2009年の「飛ぶ豚マラソン」(Flying Pig Marathon)以来2度目のオハイオ州遠征となったクリーヴランドマラソン。全米屈指の音楽アトラクション「ロックの殿堂」(Rock'n'Roll Hall Of Fame)があることから「ロックシティ」と呼ばれるエリー湖岸の街クリーヴランドが春シーズンの最後を飾る舞台となった。
5月20日(日曜日) 。この時期になると、事実上は夏の気候。レースの数日前から華氏86度(30℃)近い最高気温が予報されており、これはかなり厳しい耐久レースになるだろうという予想から、塩ラーメンや塩せんべい、梅干し飴などを摂取しながらせっせとナトリウム・ローディングに励んだ。これが功を奏したのか、当日は脚を攣ったりするような大きなトラブルもなく無事完走することができた。
レースは朝7時、NFLクリーヴランド・ブラウンズの本拠地ブラウンズ・スタジアムの西側からスタート。この時点ではまだ華氏60度(16℃)程度だったはずだが、2マイルも走らないうちに汗だくになってきた。フルを走るにはこの気温でも高すぎるというのが正直なところだ。
Mile 01: 8分47秒(08分47秒)
Mile 02: 8分16秒(17分03秒)
Mile 03: 8分29秒(25分32秒)
Mile 04: 8分45秒(34分17秒)
Mile 05: 8分31秒(42分48秒)
Mile 06: 8分35秒(51分23秒)
10K地点通過: 53分04秒
スタート直後は上り勾配のハイウェイ。ニューヨークのヴェラザノブリッジほどではないが、それに近い滑り出しを連想させる。2マイルを過ぎると右手にエリー湖畔のヨットハーバー。そこから閑静な林間道路を経て、4マイル目の手前でまたゆるやかな上り。その後は緑豊かな住宅地に入っていく。5マイル、6マイルと比較的平坦なコースが続くものの、マイルペースは8分30秒台からなかなか上がらず。やはり体がついて行けてない。3時間35分前後を狙う場合でもマイル8分15秒平均を維持することが必要なので、この時点でベスト狙いはかなり厳しいというのがわかる。それよりもこのまま8分30秒平均を目安に最終目標を3時間40分レベルに下方修正するほうがよかろうと判断。ベスト狙いが厳しい時はアベレージ確保に徹するのも立派な闘いであると思う。
Mile 07: 8分22秒(59分45秒)
Mile 08: 8分28秒(1時間08分13秒)
Mile 09: 8分26秒(1時間16分39秒)
Mile 10: 8分34秒(1時間25分04秒)
Mile 11: 8分22秒(1時間33分35秒)
Mile 12: 8分19秒(1時間41分54秒)
Mile 13: 8分28秒(1時間50分22秒)
中間地点通過: 1時間51分13秒
目標を下方修正すると気が楽になったのか、8分20秒台のペースが出るようになってきた。もともと火がつきにくいほうだが、ようやく体がレースモードになってきたか。シティ・マーケットに突き当たる8マイルから直角の曲がり角が増え、10マイルの手前でノースヒルのような長い上り坂がある。それを過ぎるとMLBクリーヴランド・インディアンスの本拠地Progressive Fieldに向かってまっすぐに伸びる長い橋へ。ここの風景は前半のハイライトかもしれない。球場の手前で左に折れ、コースはいよいよクリーヴランドの中心街に突入する。12マイル過ぎでハーフのランナーと別れ、ルネッサンスホテルやハイヤットホテルの並ぶSuperior通りを通過。そこから繁華街Euclid通りに移る途中で中間地点を通過した。
1時間51分13秒。この先イーヴンで行ったとしても3時間40分切りは厳しい。逆にいえば無理に飛ばしていないので、大崩れしないペースでもある。もしかしたら3時間40分台前半なら確保できるかもしれない、という前向きな希望を持って後半戦に突入することとなった。
Mile 14: 8分33秒(1時間58分55秒)
Mile 15: 8分37秒(2時間07分32秒)
Mile 16: 8分25秒(2時間15分57秒)
Mile 17: 8分19秒(2時間24分16秒)
Mile 18: 8分18秒(2時間32分34秒)
Mile 19: 8分17秒(2時間40分51秒)
Mile 20: 8分09秒(2時間49分00秒)
レース開始から2時間を経過する頃には体感で華氏70度(21℃)を超える。それはもちろん予想されていたので、序盤戦の段階からスポーツドリンク(Power Ade)を積極的に補給し、エナジー・グミも早目のタイミングで摂取していた。それでも中間地点を過ぎたあたりから脚が重くなってきて、14マイル、15マイルのラップは8分30秒を超え始めた。このままズルズル失速していくと戦意喪失につながるので、どうにかして浮上するきっかけがほしい、と思っているところへ、男性2人組の3時間40分のペーサーが追いついてきた。このまま引き離されるとあっという間に3時間45分→3時間50分と落ちてしまうと直感したので、2人組のペーサーを命綱にするべくギアチェンジを試みた。おかげで16マイルは8分20秒台に持ち直し、さらに17マイルでは8分19秒にペースアップ。今思えば、ここがレース上での大きなターニングポイントだったかもしれない。
