小雨交じり天気の中、昼一番から餅つきを始めるための準備は、カマド代わりのメガ
ネストーブの組み立て、釜で大量の湯を沸かし臼を洗った後、臼を温めるためお湯を
張っておく。その間セイロでもち米を蒸す。もち米が蒸されて食べ頃になったら、餅つ
きの開始だから、ここまでの準備に手がかかる。始まってしまうと、餅つき、餅をこねる
仕事、臼の掃除などと細かい作業が続く。そうこうすると次の米が蒸されるので餅つき
と追いまくられる。そうした隙間をぬって、七輪に炭火を入れ用意していた焼き鳥を焼
く。直火で火に近いと焦げるから5cmほど高さのある網置きを使うが、鶏皮を焼く時は
脂気が多いため、それでも火の手により黒くなるから、もっと隙間を開けたり、団扇で
パタパタする。焼き鳥屋で見られるあの光景。
塩味派、タレ派と違うリクエストはしょうがないから受け付けることにして、爺の焼き鳥屋
さんは繁盛してしまう。焼きが始まると孫たちの次のリクエストはスルメを炙ること。何て
ことはないが、野趣味溢れる方法で焼きながら食べる、しかもワイルドにと言う点が、非
日常的で余計に面白さを醸し出すのかもしれない。
午前の準備を終え、これから本番を迎える。そして夕方からは忘年会の開催となる。
午後一番から餅つきを始める。一番手は高校3年になった孫、餅をつく音は以前のペ
タンからドスンに代わり、父親の音をも凌ぐもので、ここでも世代交代を囁かれる。次に
中学2年生の登場、力強さは兄に及ばないものの直ぐに立派なつき手になることは間
違いない。
真打は単身赴任で帰省した婿殿、つく音は風格があり誰もが認める我が家の第一人
者、この座は当分明け渡すことはなかろう。当然のこと、前座を務めた孫たちがついた
餅は平餅、真打は鏡餅と言うことになる。力はないが参加したい小さい孫たちも大きな
杵を手伝ってもらいながら、ぺったんとやる。平餅に加えて,取り餅と言ってついたば
かりの餅を臼の中で食べ頃の大きさにちぎり、黄粉をまぶして黄粉餅を作る。つきたて
で柔らかいし、ほんのりとした甘みがあるから子供たちには人気の一品だ。都合、約
10Kg(6~7升)をつき終えて、早々に片付けをして忘年会の開催になる。
餅つきで少しお神酒をもらい、忘年会で熱燗を少々、話している内に不甲斐なく轟沈し
うつらうつらと目を覚ましたら10時30分、急いで風呂に入りこの場に参加した次第。
明日はいよいよ大晦日。これまた恒例になったブリと鯛を捌き元旦のおせちに添える
準備をして、山小屋と家の最終片付けをすれば夜中の初詣が待つことになる。
よいしょと餅つき
焼き鳥屋の入門者