遊星からの物体X ファーストコンタクト
原題:THE THING
2011年 米・カナダ 104分
映画をそんなにたくさん見ているって訳じゃないのだけど、その中で衝撃を受けたのが、猿の惑星(第一作)のラストシーンと、この映画の前作の「遊星からの物体X」。だからこれはすごくわくわくしながら見始めた。
出だしは南極から始まる。調査チームが微弱な電波を受信した。救難信号?のようだった。それを調査しに来た彼らが場所を特定したとき、突然氷が割れて雪上車は地下に落下する。途中で引っかかった車のライトに照らされたのは巨大な宇宙船。エイリアンの死体もそばで氷づけになって発見された。
死体を基地に運び、DNAを採取するなど調査を始めたのだが、その夜、死体だと思っていたエイリアンは蘇生し逃げ出す。探し出そうとした隊員が殺され、発見されたエイリアンは火炎放射器で焼き殺される。焼死体を解剖してみると食われた仲間の死体が腹の中から出てきた。しかしなんか様子がおかしい。まるで再生しかかっているようだ。死体内部にあったはずの金属品(骨折のため埋め込んだチタン)が体外に出されていることから、古生物学者のケイトはある仮説にたどり着く。その信じられない仮説は現実のものとなってしまう・・。
出だしはもの凄く興味深かった。実はもう、前作の遊星からの物体Xの内容は忘れてしまっている。私にとっての遊星からの物体Xは、たまたま地面を掘っていたら徳川埋蔵金を見つけたぐらいの嬉しい誤算の大発見だった。
インディー=ジョーンズシリーズやスターウォーズシリーズなどは、いわゆる有名な大作・名作で、定評があるから面白くって当たり前。しかし遊星からの・・は、『人知れない作品で、有名でもなけりゃ評価もされてない作品』という位置づけが私の頭の中にあった。ところがこれが面白かった。そのために衝撃を受けたのだと思う。
実際は『人知れない作品で、有名でもなけりゃ評価もされてない作品』ではなかったのかも知れない。私が知らなかっただけかもね。でもとにかくすごい作品だった。繰り返すが、その衝撃だけが未だに私の体にこびりついている。ストーリーはさっぱり覚えてない。
当然このファーストコンタクトにも期待したし、出だしの素晴らしさからわくわくして見ていた。で、見終わった感想は「こんなものかな」だった。
悪い映画じゃないんだけど、先が見えていたし、展開も普通通り。あぁやっぱりこうなったかと言う流れと結末。それで「まぁ楽しかったかな」と感じるぐらいの評価になった。
「初恋の人には会えない」っていうのを地で行ったようなものだったかなと思っている。
おまけ:宇宙船を作れるぐらいの高知能の持ち主なら、指がとがっていて、相手を襲い食い殺すだけの生物じゃないだろう。指もなめらかに動き、脳が発達していて、けものタイプよりは人間型の生物でないとおかしいだろう。なぜこんな獰猛な生き物なのだろう? こんな生き物が宇宙船など作れないだろう。宇宙を行き来する船のコンピュータを使いこなしたり、まして作り上げたりできないだろう。ヒョーマノイド型宇宙人が、敵を殺すために人間で言えば獰猛な飼い犬を連れているように、こういう生物を宇宙船で運んできた設定なのだろうか。エイリアンとかプレデターとか、「宇宙人=人間を食い殺すだけの獰猛で強い生き物」なら、どうやって繊細な技術の必要な機械(宇宙船)を使用できる? 私にはこの手の設定が分からない。獰猛な生物を追放するために宇宙船を作って飛ばした設定なら頷けるな。私ならその前に殺すだろうけど。