2007年トロントを皮切りに始まったカナダ遠征シリーズ。その後、2008年ケベックシティ、2009年モントリオール、2010年ナイアガラフォールズ、と年に1度の遠征を重ね、今年2011年は初のカナダ西海岸に進出。日本でも人気のあるバンクーバーマラソンに参加することになった。
バンクーバーには、北米最大級の日本人ランニング・コミュニティ「ランスマ(Running Smile)」がある。すでに過去のレースでその何人かと交流を持っていたが、今回はその本拠地に乗り込むとあって、いつにない大歓迎を受けた。前日行なわれた前夜祭では「ランスマ」のメンバーと、日本と北米各地からの遠征部隊を加えた約25名が集まって、にぎやかに盛り上がった。クリールの編集長である樋口さんなど、メディア関係の人たちも集まる本格的な決起集会となった。
そして、雨の多いバンクーバーとしては珍しいほどの晴天に恵まれた5月1日(日曜日)の朝、NHLのバンクーバー・カナックスの本拠地G.M.プレイス近くのスタート地点に、前日知り合った新しい仲間たちが集まる。ミシガンJランナーズのYoshiさんやいっちいさん、アトランタから遠征のらっきさんなど、米国内のお馴染みのメンバーも顔を揃え、カナダ国家斉唱の後、午前7時30分にレースがスタートした。
今回は調子も良かったため、強気な「攻めのマラソン」に徹してみることにした。3時間40分をギリギリで切れるペース設定、5:12/km前後をできるだけ守って自己ベストを狙うという作戦だ。スタート直後はフォールスクリークの南側(五輪村のあったところ)の住宅地を折り返すコース。最初は同じく3時間40分切りを狙うmikaさん、かめさん、ひ。さんのすぐ後ろをついていったが、ややペースが速すぎると思ったので、1km過ぎからは自分の設定タイムに合わせることにした。
05km 25分55秒
10km 25分35秒(51分30秒)
10km地点を過ぎるとチャイナタウンに突入。ここからは長い橋のゆるやかな上り下りもあり、少しづつ起伏が増えてくる感じで、一時的にペースを落とす。
15km 26分11秒(1時間17分41秒)
15km地点を過ぎて、19世紀の古い建物が残るバンクーバー発祥の地ガスタウンを通過。続いて近代的な高層ビルが林立する中心街に突入する。そして右手に広がる入江の向こう、頂上に雪の残る北部バンクーバーの美しい山並みが見えてくると気分は徐々に盛り上がってきた。18kmの表示を過ぎ、新緑が美しいスタンレーパークに突入。このあたりが一番のランナーズ・ハイだったかもしれない。
20km 25分42秒(1時間43分23秒)
名物のトーテムポールが立つ付近が20km地点。ここから入江越しに見えるダウンタウンの街並みの眺めは素晴らしい。やがて灯台の立つブロークンポイントを過ぎると中間地点のゲート。手元の時計では1時間49分08秒。まずは想定通りの前半戦だ。
入江沿いのコースをさらに北に向かい、風光明媚なライオンズ・ゲートブリッジの手前で南に折れ、トレイルのような森の中のコースとなる。小刻みな起伏はあるものの、気持ち良さは最高。好天に恵まれた時のバンクーバーのコースは間違いなく北米屈指と言えるだろう。
25km 26分10秒(2時間09分33秒)
25kmを過ぎるとスタンレーパークを出て、イングリッシュベイの沿岸を走るコースとなる。27kmまではPRペース。さてここからが…運命のバラードブリッジに向かうPacific Streetの長い上り坂となる。
レースの山場だけあって応援も多い。まだまだ脚は元気だったので、上り勾配を強気一本で上って行く。そして右折してバラードブリッジへ。さらに勾配を上り、28kmあたりから、今度は長ーい下り坂となる。上り下りの合計距離では、おそらくニューヨークのクイーンズボロブリッジより長い。しかもバラードブリッジは最後に「もう一度」越えなければならないのだ。
しかし、橋以上にキツラノ地区に入ってからの起伏のほうがある意味キツかったかもしれない。特に30km手前の上り坂は効いた。ここでだいぶ体力を消耗したという実感がある。
30km 27分07秒(2時間36分40秒)
