空飛ぶ自由人・2

旅・映画・本 その他、人生を楽しくするもの、沢山

映画『マイ・ブロークン・マリコ』

2022年10月11日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介]

ブラック企業でノルマに追われて疲れた生活をしている
OLのシイノトモヨ・26歳は、
営業の途中立ち寄った町中華で
ラーメンを食べながら見ていたテレビのニュースから、
親友・イカガワマリコがマンションから飛び下り自殺をしたことを知る。
マリコは父親から長年にわたって暴力と
性的虐待を受けていたのをトモヨは知っていた。
自分を虐待して自殺にまで追い込んだ毒親に
弔われても、マリコはちっとも嬉しくないと考えたトモヨは、
「今度こそ助けてやるから待ってろよマリコ」と、
父親からマリコの遺灰を奪おうと決意し、
包丁を忍ばせ、
マリコの実家に赴いて、
父親と格闘の末遺骨を強奪する。
「高校生の時に実の娘を強姦しやがったてめえにっ、
中学生だった実の娘を奴隷扱いしてたてめえにっ、
小学生だった実の娘から母親を奪ったてめえにっ、
弔われたって白々しくてヘドが出んだよお!」
と思いのたけをぶちまけて。

遺骨と共に逃走することになったトモヨだが、
行くあてはない。
トモヨは、かつてマリコが海へ行きたいといっていたことを思い出す。
更に、マリコが「まりがおか岬」という自分の名前が入ったポスターを見て、
行きたい、と言っていたことを思い出し、
遺骨を抱えたまま、
電車とバスを乗り継いで、まりがおか岬をめざすが・・・

トモヨとマリコは小学校の時からの同級生で、中学も高校も同じ。
マリコは父親から虐待を受け、母親は離婚。
それもマリコのせいにされる。
不幸のかたまりのような友だが、
マリコとトモヨの関係は続き、
マリコはトモヨと一緒に住みたいと、言っていた。

だが、マリコはトモヨにとって少々重荷。
たとえば、「シイちゃんに彼氏とかできたら死ぬから」
と言って、目の前でカッターナイフで手首を切るような子だった。
その後も、男運が悪く、
暴力男ばかり選ぶマリコにうんざりするトモヨ。

しかし、自殺されてみると、
どうして自分に相談してくれなかったのか、
またあの子に何もしてやれなかったのかと
力になれなかった自分を責めると共に、
取り残された寂しさに震えるトモヨだった・・・

というわけで、
親友の遺灰を抱えての逃避行という、
思いがけない展開に、
どうなるんだろうと、
画面に釘付けになる。

過去の回想によって、
二人の関係やマリコの不幸が次第に明らかになる。

女の子同士の友情というより、
宿縁と言った方がいいような関係。
不幸だが、ありそうな関係が描かれている。

原作は、平庫ワカによるコミック作品。
『Comic BRIDGE online 』(KADOKAWA)に、
2019年7月から12月にかけて4話連続で掲載され、
翌年、単行本として出版、数々の賞を受けた。

原作を読んでいないが、
かなり原作に忠実な映画化だという。


監督はタナダユキ
トモヨは永野芽郁
マリコは奈緒
旅先で遭遇する男性マキオに窪田正孝
この男性も善良なようで、自殺した過去がある。
父親に尾美としのり
再婚相手の義母に吉田羊

ちょっと切ない人間関係を描くが、
心に残る一篇

5段階評価の「4」

TOHOシネマ他で上映中。

 


LDを捨てました

2022年10月10日 23時00分00秒 | 身辺雑記

DVDが出る前、
映像ディスクにレーザーディスク(LD)と
VHDというのがありました。
私は両方持っていました。
従来のビデオテープに比べLDは圧倒的に画質が良かったので、
映画ファンはLDの新作が出るたびに買い求めたものです。
1万円くらいの価格帯が多く、
結構高い買い物でした。
サラリーマンだった私が、
よくもまあ買えたものだと、今から思えば不思議。

