藤田けい☆幸せブログ

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和佐 大八郎さん

2017年03月24日 | 日記
今日、あるお寺の前を通りかかると
門前に、
 『ご自由にお取りください』と書かれたラックが。

そこには、そのお寺で発行されている寺報の
昨年のバックナンバーが。

そのお寺に、参詣した事はありませんが
何だか心惹かれて、一部だけ頂いて帰りました。

そして、その後ランチを食べたお店で
食後の珈琲を飲みながら、頂いてきた寺報に目を通すと。。。

そこに、『落ちた矢』と題された読み物が
掲載されてました。
小さな字がぎっしり7頁にもわたって並んでいます。
和佐大八郎という和歌山に実在した弓の名人の
生涯を描いた内容でした。

最初は、歴史や伝記にはそれほど興味がないため
気乗りしないまま読み始めたのですが
面白くて、どんどん引き込まれました。

宝永四年、南海トラフが動いた激震による津波被害から
紀州藩の財政を立て直すという、政治的な理由で、
無実の罪を着せられ、幽閉された大八郎。

彼は、こうなる事を予想していたらしく
弁明もせず、たった『六祖檀経』一巻のみ手元に許され
高い場所に、小さな格子窓があるだけの蔵に
生涯、幽閉されました。

そんな日々、彼は恵まれなかった幼少時代から
素晴らしい弓と人生の師と出会い、
功名一筋に努力した結果、通し矢で天下惣一の勲功を得た若い頃を
振り返るのです。

そして、最後には自分の心へと沈潜していくさまが
丁寧に描写されていました。

 『幽閉当初の閉塞感は去り
いつしか彼は、この蔵で修行するために生きてきたと
自らそう思うかのようでした』とあり、
もう涙なしでは読めませんでした。

そして、結びの一文を読み終えた時
何だかご縁を感じました。

 『正徳三年 三月二十四日、蟄居四年
大八郎はこの蔵で五十一歳の生涯を終えました』

旧暦とはいえ、ちょうど今日だったんですね。

何気なく手にした、素朴なモノクロ印刷の寺報。
とても感動しました。お寺の方に感謝します(^^♪