d5ac9.png)
受胎告知(1576年)
こちらはベネチアからローマに移った頃の絵
そしてスペインに渡り、彼の世界が大きく花開く
ここからさらに強い黒の輪郭と強烈な明暗がどんどん顕れ、神様や人の体は引き伸ばされ頭は小さく手足は長く、まるで劇画のよう。そうジョジョみたい。
以前何回か美術館展で1点とか2点ずつこの人の作品を見た時は正直言ってあまり好きになれませんでした。人の体が長すぎて、顔もちょっとデッサンがくるってるように見えて。色も黒が強すぎて、優美さより激情が勝っているように見えて。
でも数年前知り合いから
「私、画家ではエル・グレコが好き」という方がいたのです。
「学生時代にスペインに旅行して教会でみたエル・グレコの絵にすごく惹きつけられたの。」
それを聞いてエル・グレコを見直そうと思ったのです。
今回じっくりこの人の絵を見て、暗い下地の色の上に太い筆致でざくっと絵を描いて、塗った色がそのままべったり余分についているのに驚きました。
この時代でこんなに筆触を荒々しく残している絵はそういないのじゃないかな。それに細かくない筆致なのに描かれた神様や人物は強い存在感をあらわしている。その筆遣いに爽快さをかんじました。肌の色はちょっとだけ肌色っぽい色を混ぜてるけど殆ど白。黒い髪や衣服と合わせると、幾分人物が青ざめて神秘的にも見えます。
なかにとても筆致の細かい肖像画もありましたが、同じ人の絵じゃないみたいにみえました。
絵を描くのが早くてまた一気に形をとれる人だったのでしょう。仕事が早い・・・これは意外と経費的に重要だったと思います。ちょっとアクのある絵はそのせいでは。次々と注文をこなしているうちに自分独特の絵のスタイルが出来上がったように見受けました。
それに深い精神性も兼ね備えている。絵の中の人物はポーズは雄弁だけど表情は大げさでなく控えめに表現され、流動的な背景や画面の中に霊的な存在が感じられる。これは若い頃に携わったイコン制作の賜物なのかもしれません。スペインで重用されるわけですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/0f/9637c53fd8b991e4d7d94513df7d846c.png)
無原罪のお宿り(1607~1613年)
この大きな祭壇画が日本まで来てくれたのも貴重な出来事。エル・グレコ本人もまさかこの絵が教会から遠い国まで旅して見られるとは思ってみなかったでしょう。私も大作が見れてすごく嬉しいです。
スペインではマリア様像の絵画や彫刻が特に多い印象をうけます。
「無原罪のお宿り」もスペインで特に多いと感じます。母性的な存在を慕う人が多いのでしょうか。この題材は確か「ヨハネ黙示録」の第12章「日を着たる女ありて、其の足の下に月あり、その頭に十二の星の冠あり」からきたと以前どこかで読みました。黙示録ではその女性はマリア様だとは書いてません。この黙示録は読むと怖くなりましたが、「無原罪のお宿り」の絵は詩的で優しい絵が多いです。
この絵はドラマチックで高騰した気持ちを感じました。
マリア様を礼拝するのはカソリックならではで、宗教改革の時代にカソリックの素晴らしさを人々に伝える役割もあったのでしょう。
美術館では最近壁を暗い色にして作品の存在感を強め、見る人がより絵に集中してみれるようにする傾向を感じます。
今回の展覧会もそうでした。おかげで絵に気持ちを集中して見れました。
でも実際に置かれている場所は違う環境なんです。
教会の装飾や他の作品や供物と共存、そして響きあって存在感を放っている。
数年前にスペインを旅し実際に教会に飾られているこの人の作品を見た友人が同じ絵でも展覧会との印象の違いを教えてくれました。
「本場では天窓からきらきら日の光を浴びる設計で、鏡もあって内部の装飾は、金色の彫刻、壁の基調は白、小さい絵や燭台も金色、とにかくあかるく、豪華!」
そんななかでコントラストの強いこの人の絵は強い存在感を示しているのですね~。陽の光を浴び、暗い背景から浮き上がるように描かれた聖人達はどんなに感動的なのだろう。
以前に言った知人もこのことを言いたかったのでしょう。
教会で見る機会がない多くの人(私含む)にとって美術館で見れるのは幸せです。でも実際の環境も垣間見れたら嬉しいです。もちろん小さく壁に紹介されていたけど友人も言ってましたが何か再現フィルムとか使ってみるのも良いかもです。