やがてDVD、ブルーレイ(BD)の登場によって衰退し、
今では、プレーヤーも売っていません。
我が家でも、まずVHDのプレーヤーが壊れて、
ディスクを大量に処分。
LDのプレーヤーが壊れた後、
押し入れとは別場所に保管していましたが、
終活にあたり、処分することにしました。
買い取りを調べてみると、
特殊なものを除き、
5円から10円の値段しかつかないとのこと。
プレーヤーが無くて、需要がないのですから、当然です。

そこで、今回、処分することにし、
記念に写真を残すことにしました。

「スター・ウォーズ」コレクターズ・セット


「Ⅳ 新たなる希望」
「Ⅴ 帝国の逆襲」
「Ⅵ ジェダイの復讐」と
「メイキング・オブ・サーガ」の
4 枚組ボックス・セット。

↓これはVHDの「スター・ウォーズ」


Ⅳ、Ⅴ、Ⅵと
「メイキング・オブ・スター・ウォーズ」

VHDを処分した時、これだけはとっておいたのです。

この二つの「スター・ウォーズ」関連は、
捨てずに保管します。

「スター・ウォーズ」については、
DVDが出ると買い換え、
BDが出ると買い換え、で際限がありません。

「美女と野獣」コレクターズ・ボックス

本編ディスクに加え、
「ワーク・イン・プログレス」2枚は、
メイキング映像。
ディズニーが初めてアニメーションの製作過程を一般に公開した貴重な映像。


特に、1981年、
ニューヨーク・フィルム・フェスティバルのオープニングで上映された、
線画やスケッチなどの製作過程段階が残された未完成フィルムが貴重。
今でも観たいが、プレーヤーがなくては仕方ない。

↓ディズニーの歌のシーンばかりを集めた
「シング・アロング・ソング ディズニー・ミュージカル・ワールド」
シリーズの7枚。


それに、ベニー・グッドマン楽団、
ケン・ダービー合唱団、ダイナ・ショア
などが歌うディズニー・ソングのヒットパレード。
「音楽とアニメーョンが織りなす『ファンタジア』」と。

「アラジン」スペシャルコレクション

本編に加え、メイキングや
「フレンド・ライク・ミー」の
14カ国語での場面をつないだ貴重な映像も観られる。

「ライオン・キング」

「ザッツ・エンターテインメント」コレクターズセット


1、2、3の3枚に加え、
「ザッツ・モア・エンタテインメント」の1枚は、
3作に入らなかった作品・シーンを集めたもの。

映画のLD。

↑「天地創造」「偉大な生涯の物語」「アラビアのロレンス」
「華麗なる激情」「地獄の黙示録」「2001年宇宙の旅」
「ポルターガイスト」

↑「シャーロット贈り物」「もののけ姫」「ネバー・エンディング・ストーリー」
「キャメロット」「エビータ」「ザッツ・ダンシング」

絵画のLD。


画質の良さから、美術品の記録には、
最適なメディアでした。

マドンナのミュージックビデオ集

オペラのLD。

今はオペラ上演は字幕付きが定着しましたが、
字幕が出ない時代、
オペラLDは、予習に必須の素材でした。

↑「トリスタンとイゾルデ」(箱入り)「さまよえるオランダ人」
「フィデリオ」「ランメルモールのルチア」
「コシ・ファン・トゥッテ」「サロメ」

↑「オテロ」「トロヴァトーレ」「リゴレット」
「トスカ」「蝶々夫人」

↓これは珍品。
ジェットコースターの最前列にカメラを据えた映像。

そういえば、VHDにもそういうのがあって、
こちらは3D。
専用の機械を買って楽しみました。

私は割と新しいもの好きで、
新しいメディアが出ると、飛びつきます。
しかし、それも数年たつと、
新たなものが出て、廃止になったりします。
オープンリールからカセットへ。
CD、MDを経て、
iPOD、配信へ。
ビデオテープからLD、VHD、
DVD、BDへ。
技術の進歩には、目がくらみます。
そして、捨てる物が増える

