空飛ぶ自由人・2

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小説『虎と兎』

2024年07月03日 23時00分00秒 | 書籍関係

[書籍紹介]

慶応4年8月23日。
会津の飯森山にたてこもった白虎隊は、
官軍の総攻撃に、自刃する決意を固めていた。
15歳の三村虎太郎もその一人で、
自裁する覚悟は出来ていたが、
同僚の「生き残れ」という言葉と共に崖下に突き落とされ、
瀕死の状態で猟師に救われ、生き延びる。
同僚からも猟師からも、
「生き残れば、何かが出来る。
 やるべきことがあるから、生かされたのだ」
という言葉が投げられ、
自分の行く末を模索していた。
そんな時、
プロイセンの商人、ジョン・ヘンリー・スネルの招きに応じて、海を渡る。
サンフランシスコに着いた虎太郎は、
日本人移民と共に農園「ワカマツ・コロニー」を作る。

ある時、シャイアン族の娘・ルルを助けたことから、
虎太郎の運命がぐるりと回転する。
ルルは第7騎兵隊のカスター将軍に
ある理由から、つけ狙われていた。
虎太郎は、シャイアン族の居留地にルルを届けるために、
広大なアメリカ大陸を縦断する旅に出る・・・
オレゴン、アイダホ、ユタ、コロラド、ニューメキシコ・・・

というわけで、
幕末のサムライがアメリカ大陸で活躍する「サムライ・ウエスタン」
武士の着衣のまま、
インディアンの娘と旅をする光景がイメージにあったのだろう。
三船敏郎アラン・ドロンチャールズ・ブロンソンと共演した
映画「レッド・サン」(1971)を彷彿とさせる。

スネルを始め、カスター将軍やビリー・ザ・キッド、
インディアンの酋長らが実名で登場する。
歴史的なアメリカ軍とインティアンの戦いも出て来る。
居住地に押し込められ、
アメリカ軍に攻められるインディアンの姿と
飯森山にたてこもり、
官軍に攻めたてられた白虎隊が重なって見えるところがミソ。

22歳を迎えた虎太郎が
どこに居場所をみつけるか。
ラストは思ったとおりだが、すがすがしい。

 



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