375's ROAD TO BOSTON/ゴールは虹の彼方に

米国在住ランナーの究極目標「ボストンマラソン」とアメリカ50州制覇を目指す人生の旅日記。

マラソン大会予定

◆2015年1月18日 HOUSTON MARATHON(TX州=2年連続2回目) ◆2015年4月20日 119TH BOSTON MARATHON(MA州=3年連続3回目) ◆2015年10月4日 TWIN CITIES MARATHON(MN州=初出場/米国26州目)

どれにする? 本田美奈子・アイドル時代のベスト盤。

2006年06月14日 | 本田美奈子.記念館


「2000 Millenium Best」 (2000年5月24日発売) TOCT-24355

収録曲 ①殺意のバカンス ②好きと言いなさい ③青い週末 ④Temptation(誘惑) ⑤1986年のマリリン ⑥Sosotte ⑦HELP ⑧The Cross(愛の十字架) ⑨Oneway Generation ⑩Heart Break ⑪孤独なハリケーン ⑫悲しみSWING ⑬7 th Bird“愛に恋” ⑭SHANGRI-LA ⑮HARD TO SAY “I LOVE YOU”


「ゴールデン☆ベスト」 (2003年6月25日発売) TOCT-10912

収録曲 ①殺意のバカンス ②好きと言いなさい ③青い週末 ④Temptation(誘惑) ⑤1986年のマリリン ⑥Sosotte ⑦HELP ⑧The Cross(愛の十字架) ⑨Oneway Generation ⑩CRAZY NIGHTS ⑪Heart Break ⑫孤独なハリケーン ⑬悲しみSWING ⑭あなたと、熱帯 ⑮7th Bird“愛に恋” ⑯Stand Up ⑰勝手にさせて ⑱モーニング美奈子ール


「CD & DVD THE BEST」  (2005年12月7日発売) TOCT-25857

収録曲 -CD- ①殺意のバカンス ②好きと言いなさい ③Temptation(誘惑) ④M' ⑤1986年のマリリン ⑥ハーフムーンはあわてないで ⑦HELP ⑧キャンセル ⑨Oneway Generation ⑩ONE SHOT ⑪孤独なハリケーン ⑫悲しみSWING ⑬あなたと、熱帯 ⑭カシスの実 ⑮勝手にさせて ⑯SHANGRI-LA ⑰7th Bird“愛に恋”

収録曲 -DVD- ①恋人失格[Live] ②Temptation(誘惑)[Live] ③1986年のマリリン[Live] ④Oneway Generation[Music Clip] ⑤CRAZY NIGHTS[Music Clip]
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1980年代にアイドルとしてデビューした歌手の最高峰は、文句なく本田美奈子だと思うが、真の意味で、彼女の才能と実力が十二分に開花するのは、1990年代でのミュージカル進出後、不朽の名曲「つばさ」を発表した時期であろう。

しかしながら、彼女の才能は、デビュー当時からすごいものがあった。

一般に知られているヒット曲の数だけを単純に比較すれば、彼女を上回るアイドル歌手は何人もいるだろう。しかし、本当に粒のそろっている名曲の数々、何度聴いても飽きのこない、味の濃い歌唱力という点において、彼女以上に満足感を得られる歌手は、なかなか見当たらないのだ。

そんな、真の天才ともいえる美奈子さんの、アイドル時代のCDを最初に購入するとしたら、どれがいいだろうか? 

実は、最もお勧めなのは、東芝EMI在籍時(いわゆるアイドル時代)の全シングルと全アルバムを収録した、「本田美奈子BOX」(TOCT-25543)なのだが、高価でもあるので、いきなり購入するのは、二の足を踏む人も多いだろう。

そこで、まず、手ごろな1枚ものから選ぶことになると思うが、現時点で入手可能なベスト盤には、上記にあげた3点がある。(この3点以外に10曲入りの「New Best 1500」(TOCT-11052)があるが、あまりにも曲数が少ないので、除外させてもらう)

上記3点の、それぞれの収録曲数は、「2000 Millenium Best」が15曲、「ゴールデン☆ベスト」が18曲、「CD & DVD THE BEST」が17曲プラス5曲のDVD、となる。

