人は精神から老いていく。 ねえ、何歳から老人というんだろう。新しいシニアを目指して素敵に老いる力を

新しいシニアを目指して素敵に老いる。高齢社会というけれど、高齢者が何を考えているかわかりますか?老いる力と幸せを考える

土俵の外にいる人

2019-09-16 05:50:00 | 高齢文化 高齢者の学び シニアライフ




《土俵の外にいる人》

「お金なんかいらないわ」

金持ちが言った。

貧乏人は、その意味がわからなかった。

「お金より大切なものがたくさんあるのよ」

そうお金持ちが言った。

貧乏人は、少しだけ頷いたが、心のなかでは、「お金がなければ何もできないだろ」って思った。

二人が一緒に食事に行くことになった。

お金持ちは、いかにも高そうなレストランに行こうと言った。

貧乏人は、そんなの食べたら今月を過ごせないと思った。

おごってあげるから行こうと言われたけれど、貧乏人は、強く首をふった。

おごってもらったら、この世の位置関係が決定してしまうと思った。

もちろん、食べたい。きっとほっぺが落ちるほどの味がするんだろうな、って貧乏人は思った。

だけど、そのおそろしく高い料理を食べている自分を想像したら、卑屈な自分が浮かび上がってきてつらくなった。

人間ってなんだろう。

お金持ちと貧乏人は、人種が違うのだろうか。

生まれた瞬間から、お金持ちはお金持ち。

目覚めた瞬間から、貧乏人は貧乏人。

勝ち組、負け組。勝負をしなくても、ずっとその差は縮まらないこの世。

石川啄木が、

「はたらけどはたらけど猶(なお)わが生活(くらし)楽にならざりぢっと手を見る」

そう歌った心境に共振してしまいそうになる。

「友がみなわれよりえらく見ゆる日よ

花を買い来て妻としたしむ」

貧乏人は、もう気が滅入ってきそうになって吐き気がした。

お金がないということは、自由がないということか。

お金がないということは、卑屈が似合うのか。

嗚呼、お金なんていらないという人は、お金のない苦しさがわからない。

戦争をしようと言う人は、戦争に行かない。

戦争をしようと言う人の家族も戦争に行かない。

寒くないという人は、寒くない所にいる。

食べなくても平気という人は、いつでも食べることができる環境にいる。

ハングリー精神が大事だという人は、過去は別としても、もうその時には、ハングリーではない。

土俵の外にいる人は、そこに土俵があるということを知らない。

そんな人がこの世には数え切れないくらいいる。

自由競争、個性尊重、経済的自立、自己実現、能力重視・・・すべて土俵の外にいる人たちの論理に見えてくる。

貧乏人は、考える。

「絶対、お金持ちの言うとおりにはならない。」

「土俵の外にいる人たちの思いどおりにはならない。」

「自分の幸せは、自分でつかんでやる。」

貧乏人は、未来という白い紙の上に、自分の、自分たちの色剤を注ぎ込む努力を、今日も続ける。




元気をためて、深呼吸をして、歩いていこう。・・・ね。


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