夢の中でゲームのような世界に入っている。その中の大きなビルから出られない。
歩き回って行き止まりばかり。行ける方向は二つ(と、私には見えているだけだが)。
きらびやかで豊かな世界と、パターンなくらい貧しく争いのある世界。
一つのビルの中に、そのような世界が同居している。私は多分中間あたりを歩いている。
どこまでも落ちることもできるし、上がることもできるのがわかっている。
貧しくて争いをしているのは嫌だが、では大企業のロゴが貼り付けられた豊かとされている
世界(フロア)も良いかというと、彼らと同化したいわけではない。
私が行きたいのは、とりあえずそのビルの外だ。私は初め自分の足で歩くのだが、
ビルへの新参者であり、出口がわからない。堂々巡りをしてしまう。
ビルの中で生活の全てがまかなえるのだ。出なくても居場所を見つけられれば生きてはいける。
ビル内で安定した仕事を持ち、比較的裕福で争うことにせわしくない、垢抜けた人々に
私は質問をする。
「出口を探しているので教えてください」
夢の住人は初め驚くが、私がしようとしている事は好意的に理解してくれる。
彼らも出口は知らないが、あの道はふさがっている、あの道はまずい箇所に繋がっているなどと
教えてくれる。
私は歩くのが嫌なほど疲れているのだが、多くの部屋や廊下や通路を歩き回り、思考もまわる。
出ようと思っていることで既に出られないのでは?このビルではなく、ゲームの中に
入っている時点で私は閉じ込められているのではないだろうか。
絶対に出口ではないと思えるような場所ではない場所にこそ出口があるのでは?
夢はそれ以上覚えていない。イメージの渦の中で思考に頼らず私は進んだと思う。
電話のベルが鳴り、私は目を覚ます。印象的な夢と現実の思考の間でぐらぐらしながら
質問に応える。
夢の脱出ゲームから私は出ることができたが、夢から覚めてもしばらく夢うつつが続き、
現実的に落ち着くのにかなりの時間がかかった。
夢から現実へと目覚める瞬間、夢の私はどうだったんだろう。
目覚めの瞬間、何かに吸い込まれていくように落ちるような滑るような引き上げられたような、
引力と認識できないノイズの世界を感じた記憶があるのだが夢の前半ほどはっきりしていない。
夢の最中に電話がなって夢が中断された時、それが悪夢でない場合には、恨みまではしないが、
残念だったように思う事がこれまでに幾度かあった。
今は違う認識の私がいる。ベルは、現実の他者は夢の世界から私を覚ましてくれた。
現実という一つの夢なようなものにも、いつか違う世界からのベルが聴こえるのだろうか。
画像は漫画のフキダシ様々。
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