このなかで、最もA面コレクションの体裁に近いのが「ゴールデン☆ベスト」で、美奈子さんの発表した18枚のシングルA面曲のうち、17曲を収録しているのだが、惜しくも「SHANGRI-LA」だけが抜けている。代わりに収録されたのが、「青い週末」のB面曲「モーニング美奈子ール」。この差し替えは、収録時間の関係なのだろうか? ちょっと謎である。

他の2点のベスト盤には、「SHANGRI-LA」は入っているのだが、別の曲が抜けている。「2000 Millenium Best」の場合は、「CRAZY NIGHTS」と、WILD CATS時代のシングルA面の3曲が削られ、「CD & DVD THE BEST」に至っては、「青い週末」「Sosotte」「The Cross(愛の十字架)」など、けっこう重要な曲が落とされているのがマイナスだ。

結局、現時点では、とりあえず「ゴールデン☆ベスト」を購入して、「SHANGRI-LA」以外のシングルA面曲に親しんで頂き、もっといろんな曲が聴きたくなったら、お金を貯めて「本田美奈子BOX」を購入する、という順序が、無難なところだろうか。

大切なことは、どのCDを購入するにしろ、ベスト盤というものは、あくまできっかけの1枚に過ぎないという点である。

もし、この1枚で本田美奈子さんの魅力に目覚めることができたなら、あなたは、本当に幸せだ。その瞬間から、美しき天使の歌声に満ちた至高の世界へ、一歩を踏み出す旅人になるのだから!


発売1周年!「LIFE ~本田美奈子.プレミアム・ベスト」

2006年05月25日 | 本田美奈子.記念館


「LIFE ~Minako Honda. Premium Best (2005年5月21日発売) UMCK-9115

収録曲 ①祈り ②愛の讃歌 ③アマリア ④BBちゃん雲にのる ⑤Oneway Generation ⑥1986年のマリリン ⑦Temptation(誘惑) ⑧幸せ届きますように。 ⑨この歌をfor you ⑩Fall in love with you -恋に落ちて- ⑪僕の部屋で暮らそう ⑫June ⑬ら・ら・ば・い ~優しく抱かせて ⑭命をあげよう ~ミュージカル「ミス・サイゴン」より ⑮あなたとI love you ⑯つばさ

DVD(初回限定版のみの特典) 
①ら・ら・ば・い ~優しく抱かせて ②僕の部屋で暮らそう ③Fall in love with you -恋に落ちて- (いずれもプロモーション・ビデオ)
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昨年5月21日、本田美奈子さんが病床で自ら選曲した、「LIFE」と題するアルバムが発表されてから、1年が過ぎた。あれから、このアルバムを何度くりかえして聴いたことだろう。おそらく、すべてのアルバムの中で、聴いた回数では、いちばん多いに違いない。

本来は、この時期、デビュー20周年の記念アルバムが予定されていた。しかし、突然の入院によって、レコーディングの延期を余儀なくされてしまったので、その代わりに、1994年発売の「Junction」と、1995年発売の「晴れときどきくもり」の2枚のアルバムの収録曲を中心にして、命をテーマとするベスト・アルバムを編集したのだった。

実を言えば、自分は1990年代の美奈子さんの活動は、ほとんど追いかけていない。美奈子さんの思い出といえば、1985年のデビュー時から、「1986年のマリリン」でのブレイクを経て、1988年のロックバンドMINAKO with WILD CATSの結成、1991年のミュージカル「ミス・サイゴン」のオーディション合格・・・ ここまでである。

1991年以降、自分は日本を離れ、アメリカへ定住してしまったこともあって、美奈子さんの情報からは、すっかり遠ざかってしまった。当時はインターネットなどもなかったので、地理的に離れてしまえば、それまでだったのである。

自分が再び、美奈子さんに注目するようになったのは、2003年、初めてのクラシックアルバム「アヴェ・マリア」をリリースするという情報を、某レコード会社のサイトで知ってから。当時は、日本の音楽はほとんど聴かず、クラシック音楽を中心に聴いていたのだが、そのニュースは、やんちゃなおてんば娘が、突然、美しい天使に変身して帰ってきたような驚きだった。

というわけで、1990年代の「Junction」「晴れときどきくもり」という2枚のアルバムは、存在すら知らなかった。名曲「つばさ」が使われたという、化粧品のCMも見ていない。リアルタイムで聴くことのできなかった名曲を、この2005年発売のアルバム「LIFE」で、ようやく耳にすることができたのである。

