●太平洋戦争は日米戦争の呼称であり、日中戦争の呼称ではない
いきなり何を言ってるんだ?と思った方もいるかも知れません。日米戦争の最中も、日本は中華民国と戦っていました。
というか、アメリカによって、石油輸出の条件として「植民地」を持たなければ侵略される国際情勢を無視した「植民地」放棄強制のハル・ノートの押し付けられてから、日本の反撃(いわゆる真珠湾攻撃)により、日米戦争が始まって以降に、日本と中華民国は互いに宣戦布告し、文字通り「日中戦争」に発展しました(それまでは正確には「日華事変」)。
さて、この「太平洋戦争」という呼称、当たり前ですが、「日中戦争」に適用されません。日本と中華民国の戦いは、中国大陸で行われていましたから、「太平洋」ではありません。
●結局、「〇〇〇戦争」
では、この当時、日米戦争と日中戦争のことを、日本ではなんと呼んでいたのでしょうか。
第二次世界大戦は広すぎますし、「アジア・太平洋戦争」は広すぎる&当時は存在しません。「日米・日中戦争」でしょうか。いいえ長すぎます。あったとしても、「対米中戦争」でしょう。まあ、そんな呼称聞いたことないですが。
正解は「大東亜戦争」(だいとうあせんそう)です。大東亜戦争というと、右翼扱いされがちですが、でも、戦った範囲を考えると、「大東亜戦争」ぐらいしかまともな呼称が無いんですよね。
「大東亜」とは、東アジアに東南アジアを加えた広い地域のことです。東亜東南亜戦争とか言ったらダサいから、東アジアを無理やり延ばして「大」を付けたんだと思います。多分。
ちなみに「亜」は「アジア」のことです。
それぞれの呼称の問題点をピックアップしておきます。
・太平洋戦争...「太平洋」なので当然、日中戦争は含まれず。そもそも日米戦争でさえ、終盤は日本軍が押され気味で結構「太平洋」以外のところでも戦っているので、日米戦争ですら、「太平洋」戦争かどうかもあやしい。
・アジア・太平洋戦争...「太平洋戦争」に「アジア」を付けただけなので、前述の通り「太平洋」戦争がどうかあやしい部分は解決されていないし、日本軍が戦ったのはせいぜい東アジアや東南アジアぐらいなので「アジア」はスケールを大きく過ぎ。
・第二次世界大戦...もはや日本限定の呼称ではない。独ソ戦とか全て含まれるから、ぜんぜんダメ。まとめて言う場合ぐらい。
・先の大戦...「大戦」なので、「第二次世界大戦」の日本限定の呼称ではない問題解決できず。しかも、「先の」と付けることで一見なんのことか分からなくしている。
・日米戦争...日中戦争は?
・日中戦争...日米戦争は?
・日米・日中戦争...終盤のソ連軍による千島列島侵攻は?
とまあ、「日米戦争」と「日中戦争」のくだりは不要ですが、こうして見ると、やっぱり「大東亜戦争」だなと思いますね。
現代風に「大東アジア戦争」とか言ってみたりもしてみたけど、「だいひがしあじあせんそう」ないし「おおひがしあじあせんそう」じゃなくて「だいとうあじあせんそう」としか読めないし、「だいとうあじあ」だったらなんとなく「大東」と「アジア」の戦争みたいな感じがして、全然違うことになったので、やっぱり「大東亜戦争」ですね。
ということで、みなさん!「太平洋戦争」の戦った地域を正しく表現する呼称は「大東亜戦争」しかないんだということで「大東亜戦争」と呼びましょう!