[映画紹介]
極めてハイレベルの医療サスペンス。
シングルマザーで優秀な看護師のエイミーは、
過酷な仕事をこなす中、
実は重篤な心臓の持病を抱え、
高額な医療費に苦しみつつ、
解雇を恐れて病院には黙っていた。
そんな時、新しい看護師のチャーリーが採用され、
エイミーの部署に配属、
彼女の窮状に対して親身になってかばってくれるようになる。
保険の加入にあと4カ月かかることを知ると、
エイミーを励まし、
子供たちの世話もしてくれるようになった。
2人は固い絆で結ばれた親友同士になり、
エイミーは未来に希望を持てるようになる。
ところが、病院で患者の不審死が相次ぎ、
警察が乗り出すことになった。
しかし、病院側のガードは固く、
薬品投与の記録もわずかしか出さない。
今まで勤めていた9箇所の病院も
チャーリーのことになると、何の情報も提供しない。
そんな中、エイミーは、
死んだ患者に過剰薬物の投与があり、
その薬を引き出したのがチャーリーだという証拠をみつける。
チャーリーの昔の勤務先にいる学友に会うと、
その病院でも不審死が相次ぎ、
チャーリーが辞めた途端に、減ったという。
エイミーは、死に至る薬物を
チャーリーが生理食塩水に混ぜたのではないかと疑うが・・・
エイミーを演ずるのは、ジェシカ・チャステイン、
チャーリーは、エディ・レッドメイン。
オスカー俳優同士の共演に、
いやがおうにも、画面が引き締まる。
心臓病で時々発作するエイミーの置かれた状況、
親切で思いやりにあふれた優しい性格のチャーリーの
もう一つの顔を持つ複雑性を
二人が演ずると、とてつもなくリアルに見える。
監督はデンマーク出身で、
「偽りなき者」「ある戦争」で
アカデミー賞外国映画賞ノミネート監督のトビアス・リンホルム。
脚本は「1917 命をかけた伝令」で
アカデミー賞ノミネート脚本家のクリスティ・ウィルソン=ケアンズ。
と、オスカー級のスタッフだから、
映画の質が高い。
刑事役のンナムディ・アサマアとノア・エメリッヒ、
病院の危機管理担当のキム・ディケンズも見事な脇役演技を見せる。
とにかく始めから終わりまで緊張感が途切れない。
特に、最後の40分間の緊迫は胸が痛くなるほど。
実話。
日本にも似た事件があった。
犯人の動機は最後まで明らかにされないが、
病院が一切の刑事訴追をまぬがれたという現実に唖然とする。
5段階評価の「4」。
Netflix で10月26日から配信されたが、
その前の10月21日から、ヒューマントラストシネマ渋谷、イオンシネマ他で上映中。