とにかく、この⑯「つばさ」は素晴らしい。自分は40年以上、歌謡曲を聴いているけれども、戦後最高の名曲をひとつだけ選ぶようなアンケートがあるとしたら、迷わずこの曲に一票を入れると思う。

このアルバムは、名曲の宝庫だ。美奈子さんの曲には、世間的なヒット曲よりも、何度でも聴きたくなる曲、歌いたくなる曲が多いが、特に、このアルバムに収められた曲は、すべて魅力的だ。

グレゴリオ聖歌を題材とした①「祈り」では、後年のクラシック作品を先取りするような、世界平和への祈りが聴かれる。

「愛の讃歌」と③「アマリア」は、往年の大歌手・越路吹雪のカバーだが、美奈子さんならではの、ピュアな感情にあふれている。

ブリジット・バルドーをモデルにした④「BBちゃん雲にのる」は、愉しいJAZZ、もしくはチャールストン風。ハイトーン・スキャットの素晴らしさも含めて、名人芸の域だ。

⑤⑥⑦では、アイドル時代へタイムスリップ。前後の曲とのつながりが良く、ここだけ浮いてしまうような違和感はない。

「幸せ届きますように。」と⑨「この歌をfor you」は、ともに美奈子さん自身による、優しく、思いやりに満ちた歌詞。このあたりから、いつも、涙が止まらなくなってしまう。

「Fall in love with you -恋に落ちて-」は、スケールの大きいデュエット曲。「♪ねえ 高い空から 天使の歌が きこえるわ・・・」で始まる天使のモチーフが、俗世間を超越した、天界の雰囲気を感じさせる。

「僕の部屋で暮らそう」は、レゲエ風、もしくは沖縄音階風の、ちょっと変わったメロディー。こういう南国的な雰囲気も、美奈子さんにはよく似合う。

「June」は、「words インスピレーション:本田美奈子」とある。本人にとって、何か特別な思い出が、込められているのだろうか。

「ら・ら・ば・い ~優しく抱かせて」は、最高にカッコイイ名曲。クラシックの格調の高さと、J-POPのビート感をあわせ持ち、カラオケのレパートリーにするには理想的といえよう。こういう曲が今後増えてくれれば、日本の音楽界にも希望が持てるのだが・・・。

「命をあげよう 」は、ミュージカル歌手・本田美奈子としての代表作。まるで人類の母になりきって、自分の命を捧げるかのような迫力がある。

「あなたとI love you」は、作詞・作曲とも美奈子さん自身。この歌詞の中には、再び「天使のモチーフ」が現われる。やはり彼女の理想は、俗世間から離れた天上的な永遠の愛…なのだろうか。

そして、⑯「つばさ」。本田美奈子さんの、真の意味での代表作
夢・希望・勇気、そして永遠なるものへの憧れ…。彼女が命を賭けて追い求めてきたすべてのものが、この一曲に込められている。

  あなたもある つばさがある
  飛び立つのよ 空へと
  美しいわ 幸せでしょう
  風にのり 虹を渡ろう

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本田美奈子関連記事・バックナンバーはこちら。

デビュー21周年特別企画・「美奈子クラシック」の世界。
「天国からのアンコール」~1986年&2006年のマリリン。
本田美奈子.「心を込めて…」 ~魂のラスト・メッセージ。
本田美奈子.「I LOVE YOU」 ~よみがえる幻の名曲。


デビュー21周年特別企画・「美奈子クラシック」の世界。

2006年04月26日 | 本田美奈子.記念館
 
「アヴェ・マリア」 (2003年5月21日発売) COCQ-83633

収録曲 ①流声 ②アヴェ・マリア ③私のお父さん ④タイム・トゥー・セイ・グッバイ ⑤美しい夕暮れ ⑥ヴォカリーズ ⑦グリーンスリーヴス ⑧ジュピター ⑨私を泣かせて下さい ⑩シシリアンヌ ⑪ニュー・シネマ・パラダイス ⑫タイスの瞑想曲 ⑬アメイジング・グレイス ⑭ベラ・ノッテ