そして17マイル過ぎ、 Martin Luther King Dr.の長いダウンヒルに突入する。この地域はUnivercity Circleと呼ばれる緑に恵まれた名所。ここからエリー湖岸に向かって3マイル続く下り勾配を、2人組のペーサーのすぐ後ろを追って一気に駆け下りた。マイルペースも8分18秒→8分17秒→8分09秒と加速。20マイルに至って究極のランナーズ・ハイが訪れた。
経験上、この時点でのランナーズ・ハイは本物のはず・・・と思ったので、勢いにまかせて21マイル目も爆走する。2人組のペーサーをかわし、エリー湖岸のBike Pathをぐんぐんとスピードアップ。最速ラップの7分49秒を計時した。これが涼しい時期のレースだったら、この勢いでゴールまで押し切ることができたかもしれない。3月のB&Aトレイルマラソンと似たような展開でもあり、この時点では間違いなくネガティヴスプリットを意識していたのである。
Mile 21: 7分49秒(2時間56分49秒)
Mile 22: 8分38秒(3時間05分27秒)
Mile 23: 9分02秒(3時間14分29秒)
Mile 24: 9分20秒(3時間23分49秒)
Mile 25: 9分11秒(3時間33分00秒)
Mile 26: 9分40秒(3時間42分40秒)
しかし・・・22マイルからが試練だった。Bike Pathが終わってからのコースが市街地のややさびれた区域になり、微妙な上り坂もあって精神的にキツくなってきたのもあるが、スタートから3時間を経過する午前10時になってから、気温も明らかに華氏80度(27℃)を超えてきた。23マイル、24マイルあたりは急激に脚が重くなり、マイルペースも9分台に落ちる。こうなるとペーサーを追いかける余力もなく、歩きたい誘惑との闘いになった。ちょっと前まであれほど元気だったのにこうも落ちるものなのか、と驚くほどの消耗ぶりで、とにかく早く終わってほしいとそればかりを願っていた。
それでも25マイルを過ぎるとゴール近くの大歓声が耳に届いてくる。殺風景なシーンがようやく終わり、巨大なガラスのピラミッド「ロックの殿堂」 に向かう下り坂に突入。ここを駆け下りると26マイル。そして左に折れてしばらくするとブラウンズ・スタジアムの手前にゴールゲイトが見えてくる。そしてゲイト上のデジタル時計が3時間44分台を示しているのが見えた。なんとか45分になる前にゴールしたい、その一心で最後の力を振り絞り全力疾走。最終的にクロック・タイムは45分を少し超えたものの、ネット・タイムでは間違いなし・・・という絶妙のタイミングでゴールゲイトに到達した。
Finish Time 3時間44分34秒(8:34/mile)。
総合順位 431位/2598人中
男女別順位 347位/1564人中
年代別順位 23位/139人中
20マイルまで2人組のペーサーを追っていた時、一緒に走っていたランナー同士の会話から、いつもは3時間30分くらいで走るランナーが10分遅れのペースで走っていることがわかったので、このコンディションならベストタイムから10分落ち程度でも合格と考えていいだろうし、途中まで狙っていたネガティヴスプリットは成らなかったものの、前半ハーフ(1時間51分13秒)と後半ハーフ(1時間53分21秒)の落差を2分08秒に抑えることができたので、内容的には十分健闘したレース、と言っていいかもしれない。
また前回のオハイオ遠征・飛ぶ豚マラソンのタイム(3時間44分43秒)を9秒上回る「オハイオ・ベスト」を達成できたのもよかった。マラソンは自己ベストばかりがベストではなく、いろいろなベストで達成感を味わえるというのも魅力なのだ。
次のフルは10週間充電して7月のサンフランシスコマラソン。坂の多い難コースなので自己ベスト狙いで追い込むのは到底無理だろうが、2年前のLAマラソンのタイムを上回るカリフォルニア・ベストであれば十分チャンスはあるだろう。
★空港近くのI-X Centerで行なわれたクリーヴランドマラソンのExpo。ダウンタウンのハイアットホテルからシャトルバスで約30分のロケーション。
★Expo会場でYoshiさん、飛脚さんと落ち合い記念撮影。
★5-hour Energyのブースで美人スタッフと一枚。
★レース当日の朝、スタート会場となっているNFLブラウンズ・スタジアムへ。
★スタートライン近くにはタイムを表示したプラカードを持ったペーサーたちが集まっていた。
★スタートゲイトを背景にYoshiさん、飛脚さんと記念撮影。
★ゴール直後の1枚。暑さで体力を消耗してのゴールだったはずたが・・・
その割りには比較的元気だったかもしれない。
★今回は紫の衣装で「セクシャル・ヴァイオレットNo.1」を狙っていたが、彼女には明らかに負けた。こちらは3時間45分のペーサーを務めた地元オハイオのRoseさん。設定タイムからわずか3秒の誤差(3時間45分03秒)でゴール。ボストンマラソンにも何度も出場している実力派の「美・ランナー」である。
★ゴール後は無料ビール「Miller 64」がふるまわれた。やはり、これが至福のひととき。
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