『夢・舅』
夢の中で私は新婚らしい。
私は北海道かどこかのアートの学校の夏の講習らしい場所に一人で参加しているが、
そこに地方暮らしの舅がやって来るという。
私は自分の家(一軒家みたいだけど、寮か何か)でお世話することを申し出る。
私は舅に一度くらいしか会ったことがなく、あまり話した憶えもない。姑とは会話した記憶がある。
「これからお世話になります」
くらいのご挨拶をするのが一般的な礼儀だったなと少し後悔していたが、
北の夏の豊かな自然の中であらためて会った舅は、飾らない寡黙な自立した、静かで野性味のある男性で
気遣いが必要だったり、手がかかりそうな男性でもなさそうで、私は安心するし、
初めて、一人の人間としての舅に会ったような気がして魅力を感じ、好感を持つ。
舅はあくまで静かに穏やかに好き勝手に自分の世界を楽しんでいるようなので、
私も自由に余裕を持って過ごしている。
私は低い山に囲まれた穏やかな自然の草原を歩いていく。
人の何度も入った世界なのだろうが、周りに人がなく、野生というのは、どこか恐怖がある。
緑の絨毯は素晴らしいクッション性を持っていて、私はそこに横になる。
午前中のような明るく優しい光の下、土の匂いと温かさと冷たさ、
草や花の香りに後頭部やホッペをぺたりとくっつけて、
私は言葉にしがたい大変な心地よさを味わっている。
「緑に抱かれているみたい…」
私は身体をあずけきって、気持ちよさから何度か吐く息と共に声が自然にもれ、
これって何だかセックスみたいとも思っている。
しばらくすると、散歩か何かのカップルが通りかかる。
私は起き上がって彼らと何か話す。
緑と私だけの素晴らしい時間は終わってしまったけど、人が来た事に安堵も感じている。
舅のことを思い出すが、私に夫がいて、舅や姑がいることを疑わしく感じる。
現実の思考が夢に溶け込んで来ている。
考えてみれば、私と特に深い関係にあった男性たちには、父親はいなかった。
私のこれまでの人生には、舅的な立場の男性との深い関係性は無かったことを思い出す。
そして夢から覚めていく。
画像は漫画背景一部
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