 
「時」 (2004年11月25日発売) COCQ-83683

収録曲 ①すべての輝く朝に ②白鳥 ③誰も寝てはならぬ ④If I Loved You ⑤エデンの東 ⑥ゴッドファーザー ⑦風のくちづけ ⑧新世界 ⑨パッヘルベルのカノン ⑩人知れぬ涙 ⑪アリア ⑫ソルヴェイグの歌 ⑬時 -forever for ever- ⑭この素晴らしき世界

 
日本ゴールドディスク大賞<クラシック・アルバム・オブ・ザ・イヤー>受賞
「アメイジング・グレイス」 (2005年10月19日発売) COZQ-147~8

収録曲 ①アメイジング・グレイス ②タイスの瞑想曲 ③Time To Say Goodbye ④風のくちづけ ⑤この素晴らしき世界 ⑥ララバイ ~ミュージカル「十二夜」より(CD初収録)

映像DVD ①アメイジング・グレイス(ライブ映像) ②白鳥(プロモーション・ビデオ)
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日本の音楽界が、新しい持代を迎えようとしていた。

2003年、近年はミュージカル等で活躍していた本田美奈子が、クラシカル・クロスオーバー歌手としてのアルバム第1作「アヴェ・マリア」をリリースする。日本語の歌詞で、クラシックの名曲を歌うという斬新な試み。それは、かねてから彼女自身が抱き続けていた夢の実現であるとともに、日本の音楽界全体に新風を吹き込む、記念すべきプロローグでもあった。

2004年、ソプラノ歌手としてのアルバム第2作「時」をリリース。その年始めのコンサートで、彼女は次のように挨拶したという。「いろんなジャンルの歌に挑戦してきまして、昨年はじめてクラシックに挑戦しました、クラシックでは1年生です。マリリンのイメージから、クラシックという音楽の世界まで、幅広く奥深く…。私はまだ1年生!勉強せねばならないこといっぱいありますが、本田美奈子流で…。みなさん最後までお付き合いください!」

クラシック1年生。彼女が理想とする基準から見れば、今ようやく、スタートラインに立ったところだったのだ。

しかし2005年、デビュー20周年を迎え、さらなる飛躍を期していた矢先、思いもかけず、病に倒れる…。そして10ヶ月の闘病の末、彼女は天に召された。

それは、彼女自身の地上でのキャリアの終わりを意味するだけでなく、日本の音楽界そのもののが、再び夜の世界へ…、昇りかけた太陽を失ったかのような世界へ、迷い込んでゆくことを意味した。

その、おそるべき現実に気づいている人たちは思った。「このままで、終わらせてはいけない」と。 いったん昇りかけた太陽は、輝かせなければならない。残された、私たちの手で…。

わずか3年、実質的には2年足らずのうちに遺した彼女の歌声は、文字通り、最後のいのちを削って、磨き上げたものだった。1人でも多くの人に、歌の素晴らしさを伝えたいがために…、1人でも多くの人の心を、豊かにしたいがために…。

今あらためて、ここに収められた歌声を聴いてみると、ひとつひとつが、磨きぬかれた宝石のような輝きを放つ。一生そばに置いておきたいと願わずにはいられない、かけがえのない宝物だ。

そして、このような宝物を与えて頂いたからには、自分自身も、悔いのない、素晴らしい人生を歩まなければと思う。そのことが、彼女への恩返しにもなるのではないか。

現時点で唯一のクラシック・ライブ映像「アメイジング・グレイス」を見ても、その舞台姿の美しさ、気高さは、なんと表現したらいいだろうか。このようなオーラは、久しく見たことがなかった。自分も40年以上、いろいろな音楽を聴いているが、間違いなく、日本最高レベルの大歌手と断言できる。

ホルスト作曲の「ジュピター」に聴く、起伏に富んだドラマチックな迫力。モリコーネの名曲「ニューシネマ・パラダイス」に聴く、デリケートでノスタルジックな情感。岩谷時子作詞によるオリジナル曲「時 -forever for ever-」に聴く、永遠なるものへの憧れと、限りある命への慈しみ。そして、入院前の最後の録音となった「ララバイ~ミュージカル・十二夜よりに聴く、彼岸の世界を思わせる静けさ…。