今回エル・グレコの絵を堪能できて息遣いも感じられて、この画家が好きになりました。
それからエル・グレコの描く人物はみな顔立ちがほっそりして端正でした。さすがラテン系のお顔。テルマエロマエでいう平たい顔族の私達とは明らかに違うわ。
このお方なんてかなり好みです♪
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/77/feaf0cae93b89e881a0aee75e9765ff9.png)
修道士オルテンシオ・フェリス・パラビシーノの肖像(1611年)
聖職者に俗っぽいこと言ってすみませんm(_ _)m
帰りに買いました
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/d8/fc1aeabd92d9b8ccee1b0c5392d30720.jpg)
チョコレートが入ってます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/4e/176d0cc0e03c6f202038616635e17444.jpg)
こちらはイケメンのお方二人(左の方は聖パウロ)に清楚なマリア様が美しい絵はがきです。
4月7日まで開催されてます♪
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/cd/8027297c3668bd5697c7479243c2d853.jpg)
鑑賞者は多すぎず少なくもなく比較的見やすかったです。
エル・グレコはその名の通りギリシャ人ですがギリシャのクレタ島ではイコンを描き、その後イタリアのベネチアで後期ルネッサンスの息吹を吸収開眼し、ローマの滞在を経てスペインのトリドに定着、活躍したスペイン三大画家の一人(後の二人は後に活躍するベラスケスとゴヤ)だそうです。
はっきりと黒で輪郭をとり、明るい所は本来の色を超えて白さを強調、色のコントラストが激しく、誇張されたスタイルの良さ、うねるような構図に配された神々や人物の姿を見て、思わず「ジョジョの奇妙な冒険」を思い起こしました。
最初のクレタ時代で描かれたイコンのテンペラ画「聖母を描く聖ルカ」は損傷があり左の人物(聖ルカ)が殆ど削れていましたが、ギリシャがカソリックでなくギリシャ正教の国なんだとあらためて確認。非常に細かい筆致のテンペラ画でマリア様はあまり表情を表に出してなく厳かな雰囲気でした。
この人の始まりはこういう細密画から始まったのですね~。
クレタからベネチアに行き、間もなく正確な遠近法と大げさなくらいの身振りと鮮やかな色を身に付ける。飲み込みの早い人だったのでしょうすっかりベネチア派の絵画。でも
既に暗闇と光の差を鮮やかに強調する絵を描いてます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/18/1070635ee8be99a21d331769f97d5ac9.png)
受胎告知(1576年)
こちらはベネチアからローマに移った頃の絵
そしてスペインに渡り、彼の世界が大きく花開く
ここからさらに強い黒の輪郭と強烈な明暗がどんどん顕れ、神様や人の体は引き伸ばされ頭は小さく手足は長く、まるで劇画のよう。そうジョジョみたい。
以前何回か美術館展で1点とか2点ずつこの人の作品を見た時は正直言ってあまり好きになれませんでした。人の体が長すぎて、顔もちょっとデッサンがくるってるように見えて。色も黒が強すぎて、優美さより激情が勝っているように見えて。
でも数年前知り合いから
「私、画家ではエル・グレコが好き」という方がいたのです。
「学生時代にスペインに旅行して教会でみたエル・グレコの絵にすごく惹きつけられたの。」
それを聞いてエル・グレコを見直そうと思ったのです。
今回じっくりこの人の絵を見て、暗い下地の色の上に太い筆致でざくっと絵を描いて、塗った色がそのままべったり余分についているのに驚きました。
この時代でこんなに筆触を荒々しく残している絵はそういないのじゃないかな。それに細かくない筆致なのに描かれた神様や人物は強い存在感をあらわしている。その筆遣いに爽快さをかんじました。肌の色はちょっとだけ肌色っぽい色を混ぜてるけど殆ど白。黒い髪や衣服と合わせると、幾分人物が青ざめて神秘的にも見えます。
