それぞれのスタート『立春』

私にとって、立春こそが一年の始まりの日。
朝から、信じられないくらい忙しいのです。

でも、雛人形を出すことだけは忘れたくないので
朝日を浴びながら、せっせと15体を並べ終え、
ちょっと休憩がてら、お人形を眺めながらココアでも。。。

お湯が沸いた頃、インターホンが。
玄関を開けると、見知らぬ女性が立っています。
彼女の話に、驚愕しました。

近所に住む仲良しの女性が、
数日前に、北海道に引っ越したというのです。

　「え、嘘でしょ～？」思わず、大声になる私。
あまりにも急な話に、そもそも親友らしい彼女自身が信じられない様子。

ご主人が決められたことだそうで、あまりにも急だったので
　「藤田さんにお別れを言えなかった事だけが、心残りらしくて。。。」
その女性は、わざわざ私にその事を伝えに訪ねてくれたのでした。

ご主人が、何もかもすべて決めてしまい、すべてそれに従う彼女。
　「でも結局は、いつも必ず正しい選択なの」と、彼女は尊敬するご主人に
半ばあきらめ（笑）、でも笑顔と感謝の日々を送っています。

幸せそうな彼女を見て、こんな夫婦の形もあるんだな～って、しみじみ。。。

今回も、ご主人が突如決意されたらしく、荷造りするヒマすらなく
持っていけなかった家財道具は業者さんに
すべて処分をお願いするそうです。

午後、外出する際に、我が家から５分ほど歩いたところにある
彼女の自宅に行ってみました。

門の前に、大きな廃棄物処理会社のトラックが２台と、軽トラが１台停まっていて
家の中から、次々と家財道具を運び出していました。

呆然と立ち尽くす私でした。

せめて、最後のお別れに、我が家でコーヒーでも飲みたかったです。
美味しいケーキを焼いて、私達夫婦に届けてくれた彼女。
せめてお礼に、我が家でコーヒーでも飲みながら、別れを惜しみたかったです。

でも、彼女は新天地・札幌で、また一から友達を作り
ご主人とともに、あのこぼれんばかりの笑顔で、
日々頑張ることだけは間違いありません。

私にとっては、不思議な夫婦関係。
でも、こんな生き方も、ある意味素敵かもしれないと思わせる彼女の魅力。

どうか今日の良き日・立春が、彼女にとって素敵なスタートとなりますように
心から祈っています。お元気でね。。。