どれもが、ワン・アンド・オンリーの「美奈子クラシック」とも呼ぶべき、至高の芸術である。

この最高度の評価を邪魔するものがあるとすれば、それは「元アイドル歌手」という先入観かもしれない。しかし、実際にあらためて当時の曲を聴いてみると、むしろロックを中心とした、本格的なシンガーとして活躍していたことがわかるし、歌唱力は当時から群を抜いていた。そして、常にチャレンジ精神を失わず、自己を磨き前進していく姿勢は、一貫して変わることがなかった。

日本が生んだ最強の歌姫・本田美奈子の伝説は、まだ始まったばかりだ

「天国からのアンコール」~1986年&2006年のマリリン。

2006年04月24日 | 本田美奈子.記念館


「ダイヤモンドの原石を磨くように、いろんなことを経験して、シンガー、アーティストとして輝きたい」

との思いで、38年間の人生を駆け抜けた歌姫、本田美奈子

デビュー21年目にあたる4月20日、最新アルバム「心を込めて…」とともに発売されたのが、「天国からのアンコール」と題する2冊のメッセージブック。

2冊とも、所属事務所の社長・「ボス」こと高杉敬二氏と、「1986年のマリリン」「Oneway Generation」など多くのヒット曲を作詞した秋元康氏のインタビューをまじえ、歌一筋に生きた美奈子さんの素顔にふれることができる。

秘蔵写真も満載で、持ち運びにも便利なコンパクトサイズ。

写真を眺めているだけでも、癒されたり、励まされたり、勇気づけられたり、生きる力が湧いてきそうな気がする。 最近、笑顔を忘れかけたかな…と思っている人は、ぜひ一読を。

本田美奈子.「心を込めて…」 ~魂のラスト・メッセージ。

2006年04月23日 | 本田美奈子.記念館

「心を込めて…」 (2006年4月20日発売) COCQ-84139

収録曲 ①見上げてごらん夜の星を ②命をあげよう ③踊りあかそう ④オン・マイ・オウン ⑤天国への階段 ⑥愛すること(with今井清隆) ⑦Golden Days ⑧オールウェイズ・ラブ・ユー ⑨やさしく歌って ⑩Lovin' You ⑪想い出のサンフランシスコ ⑫美女と野獣(withピーボ・ブライソン) -ボーナストラック- ⑬つばさ
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1年遅れで完成した、本田美奈子さんのデビュー20周年記念アルバム。入院中も、このアルバムの完成を励みにしていたという。

もちろん、当初彼女が意図していた「ミュージカル・ベスト」とは、少し違う形になっているのは仕方があるまい。今となっては、こうして大切にミックスされた彼女の歌声に触れることができるだけで、幸せであるし、完成にまでこぎつけたコロムビアの岡野プロデューサーをはじめとするスタッフの方々に、感謝しなければならないと思う。

このアルバムが手元に届いてから、まだ1日。全曲通して4~5回聴いたばかりなので、たぶん、これからもいろいろ発見があるだろう。でも、まずは第一印象の感動を伝えたいので、さっそくレビューを書いてみることにする。

現時点で、特にすごいと思うのは、①「見上げてごらん夜の星を」と、⑤「天国への階段」の2曲。

「見上げてごらん夜の星を」は、まさに万感胸に迫る名唱、であると思う。今までいろいろな歌手がこの曲を歌っているが、まったく違う。他の歌手の場合、歌っている場所はあくまで地上にある。つまり、このタイトル通り、地上から夜空の星を見上げて歌っているのだが、彼女の場合は、地上を離れ、むしろ星そのものになって、宇宙空間を漂っているかのようなのである。

彼女は「ミス・サイゴン」で主人公のキムを演じるときは、実生活の中でも、キムになりきってしまうという。「演じる」というよりも、主人公になりきるのだ。歌を歌うときも、まったく同じで、歌の主人公になりきってしまう。感情移入の度合いが、並外れているのだ。

この歌の場合、歌の主人公は人間ではなく、星そのものであるといえよう。星になりきった美奈子さんは、最高に美しく輝いている

「天国への階段」も素晴らしい。レッドツェッペリンのロックの名曲が、新しいクラシックの名曲として、生まれ変わっている。しかも、後半次第にテンポが速くなり、クライマックスを迎えると、かつてのロック歌手・美奈子の、迫真のシャウトが襲いかかるのだ! 

