第三に、一般に「ソブリン(国家信用)危機」からの、とりわけギリシャの国債危機・政府信用危機からの活路はどこにあるかという点です。
まず、エクアドルの例が紹介されます。
○エクアドル監査委員会H・アリアス委員長
「80年代と2005年には国家予算のほぼ半分(30~40億ドル)が債務返済に当てられていた。債務返済のために借金をしていた。債務返済に40億ドル、医療に4億ドル、教育は8億ドル」
○第三世界債務廃絶委員会E・トゥーサン代表
「当時財務相のコレア。国民の財産である石油収入を債務返済に当てるのは不当。返済は20%、教育や医療、雇用創出に80%を当てるべきと主張。世銀はエクアドルへの融資ストップの恫喝をかけたが、コレアは拒否、辞任して大統領に。さらに世銀を国外退去させた。」
ここで、いかにドイツやフランスがギリシャに借金を負わせて自国の製品を売りつけたかが暴露されます。さらに米の金融資本も深く関わります。
・ギリシャ政府当局者とドイツ企業との贈収賄、シーメンスによる賄賂。
・ゴールドマンサックスがギリシャの粉飾決算を指南。ギリシャはゴールドマンサックスの社員をコンサルタントに雇い、2010年には公的債務管理庁の長官に。
・「ドイツからギリシャへの融資の条件として、ドイツの武器をギリシャが買うこと」を要求。
○欧州議会議員Dコーンバンディットは以下のように言います。
「われわれは偽善者だ。ギリシャに金を与えて武器を買わせている。フランスはギリシャにフリーゲート鑑6隻を売却、ヘリコプター、戦闘機も。総額は30億ユーロ。ドイツは10億ユーロで潜水艦6隻を売却」
ギリシャのためと称してさまざまな偽善的行為が行われます。オリンピック開催で巨額の融資等々。しかしシーメンスもゴールドマンサックスもオリンピックも全体の一部に過ぎません。ギリシャの債務の大半が、政権の腐敗とドイツ・フランスの資本が結びついた「不当なもの」なのです。
現在危機はイタリア、スペインに飛び火し、EUの中核をなすドイツ、フランスの国債が売り浴びせられるまでになっています。
ギリシャでは連立政権ができましたがさらに混迷を深め、デモンストレーションは激化し、12月1日には首都アテネで24時間ゼネストが行われ、鉄道などの交通機関や、裁判所、学校なども休業しました。
※ギリシャで今年6回目のゼネスト、新首相推進の緊縮策に抗議(AFP)
http://www.afpbb.com/article/economy/2843473/8151391?utm_source=afpbb&utm_medium=topics&utm_campaign=txt_topics
※財政危機:怒りの火、欧州でも 伊で新政権批判デモ/ギリシャで学生ら行進(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/world/news/20111118dde007030008000c.html
財政赤字のツケを国民に犠牲転嫁し、首切り、合理化、賃下げ、教育・医療予算の切り捨てなどで乗り切ろうとしていることに対して激しい怒りが渦巻いています。
では、危機からの活路はどこにあるのか。
番組では、「良い債務と悪い債務」を監査する市民運動も紹介する一方、エクアドルなど南米諸国で誕生した左翼政権が行った債務不履行やIMFの拒否、EUからの離脱などを問題にし、本当に労働者・人民のためになる権力の樹立の必要を示唆しています。
動画はNHKのサイトで、12月14日まで公開されています。
※ギリシャ 財政破綻への処方箋〜監査に立ち上がる市民たち〜(NHK BS世界のドキュメンタリー)
http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/movie111107.html
以下にも動画があります
http://www.youtube.com/watch?v=0SZ6DA3TUzE
(ハンマー)