『悪夢』
疲れて少し休もうと思うが、毛布にくるまれても意識が落ちずに夢と現をさ迷う。
肉体と精神のバランスが悪いんだと思う。嫌いな感覚ではない、むしろ好きな感覚だ。
自分の体重が負担だ。睡魔に襲われると金縛りが始まる。
何だか邪悪性を感じる女性的かつ幼稚な何かが部屋を歩き回って身体の上に何度も乗って来るイメージを持つ。
しつこい。怖いし頭に来る。
夢だ金縛りだ幻覚だイメージだ。
それは判るけど、その時の主観だけは本物の実感、本物の不快と重さと恐怖と面白さだ。
邪悪の主は「私」なのだろう。
一瞬妹のようにも見えるけど、それは私と妹が姉妹で見た目が他人よりも似ているからだ。妹とは関係が無いと思う。
身体に重なろうとするイメージになるのは何故?
夢現の中でこの邪悪に思える何かを受け入れようという思考と真逆の抵抗が何度も起こる。
「おいでおいで」と「くるなくるな」が心に同時に想起にされている。
自分でしかけた携帯のベルが鳴れば悪夢から覚めるのに。
金縛りが遠のいていき、しばらくしてからようやくベルが鳴る。
実感に比べて信じられないくらい短い時間しか経ってない。
目を閉じて、悪夢の生々しい実感が残る内、持ったイメージを反芻してみる。
「支配」
という事場が浮かぶ。
支配しようとする「何か」と悪夢の「何か」が関係あるような気がする。
その思考がしっくり来るような気がしている。
支配について思いをめぐらせる。
自分で自分を支配する…そんな変なことが可能なんだろうか?と、突然問いかけが起こる。
自分が他人を支配する…これは言語上としてありえるだけで、現実には不可能なことが判っている。
何度約束させても、頼んでも、お願いしても、言う事を聞いてくれない人は絶対に聞かない、
そこが私のテリトリーだと思っていた中ですら、
他人を私の思い通りにさせることができなかった体験があるからだ。
だから逆も言える。現実としてはどんな他人も私を支配できない。
相手を支配したような気がする時はあるし、そう思いやすい状況は作ることができる。
命令を無理矢理脅してきかせたりする時などだ。
誰かに支配されているような感覚を持って、怒りを感じたりすることはできる。
自他の関係を考えれば、自分で自分を支配することも多分できないんだろう。
せいぜい心がけるくらいができることだろう。
そんなことを反芻してから起き上がって仕事に戻る。
身の回りの問題だと思われることが頭に浮かぶ。
全てが自分自身の支配の感覚と関係があることで、
私が直接関わっていない事に関しても、
必ずしも彼ら自身の問題ということでもないだろうと思えてくる。
或いは彼らも私と同じように「支配」という事に関して、
何かが見えてない、わかってない、勘違いしている、ということもありえるかなとも思う。
たった一人で、夢現の中で自分自身の重みの錯覚で苦しんで足掻いている。
「支配被支配」の正体はそんなものという気もしてくるが、もっと探ってみたいと思う。
身体は疲れているけど良い気分。
とても不快だったけど、金縛りになって良かったし面白かったと思っている。
画像はラフデザイン。キレイすぎイマイチ。