まさに、ロックとクラシックの劇的な融合。現代の歌手が到達しうる、最高芸術のひとつと言っていいだろう。

入院前に録音された3つのミュージカル曲の中では、今のところ、オードリー・ヘプバーン主演の映画「マイ・フェア・レディ」への思い入れもあって、③「踊りあかそう」に最もひかれる。アレンジが愉しく、理屈ぬきに幸せな気分になれる一品だ。

残る2つのミュージカル曲、ミス・サイゴンの②「命をあげよう」と、レ・ミゼラブルの④「オン・マイ・オウン」は、本格的な歌入れ前のリハーサルということなので、絵画でいえばデッサンの段階であろうか。それでも、さすがに歌い込んだレパートリーだけあって、訴えかける力がすごい。曲が進むにつれて、自然に歌のドラマに引き込まれてゆくし、打ち震えるような感情の高まりが、生きたまま、胸に伝わってくる。

NHKの番組用に録音された洋楽カバーの4曲も魅力的だ。個人的には、ミニー・リパートンの⑩「Lovin' You」は、ヒットした1975年当時からとても愛着があるので、美奈子さんの歌声でこの曲が聴けるというのは、夢のような話なのだ。

あと、忘れられないのが、クイーンのブライアン・メイ作曲の⑦「Golden Days」。どこか東洋的なわび・さびがあるこの名曲は、今回、ブライアン自身が美奈子さんへのトリビュートの為に、1987年当時の歌声をそのままに、リミックスしたということだ。

この曲をレコーディングした時、彼女はまだ19歳。この年齢で、すでに海外の超一流アーティストの心を捉えていたのである。

本田美奈子. 「I LOVE YOU」 ~よみがえる幻の名曲。

2006年04月05日 | 本田美奈子.記念館

「I LOVE YOU」 (2006年3月29日発売) MJCD-20054

収録曲 ①風のうた ②ナージャ!! ③愛の砂漠 ④晴れた空お天気 ⑤星空 ⑥Honey ⑦Shining eyes ⑧etoile -星- ⑨I LOVE YOU ⑩impressions ⑪一瞬/永遠
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ここ一週間、毎日のように聴いているCD。 それが、今年3月29日に発売された、本田美奈子さんの最新アルバム「I LOVE YOU」だ。ここには1996年から2003年にかけて、シングルで発表されながらも廃盤となっていた、幻の11曲が収録されている。

聴き始めて、まず最初に惹かれたのが、次の3曲だった。 まず、当ブログのタイトルにもなった①「風のうた」

  聞いたのね 大地にそよぐ 風の声
  遠い記憶 呼びさます…

この最初のフレーズから、いきなり別世界に連れて行かれる。深い叡智に満ちた歌詞と、哀愁あふれるメロディ。一度聴いただけで、ノックアウトだった。澄みきった歌声が、なんと奥深く心に響くことだろうか。まるで、美奈子さん自身が風の化身になったかのような、幽玄な味わいさえある。

「ナージャ!!」。少女向けアニメの主題歌なのだが、これは世代を問わず、後世に残しておきたい名曲。明るく前向きなメッセージが素晴らしく、基調はマイナーコードであるため、微妙な感情のゆれも随所にある。むしろ、おとなの人たちにこそ、聴いてほしいと思う。

そして、最後に収められた⑪「一瞬/永遠」。「えいえんぶんのいっしゅん」と読む。この曲は、2000年のデビュー15周年に、このアルバムにも収録された⑥「Honey」のカップリングとして出ているのだが、あまり話題にならなかったのが不思議なR&Bの傑作。 

  永遠分の一瞬を重ねて  
  2人の未来(あした)を描こう  
  一秒ごとに 見つめる瞳に私だけを映して…

歌詞・メロディともセンス満点と言えよう。未聴の方は、だまされたと思って聴いてみるといい。(決してだましてはいません)

以上3曲の他にも、聴きどころが満載だ。 ほの暗いロマンをたたえて疾走する、③「愛の砂漠」と⑤「星空」、ドキドキ・ワクワクの青春応援歌④「晴れた空お天気」、文語調の詩情あふれる歌詞が魅力的な⑧「etoile -星-」、3オクターブの声域を生かした必殺スキャットが炸裂する、⑦「Shinning eyes」と⑩「Impressions」、独自なアレンジで新しい生命が吹き込まれる、尾崎豊のカバー⑨「I LOVE YOU」など、心に響く美奈子節を、たっぷり味わうことができる。