 


小説『お探し物は図書室まで』

2022年10月08日 23時00分00秒 | 書籍関係

[書籍紹介]

ある図書館(小さいから図書室)を訪れる人々を巡る連作短編集

その図書室とは、コミュニティハウスに併設されたもの。
「レファレンスは司書さんにどうぞ」と案内されると、
狭いデスクの中に体を埋めこみ、
ちまちまと毛糸に針を刺して何かを作っている
大柄の女性司書・小町さゆりがいる。
本の相談をするとさゆりは
すごい勢いでキーを叩き、
該当する本のリストをプリントしてくれる。
そのリストには、関係のないような追加本があり、
更に、引き出しから出した小さな毛糸玉のようなものをくれる。
「本の付録」だという。

そのリストに基づいて本を選び、読むと、
自分が本当に「探している物」に気がついていく、
というパターン。

描かれるのは、何らかの人生の岐路をや挫折を迎えている人ばかり。

一人は、21歳の婦人服販売員
今の仕事内容が好きになれず、
田舎がいやで上京したが、行き詰まり、
悶々とした日々を過ごしている。
紹介された追加本は、「ぐりとぐら」。
仕事への向き合い方を教えられる。

一人は、35歳の家具メーカー経理部員
高校時代に訪れたアンティークショップが忘れられず、
自分のお店を持つことを夢見ている。
でも、現実は冴えないサラリーマン生活。
会社では仕事を押しつけられ、
恋人にも八つ当たりしてしまう。
追加された本は、「植物のふしぎ」。
最後に、自分の店を持つきっかけを掴む。

一人は、40歳の元雑誌編集者の女性。
子どもを生んだ後、職場復帰を果たすが、
会社の配慮で、忙しい編集部から暇な資料部に異動させられてしまう。
編集をしたいのに、という不満がたまり、
育児を押しつける夫にも当たってしまう。
追加書籍は「月のとびら」という占いの本。
やがて、絵本を主に扱う出版社への中途採用を勧められる。

担当した作家の老婦人が、
主人公の悩みを聞いて語る「メリーゴーラウンド」理論が面白い。

「ああ、崎谷さんもメリーゴーラウンドに乗ってるとこか。
よくあることよ。
独身の人が結婚している人をいいなあと思って、
結婚している人が子どものいる人がいいなあって思って、
そして子どものいる人が、独身の人をいいなあって思うの。
ぐるぐる回るメリーゴーラウンド。
おもしろいわよね。
それぞれが目の前にいる人のおしりだけ追いかけて、
先頭もビリもないの。
つまり、幸せに優劣も完成形もないってことよ」

一人は、30歳のニート青年
小さい頃から漫画が「友達」で、
絵が大好きになりイラストの専門学校に通ったが、
就職でつまずいてしまった。
バイトも続かず、現在はニートだ。
追加書籍は「ビジュアル 進化の記録 ダーウィンたちの見た世界」。
そこでダーウィンと同じ進化論をとなえたウォレスという学者がいたと知る。
高校時代のタイムカプセルを開いた時、
過去の自分は「人の心に残るイラストを描く」と記していたと気づく。

一人は、65歳の定年退職者
退職した翌日から、自分が何をしたらよいか分からなくなり、
社会からは認識されていない存在だと、自分を見失ってしまう。
追加書籍は「げんげと蛙」。
本屋で働いている娘の姿に打たれる。

各章の登場人物が他の章で少しだけ関わって来る。
一見、関係のない本や羊毛フェルトが
人生の指針になる面白さ。
生きる希望や意義、勇気を与えてくれるハートウォーミングな小説。
2021年の本屋大賞にノミネートされ、2位になった。
本屋大賞の選考者は、全国の書店の店員だが、
いかにも店員さんたちがが好みそうな、心温まる短編集だ。

 


