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「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

新宿区「学校選択制度に関する意識調査報告書」から見えてくるもの

2012-05-30 | 学校選択制

  スーパーニュースアンカー「“学校選択制”先行する事例から学ぶ」で、杉並区と荒川区で学校選択制支持と不支持が全く逆転していることが紹介されました。

関西テレビ スーパーニュースアンカー「“学校選択制”先行する事例から学ぶ」を観て

 ただ、杉並区は教員に対するアンケートで7割が選択制廃止を求め、荒川区は保護者に対するアンケートで7割が選択制を支持していました。

 その点について、新宿区が2010年に行ったアンケート結果で、注目すべき結果が出ています。

 それによると小学6年生の保護者の8割以上が選択制を支持(あったほうがいい、どちらかといえばあったほうがいい)し、教員の7割以上が反対(なくてよい、どちらかといえばなくてよい)しているのです。さらに校長・副校長も7割以上が反対で、わずかですが教員の反対の割合を上回っているという結果です。

※学校選択制度に関する意識調査報告書(新宿区)

※【参考資料】平成22年度学校選択制度アンケート集計結果 (小学校6年生保護者)

※【参考資料】平成22年度学校選択制度アンケート集計結果 (教員)

※【参考資料】平成22年度学校選択制度アンケート集計結果 (学校長・副校長)

 これは何を意味するのでしょうか。

  保護者が子どもが入学している学校に「満足している」理由の実に7割が、「子どもが学校で楽しそう」と「通学が安全」が占めています。

 当たり前のことかも知れませんが、ほとんどの小学生の保護者が、子どもが元気で楽しそうに学校に行っていれば満足と答えているのです。これは、学校選択制がなければできなかった事でしょうか。「学校選択制がなければ、楽しくなく安全でない」ことにはならなかったでしょう。しかも、実際に学校選択制を利用した保護者は2割程度にとどまっています。

 これは、「学校選択制下でも満足している」保護者が多数であることを示しているだけで、「多数の保護者が学校選択制を望んでいる」ことにはなりません。そして、学校間の児童生徒数格差を問題だと感じている保護者は半数にも上っているのです。

 ところが、教員や校長は、この学校選択制を維持するために、大変な業務を強いられているのではないでしょうか。子どもの通学の安全の確保から、家庭訪問、行事の調整、「特色ある学校づくり」。それでも、満足の理由として「教育、指導に熱心な先生が多い」を上げた保護者は2割に満ちません。
 教員は、学校選択制がなければやらなくてもよかったような無駄な仕事をさせられ、他校と「差別化」するために理不尽な競争を強いられ、さまざまなプレッシャーにさらされ、心身をすり減らしているのではないでしょうか。しかし、そんな教員らの苦労は、それほど保護者には理解されていません。アンケート結果はそのような酷な状況に対する教員・校長の心の叫びを表していると感じます。
 
 学校選択制を導入して教員の無駄な仕事を増やしプレッシャーを与えるのではなく、その時間と労力、さらには予算を、より子どもたちにていねいに目が行き届くような教育現場をつくることに費やすべきだと思います。

(ハンマー)


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