少しペースは落ちたが、まだまだ自己新の範囲内なので、ここからが正念場となるし、いつもなら十分粘れるところだ。しかし思った以上に脚に来ている。こういう場面に備えて坂道練習はやったつもりだが、まだまだ足りなかったのだろう。
33km前後で折り返し、再びバラードブリッジの方向へ向かう。体感ではマイル9分台に落ちてきている。このあたりで3時間40分のペース軍団に抜かれる。必死でついていくが、自己新はちょっと厳しくなってきたか…という感覚になってきた。
35km 27分40秒(3時間04分20秒)
35kmを過ぎたらペースアップ、というのが最近のレース展開だが、今回はそこまでの余力は残っていなかった。気温は15℃程度のはずだが、快晴のせいか、かなり暑く感じるようにもなってくる。思考能力も低下してきたので、ただただひたすらに前に進むのみ。そんな中、時おり見える雪景色の山並みが、鮮明に印象に残った。
38kmを過ぎて、最後のバラードブリッジの上り坂に向かう。文字通り最後の山場。これを上れば、もうレースは終わりだ、そう自分に言い聞かせて橋の頂上に向かった。脚が上がらない、歩いているのとほとんど変わらないという感覚。最近のマラソンでは長らく忘れていた拷問のような苦しさ…
40km 29分08秒(3時間33分28秒)
ここからは下り坂。もう坂を上らなくていいという喜びと開放感に満たされながら、世界最大規模のドーム型屋内競技場、B.C.スタジアム近くのゴールに向かって走り続けた。歓声がこだまする。最後はできるかぎりの全力疾走で、通算31回目のフルマラソンのゴールに飛び込んだ。
Finish Time (自分の時計では)3時間44分59秒。
あとで公式サイトを見てみると3時間45分00秒だった。たぶん自分の時計のほうが正しいような気がするのだが、いずれにしても、想定タイムよりちょうど5分遅れた。
最近のフルマラソンはほぼイーブンで走ることが多かったが、今回は前半から攻める戦法を選んだこともあって、前半ハーフと後半ハーフの落差は6分44秒となった。おそらく前半抑えたとしても、どっちみち後半のペースダウンは免れなかっただろうから、前半に貯金をしておいて正解だったろう。それだけ後半のコースは厳しかったし、特に27km以降はNYCM以上の難コースだった。
レース後はいったんホテルに戻り、お風呂につかって、レストランの2階貸切りの宴会場へ。ランスマのメンバー、日本と米国各地からの遠征部隊、そしてクリール編集長も含めたおよそ50人ほどが集まり、ビール、ワインで数時間に及ぶ至福の時を楽しんだ。これだけ充実したアフターというのは、NYCMを別にすれば、今まで例がないだろう。
★第40回記念大会のオフィシャルTシャツは、なんとランスマのメンバーである「そのへん」さんによるデザインが選ばれた。躍動感のある図柄が素晴らしい。
★スタート前に集まった仲間たち。ミシガンJランナーのいっちいさん、サルコスでお馴染みのYoshiさん、地元ランスマのトップランナーDadomoさんとQtaさんご夫妻、日本から遠征のShoeHoeさん(年代別優勝)、今回は応援に大活躍した「そのへん」さんという豪華な顔ぶれ。
★ゴール後の1枚。B.C.スタジアムが背後に見える。
★ゴール後はmikaさん、鉄人さん、らっきさんたちとマクドナルドのコーヒーを飲み交わす。
★レース後の大宴会で最後まで残った16人で記念撮影。来年度の再会(?)を誓い合う。
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次回はPRをめざして頑張ってください。
私は表彰式が終わったら、直接フェリーでビクトリアに観光に出てしまったのですが、レース後の宴会も楽しそうですね。
どこかのレースでお会いすることもあるかも。その際はよろしくお願いします。
いつもご愛読ありがとうございます。
今季は好調という感覚があるので、いずれ待望のPRが出るのでは、と期待しております。
はじめまして。自分はアメリカ東海岸からの参加でした。
カナダの大会の中ではナイアガラと並んで、日本では人気が高いようですね。
一度走っただけではなかなか攻略が難しいコースなので、いつかまたチャレンジしたいと思っています。