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「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

「ギリシャ 財政破綻への処方箋~監査に立ち上がる市民たち~」の紹介(上)

2011-12-13 | 本・番組・映画など

 少し古くなりますが、11月7日に放送されたBS世界のドキュメンタリー「ギリシャ 財政破綻への処方箋~監査に立ち上がる市民たち~」を紹介します。欧州諸国を襲う金融、財政危機の本質の見事な映像化に感嘆しました。

動画はNHKのサイトで、12月14日まで公開されています。
※ギリシャ 財政破綻への処方箋〜監査に立ち上がる市民たち〜(NHK BS世界のドキュメンタリー)
http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/movie111107.html
以下にも動画があります
http://www.dailymotion.com/video/xoh5ag_yyyy-yyyyyyyyy-yyyyyyyyyyyyy_news

 まず第一に、1970年代はじめの大恐慌(ニクソンショック、オイルショックなど一連の経済的諸事件がからむ、74・75恐慌)で基本的に成長を止め、市場飽和状態に陥った資本主義世界経済が、「労働者の貧困と過少消費」という壁を打ち破るため、「所得の少ない労働者に貸し付けて買わせる」という手段をあみだすことによって「虚構の消費」を作り出して「経済成長」を生み出し続けたということが、アニメ動画によって紹介されています。
 従来なら、世界の再分割のための「帝国主義戦争」(第一次大戦、第二次大戦)がおこってもおかしくない事態に陥った世界経済が、この金融バブルによる「架空の需要」によって生きながらえるのです。

 それが巨大にふくれあがった金融経済です。従来にも増して強められたアジア・アフリカなど発展途上国への搾取と収奪、ブラジルやアルゼンチンなど新興国への金融的収奪、イラクアフガンなど資源略奪のための侵略戦争などを伴いながら、米国を頂点とした先進諸国が40年近くにわたって「仮需」を作り出してきたということが伝わってきます。

 71年の金・ドル交換停止も、結果的には米国の威信を低下させるどころか、逆に金に縛られることなく、際限ないドルの垂れ流しをする可能性を与えたのです。

 米国はこの金融膨張によって世界的な過剰消費構造を作りだし、ある時期からは「ITバブル」を組み込む形で、バブル世界を牽引してきたことになります。

 ところが、借金づけを低所得者層にまで拡大していった結果、ついに2007年、米国のもっとも劣悪な債権の破綻連鎖が生じ「サブプライム危機」となって爆発します。さらに翌2008年のリーマンショックよって米国の巨大商業銀行が破綻し、そしてついには2009年ギリシャの国家財政危機に端を発する「ソブリン危機」へと危機は加速度的に進化したのです。

 第二に、番組はギリシャ国家破綻の意味を明らかにしています。

 まずは先に述べた金融経済膨張の一要素として国債市場の膨張がもたらされたということです。国家による借金、財政赤字を積み増し続けることによって、国家的規模で「仮需」を生み出していました。

 もうひとつは、EU内部の収奪構造とでもいえるひずみです。EUは米や日本に対抗するする経済圏という性格を持ちながら、製造業で競争力を持つドイツと、金融国家フランスという2大国が
相対的弱小国であるギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガルといった周辺諸国に輸出し、貸し付けし、膨大な貿易赤字、経常赤字を出させ、それを国債発行=財政赤字を拡大することによって穴埋めさせるという異常な構造を形成してきました。いわば、ドイツやフランスは周辺諸国を食い物にして生き延びてきたのです。
 このような構造が限界に陥っていることを示したのが、ギリシャ危機です。(つづく)

(ハンマー)


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