ハイレ・ゲブレシラシエは、アトランタ五輪とシドニー五輪の1万メートルで、2大会連続で金メダルを獲得している。それだけでも、偉大なランナーと呼ぶには十分な実績なのだが、彼は今、マラソンで世界の頂点に立つことを目指しているのだ。
目標は、ケニアのポール・テルガトが、3年前のベルリン・マラソンで樹立した世界記録、2時間04分55秒。今回は、あと1分届かなかったものの、35km地点までは、テルガトの記録を上回るペースだったという。おそらく、あと1~2年のうちには、再び新記録樹立のチャンスが訪れるのではあるまいか。
ゲブレシラシエの記録挑戦に対しては、マラソン転向時からすでに期待されていたが、それが大きく現実味を帯びてきたのは、今年1月のロックンロール・アリゾナ・ハーフマラソンで、58分55秒という驚異的な世界新記録を出した時だった。
ある専門家の分析によれば、ハーフマラソンで58分台を出すことができるのであれば、フルマラソンでは、2時間03分台の潜在能力があるという…。
ゲブレシラシエのこれまでの競技人生は、ライバル・テルガトを追い越していく戦いだった。五輪の1万メートルでは、2回ともテルガトを破って金メダルを獲得しているのだが、ついに、ハーフ・マラソンの記録も、テルガトを上回ることになったのである。あとは、いよいよ、マラソンの世界記録を残すのみとなった。
それにしても、ハーフ・マラソンで1時間を切るとは、とても人間業とは思えない。自分の感覚では、超人というか、サイボーグ009の世界である(古い?)。
ともかく、今後の「皇帝」ゲブレシラシエの挑戦を、楽しみに追っていきたいと思う。
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★テルガト VS ゲブレシラシエ ベスト記録の比較
5000メートル
テルガト 12分49秒87 ゲブレシラシエ 12分39秒36
10000メートル
テルガト 26分27秒85 ゲブレシラシエ 26分22秒75
ハーフマラソン
テルガト 59分17秒 ゲブレシラシエ 58分55秒
フルマラソン
テルガト 2時間04分55秒 ゲブレシラシエ 2時間05分56秒