なかにとても筆致の細かい肖像画もありましたが、同じ人の絵じゃないみたいにみえました。
絵を描くのが早くてまた一気に形をとれる人だったのでしょう。仕事が早い・・・これは意外と経費的に重要だったと思います。ちょっとアクのある絵はそのせいでは。次々と注文をこなしているうちに自分独特の絵のスタイルが出来上がったように見受けました。
それに深い精神性も兼ね備えている。絵の中の人物はポーズは雄弁だけど表情は大げさでなく控えめに表現され、流動的な背景や画面の中に霊的な存在が感じられる。これは若い頃に携わったイコン制作の賜物なのかもしれません。スペインで重用されるわけですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/0f/9637c53fd8b991e4d7d94513df7d846c.png)
無原罪のお宿り(1607~1613年)
この大きな祭壇画が日本まで来てくれたのも貴重な出来事。エル・グレコ本人もまさかこの絵が教会から遠い国まで旅して見られるとは思ってみなかったでしょう。私も大作が見れてすごく嬉しいです。
スペインではマリア様像の絵画や彫刻が特に多い印象をうけます。
「無原罪のお宿り」もスペインで特に多いと感じます。母性的な存在を慕う人が多いのでしょうか。この題材は確か「ヨハネ黙示録」の第12章「日を着たる女ありて、其の足の下に月あり、その頭に十二の星の冠あり」からきたと以前どこかで読みました。黙示録ではその女性はマリア様だとは書いてません。この黙示録は読むと怖くなりましたが、「無原罪のお宿り」の絵は詩的で優しい絵が多いです。
この絵はドラマチックで高騰した気持ちを感じました。
マリア様を礼拝するのはカソリックならではで、宗教改革の時代にカソリックの素晴らしさを人々に伝える役割もあったのでしょう。
美術館では最近壁を暗い色にして作品の存在感を強め、見る人がより絵に集中してみれるようにする傾向を感じます。
今回の展覧会もそうでした。おかげで絵に気持ちを集中して見れました。
でも実際に置かれている場所は違う環境なんです。
教会の装飾や他の作品や供物と共存、そして響きあって存在感を放っている。
数年前にスペインを旅し実際に教会に飾られているこの人の作品を見た友人が同じ絵でも展覧会との印象の違いを教えてくれました。
「本場では天窓からきらきら日の光を浴びる設計で、鏡もあって内部の装飾は、金色の彫刻、壁の基調は白、小さい絵や燭台も金色、とにかくあかるく、豪華!」
そんななかでコントラストの強いこの人の絵は強い存在感を示しているのですね~。陽の光を浴び、暗い背景から浮き上がるように描かれた聖人達はどんなに感動的なのだろう。
以前に言った知人もこのことを言いたかったのでしょう。
教会で見る機会がない多くの人(私含む)にとって美術館で見れるのは幸せです。でも実際の環境も垣間見れたら嬉しいです。もちろん小さく壁に紹介されていたけど友人も言ってましたが何か再現フィルムとか使ってみるのも良いかもです。
今回エル・グレコの絵を堪能できて息遣いも感じられて、この画家が好きになりました。
それからエル・グレコの描く人物はみな顔立ちがほっそりして端正でした。さすがラテン系のお顔。テルマエロマエでいう平たい顔族の私達とは明らかに違うわ。
このお方なんてかなり好みです♪
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/77/feaf0cae93b89e881a0aee75e9765ff9.png)
修道士オルテンシオ・フェリス・パラビシーノの肖像(1611年)
聖職者に俗っぽいこと言ってすみませんm(_ _)m
帰りに買いました
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/d8/fc1aeabd92d9b8ccee1b0c5392d30720.jpg)
チョコレートが入ってます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/4e/176d0cc0e03c6f202038616635e17444.jpg)
こちらはイケメンのお方二人(左の方は聖パウロ)に清楚なマリア様が美しい絵はがきです。
4月7日まで開催されてます♪