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「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

性懲りもなく「発達障害」への偏見をまき散らす人々――「親学推進議員連盟」(中)

2012-06-14 | 日々のニュース

  かつて「発達障害」は、親の育て方が原因であるとされていました。しかし、この数十年の間に、医療・福祉・保育・教育の経験と理論において、「発達障害」は脳の機能障害によるものであり、養育方法によって「障害」そのものを「予防・防止」できるものではないということが共通理解となってきました。大阪維新の会が出してきた「家庭教育支援条例」案はこの長い間の努力で積み上げてきた認識を真っ向から否定するものでした。

 その一方で、世間一般には「発達障害」の子どもたちに対して、「親の育て方が悪い」いった偏見がまだまだ払拭されずに残っています。知的な遅れのない「高機能自閉症」、「学習障害(LD)」、「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」などは、親の「しつけ」や本人の「やる気」の問題であると考えられがちです。
 「発達障害」の当事者に対する支援は、周囲の人々が「発達障害」について理解し、その個人を尊重し受け入れるところから始まります。「障害」を認定することは排除のためではなく、互いに生活しやすい環境・社会を作り出すために必要なのです。しかし、「発達障害」は親の育て方が原因であるという考えが条例として大阪市の公的見解となれば、こうした偏見に拍車をかけ、「発達障害」の子どもとその保護者を追い詰め、「支援」とは真逆の結果をもたらすことにしかなりません。「発達障害」の子どもたちは「予防、防止」されえなかった存在として、その親たちは「予防・防止」を怠った者として、社会的な非難・排除の対象となりかねないでしょう。この条例案には「発達障害」の当事者に対する支援や共生の観点はまったくありません。あるのは、「発達障害」をある種の“脅し”に使って、「伝統的子育て」なるものを押しつけようとする姿勢です。

 ところで、条例案を見ると、「親学アドバイザー」という聞き慣れない「民間資格」について述べられており、その資格者の「育成を支援する」という文言があります。特定の民間団体の活動への支援が堂々と記載されているだけでも、公のルールとしての条例としては異様・異例なことです。
 この「親学」の提唱者が、「親学推進議員連盟」の勉強会で講演をおこなった高橋史朗氏なのです。氏は2004年12月に埼玉県の上田知事に招聘されて教育委員に就任する直前まで「新しい歴史教科書をつくる会」の副会長を務めていました。教科書の採択に関わる立場の教育委員が特定の教科書の関係者であったということで、教育委員就任に対する抗議運動が高橋哲哉氏などから起こったという、いわく付きの人物なのです。
 現在、高橋史朗氏は「親学協会」理事長として、また、「感性・脳科学研究会」会長として、独特の「脳科学」に基づいたというふれこみで「日本の伝統的子育て」が「発達障害」を予防するという「親学」の普及宣伝のために精力的な活動をおこなっています。また「やすくに活世塾」(靖国神社崇敬奉賛会により運営されている人材育成組織)の初代塾長をも務めていました。(鈴)

(つづく)


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