マイケル・ムーアの最新作「キャピタリズム~マネーは踊る~」の限定公開が東京と大阪で始まった。
公開に先駆け来日し、大阪芸術大学で飛び入り講義をしたり、東京ではファンに「あなた、お母さんから10億円もらったことある?」と質問するなど、話題を振りまいている。
ムーア監督、「ゆきゆきて、神軍」の縁で飛び入り講義(朝日新聞)
12月3日、来日中のムーア監督がNHKクローズアップ現代に出演した。巨大自動車産業GMの凋落を描いたデビュー作『ロジャー&ミー』から、銃社会を斬る『ボーリング・フォー・コロンバイン』、ブッシュの戦争を批判する『華氏911」、そして米の無保険医療制度を告発する『シッコ』と、社会派ドキュメンタリー映画を撮り続けて来たマイケル・ムーア監督が、それらの諸矛盾の根底にあるものとして行き着いたのがキャピタリズム=資本主義だった。わずか1%の人間が残り95%の人間の富を集めたよりも多くの富を独占するという資本主義の異常な格差・差別構造を糾弾する。
国谷キャスターが、「あなたの映画は白黒がはっきりしすぎていると批判する人がいます。資本主義にもいい面があるのでは・・」と問うとマイケル・ムーアがすかさず、「あなたは奴隷制を批判する人に、奴隷制にもいい面があるといいますか?あなたはナチスのユダヤ人大虐殺を批判にする人に対して、ユダヤ人大虐殺のいい面をもっと見なければと・・・」とたたみかける。これには国谷キャスターも大爆笑。マイケルは、奴隷制やユダヤ人大虐殺と並ぶものとして資本主義の賃金奴隷制、静かな大量虐殺を批判しているのである。
資本主義の批判とくれば社会主義を求めているのかと思うがそうでもないようだ。その点は語っていない。シッコに出てきた社会主義キューバはどうなのだろう。彼は資本主義を批判し、民主主義が投げ捨てられていることを嘆く。彼のいう民主主義を回復する、徹底させるということがどういうことなのか、重要な視点だと思う。民主主義の徹底された姿をキューバに見ているのではないだろうか。
マイケル・ムーアは熱烈な民主党支持者として知られていたが、オバマに対する舌鋒は鋭い。オバマがアフガン増派方針を打ち出すやいなや、公開書簡を送り「戦争大統領」になるつもりなのかと激しく非難した。共和党であろうと民主党であろうと、その根底にある資本主義を克服しなければ、矛盾は解決しないと考え始めたのかもしれない。
An Open Letter to President Obama from Michael Moore(Michaelmoore.com)
権力が国民を扇動する手段として「不安」を挙げているのも重要だ。不安を駆り立てること、恐怖を与えることが国民を支配する重要な手段だという。イギリスの元国会議員が登場し、「教育と健康と自身を持つ国民は扱いにくい。貧しく、士気をくじかれ、恐怖心がある国民は、命令を聞いて、最善を祈るのが一番安全だと考える」と語る。国民は恐怖を与えられ縮こまって生活しながら、「我々はすばらしい、アメリカ一番」というメディアに扇動され、貧困のどん底に陥れられ、戦争にかり出されていくのである。こんな状況を打開するために、ムーアは決して大手メディアが伝えることのない真実を伝えようとしている。
マイケル・ムーアは最後に語る、「映画を見終わってみんなが立ち上がり、お互いに声を掛け合い、私たちも何かしなければ、その気持ちを家に帰っても持ち続け、具体的に行動を起こすことを願っています」と。
キャピタリズム~マネーは踊る~
http://capitalism.jp/
公開劇場現状
TOHOシネマズシャンテ
TOHOシネマズ梅田
(ハンマー)
公開に先駆け来日し、大阪芸術大学で飛び入り講義をしたり、東京ではファンに「あなた、お母さんから10億円もらったことある?」と質問するなど、話題を振りまいている。
ムーア監督、「ゆきゆきて、神軍」の縁で飛び入り講義(朝日新聞)
