5月29日(木)、子供たちを兄夫婦にまかせて、本当に久しぶりの夫婦水入らずのロンドン。
しかも、ロンドンに来て初めてのミュージカル鑑賞です。
「オペラ座の怪人」(英名:The Phantom of the Opera)で 場所は、ピカデリーサーカスから5分ほどの Her Majesty's theatreという古めかしい劇場です。
兄夫婦が英国に来るということで、5月2日に電話で予約しました。
座席は、劇場が下から、一回階、中二階(ここが最高)、二階、三階に分かれており、その二階席の真正面前から2列目という席です。気になるお値段は席に依って異なるようですが、一人当たり£27.5+手数料£6?でした。一階は、天井に昇った怪人が歌う姿が見えなかったという話でしたから、ちょうど良かったのかもしれません。
開幕は午後7時45分で、閉幕が9時半頃です。午後の部は3時から開幕です。
では、内容はどうだったかって?それは素晴らしいのひとこと。ミュージカルやオペラがこんなに感動する理由の一つは、観客へのメッセージ伝達する方法が歌であため、通常の台詞に比べ感情の強弱が伝え易いからだと考えます。残念ながら、歌詞を理解することはできないので、感動は半減するかもしれませんが、半減してもこれまで見た演劇よりも感動を受けました。
このミュージカルを感動させるもう一つの理由は、大掛かりな舞台装置ではないでしょうか?
オペラの舞台を後ろからのぞき込むような設定があったり、何百というロウソクを揺らせて地底の湖を表現したり、とりわけオープニングのシャンデリアには驚かされます。
ちょうどこの部分のスゴサを、イギリスに関するエッセイ集を何冊も出している林 望氏の「リンボウ先生、イギリスへ帰る」、'叡知それとも死?'から引用してみます。
突如! という感じで、舞台の上に据えられていたシャンデリアが、ぐらーりくらりと動いたかと思うと、たちまち不規則に怪しく光を点滅し、左右に揺れながら天井に昇って行く。そのとき、オーケストラは不吉な不協和音をフルボリュームで奏で、おもわず客席から、オオーッというような、うめき声にも似たため息がもれる。
魂消る(たまげる)という言葉がある。肝たましいもうわの空に遊離してしまうような、感動や驚愕や悲哀をいうのである。開幕早々、私も、一緒に行った女友達のSさんも、このシャンデリアの動き出すところで、すでにすっかり心を奪われ、ウツケのようになってしまった。魂消たのである。
どうです?すばらしさが分かって戴けますか?
この短編では怪人(Phantom)はいったい誰なのかということも言及しています。ここでは種明かしはしませんが。これを観劇の前に読んでいたら、さらに感激は倍増していたかもしれません。
幕が降りた後に多くの人が涙を啜っていたようです。私ももう一度見に行ったら今度は涙を流さずにいられないかもしれません。