映画『渇きと偽り』

2022年10月07日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介]

長篇第一作にして
英国推理作家協会賞ゴールド・ダガーを受賞した、
推理作家ジェイン・ハーパーのミステリーを映画化し、
オーストラリアで大ヒットしたクライムサスペンス。

メルボルンの連邦警察官として働くアーロン・フォークは、
親友ルークの葬儀に参列するため、
20年ぶりに生まれ育った町・キエワラに帰郷した。
ルークは妻と息子を惨殺した後、
自殺したとされている。
赤子の命は奪われなかった。
アーロンは、ルークの両親にせがまれ、事件の真相を調べることになり、
新任の警察官と共に捜査にあたり、
滞在日数はどんどん延びていく。

アーロンには、故郷に対する屈折した思いがある。
20年前、17歳の時、
同級生の女の子エリーが川で溺れ死に、
川に誘ったアーロンの手紙が発見されたことから、
殺人犯と疑われ、
父親と共に故郷を離れた過去があったのだ。

ルークの心中事件を捜査しながら、

20年前の事件が重なり、
その真相があぶり出されて来る。

一方、ルークの一家心中事件には、
不審なところが沢山あり・・・

という、よくある展開、
というより、王道の展開

現在と過去が交錯するのだが、
その過去が、苦い青春の記憶としてアーロンの心を責める。
アーロンの中でエリーの死は、まだ終わっていないのだ。
それも、あの時した嘘( 偽り) が原因だった。

そのアーロンの悩みと、
青春時代の追憶のさじ加減がちょうど良い。

舞台となったビクトリア州の内陸にある架空の町キエワラは、
1年近く雨が降らず、10年も続く干ばつにあえいでいる。
田舎町の閉鎖性、温暖化・旱魃による農業の衰退など、
荒涼とした景色と灼熱の町の雰囲気が物語を彩る、
重厚なミステリー& サスペンスとなった。
原題は「The Dry」。

アーロンを演ずるのは、
オーストラリア人俳優のエリック・バナ


原作にほれ込み、プロデューサーも務め、
13年ぶりに母国の映画に主演した。
見応えのある一篇。

ケチをつけるようで恐縮だが、
撃たれる前にあんなに石で殴られていたら
検死では、自殺とはされないのではないか。

エンディングに流れる「Under the Milkyway」(天の川の下で)が耳に残る。

続編が製作中だという。

監督はロバート・コノリー

5段階評価の「4」

新宿シネマカリテで上映中。

 


イクスピアリ駐輪場

2022年10月06日 23時00分00秒 | わが町浦安

私の「マイ映画館」は、
舞浜駅にある商業施設↓イクスピアリの中にある


シネマイクスピアリ


16スクリーン、座席数3504席の
シネマコンプレックスです。


年間、50本くらいは、この映画館で観ます。

バスでも行けますが、
普通、私は自転車で。
10分足らずで、到着します。


裏手にある駐輪場に自転車を止めて、

アンバサダーホテルを抜けてイクスピアリ内へ。


先月、この駐輪場が有料化される、
という掲示が出て、
2週間ほど閉鎖されて工事となりました。
ついに有料化か、せちがらいな、
と思いつつ、
工事が終わった現場にいくと、
↓のような設備が。

駅前によくある装置。

ここに、↓のように自転車を置きます。

青いランプが着きます。

おや、

「4時間は無料」という掲示が。


これなら、自転車を預けて、
映画を観て、戻っても無料。
4時間かかるような映画は滅多にありませんから大丈夫。


駐輪場の上をモノレールが走ります。


しかし、やっぱり、せちがらいことが。
明日から鑑賞料金が値上げ
何とか一般1800円、シニア1100円を維持してきたのに、
ついに、都内の映画館と同じ、
一般1900円、シニア1200円に。
100円安い料金を維持しているのは、
イオンシネマ系だけになってしまいました。
1900円出して、つまらない映画だったら、
2度と映画を観なくなってしまうでしょう。