12月3日、来日中のムーア監督がNHKクローズアップ現代に出演した。巨大自動車産業GMの凋落を描いたデビュー作『ロジャー&ミー』から、銃社会を斬る『ボーリング・フォー・コロンバイン』、ブッシュの戦争を批判する『華氏911」、そして米の無保険医療制度を告発する『シッコ』と、社会派ドキュメンタリー映画を撮り続けて来たマイケル・ムーア監督が、それらの諸矛盾の根底にあるものとして行き着いたのがキャピタリズム=資本主義だった。わずか1%の人間が残り95%の人間の富を集めたよりも多くの富を独占するという資本主義の異常な格差・差別構造を糾弾する。
国谷キャスターが、「あなたの映画は白黒がはっきりしすぎていると批判する人がいます。資本主義にもいい面があるのでは・・」と問うとマイケル・ムーアがすかさず、「あなたは奴隷制を批判する人に、奴隷制にもいい面があるといいますか?あなたはナチスのユダヤ人大虐殺を批判にする人に対して、ユダヤ人大虐殺のいい面をもっと見なければと・・・」とたたみかける。これには国谷キャスターも大爆笑。マイケルは、奴隷制やユダヤ人大虐殺と並ぶものとして資本主義の賃金奴隷制、静かな大量虐殺を批判しているのである。
資本主義の批判とくれば社会主義を求めているのかと思うがそうでもないようだ。その点は語っていない。シッコに出てきた社会主義キューバはどうなのだろう。彼は資本主義を批判し、民主主義が投げ捨てられていることを嘆く。彼のいう民主主義を回復する、徹底させるということがどういうことなのか、重要な視点だと思う。民主主義の徹底された姿をキューバに見ているのではないだろうか。
マイケル・ムーアは熱烈な民主党支持者として知られていたが、オバマに対する舌鋒は鋭い。オバマがアフガン増派方針を打ち出すやいなや、公開書簡を送り「戦争大統領」になるつもりなのかと激しく非難した。共和党であろうと民主党であろうと、その根底にある資本主義を克服しなければ、矛盾は解決しないと考え始めたのかもしれない。
An Open Letter to President Obama from Michael Moore(Michaelmoore.com)
権力が国民を扇動する手段として「不安」を挙げているのも重要だ。不安を駆り立てること、恐怖を与えることが国民を支配する重要な手段だという。イギリスの元国会議員が登場し、「教育と健康と自身を持つ国民は扱いにくい。貧しく、士気をくじかれ、恐怖心がある国民は、命令を聞いて、最善を祈るのが一番安全だと考える」と語る。国民は恐怖を与えられ縮こまって生活しながら、「我々はすばらしい、アメリカ一番」というメディアに扇動され、貧困のどん底に陥れられ、戦争にかり出されていくのである。こんな状況を打開するために、ムーアは決して大手メディアが伝えることのない真実を伝えようとしている。
マイケル・ムーアは最後に語る、「映画を見終わってみんなが立ち上がり、お互いに声を掛け合い、私たちも何かしなければ、その気持ちを家に帰っても持ち続け、具体的に行動を起こすことを願っています」と。
キャピタリズム~マネーは踊る~
http://capitalism.jp/
公開劇場現状
TOHOシネマズシャンテ
TOHOシネマズ梅田
(ハンマー)
資本主義を謳歌していた米国が何故今や真面目に働いても家を取り上げられてしまうような国になってしまったのか。それがとてもよくわかりました。
私はこれまで「デリバティブ」がさっぱりわからなかったのですが、この映画を見てとてもよくわかりました。つまり、専門家でも説明に窮する代物だということが。
この映画に登場する聖職者たちはみな資本主義を「悪」と言い、聖書の教えに反していると述べていますが、政治家たちは神が資本主義を祝福していると言います。そこでムーアは資本主義的イエスを画面に登場させます。
病人が連れてこられても「この症状に医療保険は適応されない」と言うイエス。
「こんなイエスがいたらいやだなあ」と誰もが思ってしまうことでしょう。
映画の最後のテロップのバックミュージックのひとつは、あの歌でした。アメリカンフォーク調にアレンジされていましたが。
※M・ムーア監督『今回 すべてを出し切った』新作映画『キャピタリズム~』(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2009120402000069.html