干支（えと）

　こんにちは、トラです。
　カエサルが「ブログの正月用の写真を撮る」なんて言うから、てっきり、元旦の登場だと思ってたのに、何か、ちょっと騙された感じね。
　まあ、カエサルってのは、昔からそういう奴でした。　せっかくだから、そういう話でもしましょうか・・・。

　あれは、ずいぶん昔の話になるわね。アタシは、この森で一番強い・・・と思っていたわ。みんなも、そう言っていたし・・・。
　でも、そこにカエサルが現れて、「そんなことないよ。カエサルの方が強いよ。」なんて言うのよ。
　ふざけた怪獣ね・・・なんて思ってたんだけど、「嘘だと思うなら、カエサルの後をついて来てごらんよ。森のみんなは、カエサルのこと、よ～く知ってるよ。」なんて言うから、ついて行ってやったのよ。
　そしたら・・・。

　森のみんな、あわてふためくやら、おそれおののくやら、そりゃ、もう、大騒ぎ。
　アタシも、驚いたわ。マジ、びびっちゃった。森が広いというのは知ってたけど、上には上がいるもんだ・・・って思っちゃった。

　これは、これは、カエサル様。知らなかったこととは言え、失礼いたしました。　たしかに、この森で一番強いのはカエサル様のようでございます。これからは、ひとつ、よろしくお願いしま～す。
　・・・って、そんな感じになっちゃったわけ。

　あーあ。　新年早々、バカな話しちゃったわね。

　じゃあ、ちょっとマジな話でもしましょうか。えとの話。
　今年は寅年・・・なんて言うわけじゃない。それは、いいのよ。
　でも、今年のえとは寅・・・っていうのは、間違いだからやめてちょうだい。

　今年の十干（じっかん）・・・・・庚（コウ／かのえ）
　今年の十二支（じゅうにし）・・・寅（イン／とら）
　今年の干支（かんし）・・・・・・庚寅（コウイン／かのえとら）

　「えと」っていうのは、本来、「十干」のことです。
　それが転用されて、「干支」のことを「えと」って言うようになりました。
　でも、「十二支」のことを「えと」とは言いません。

　せっかくだから、「十干」の勉強でもしてみる？

甲	乙	丙	丁	戊	己	庚	辛	壬	癸
コウ	オツ	ヘイ	テイ	ボ	キ	コウ	シン	ジン	キ
木の兄	木の弟	火の兄	火の弟	金の兄	金の弟	土の兄	土の弟	水の兄	水の弟
きのえ	きのと	ひのえ	ひのと	つちのえ	つちのと	かのえ	かのと	みずのえ	みずのと

　「十干」っていうのは、五行（木火土金水）と陰陽（兄弟）が組み合わさったもので、全部で１０あります。
　十干の訓読み（コウ・オツ・ヘイ・テイ・・・）は、学校の成績など、いろんなところに使われてました。今は、甲・乙・丙・丁・・・の代わりに、Ａ・Ｂ・Ｃ・Ｄ・・・を使うようになっちゃったけどね。
　十干を音読み（きのえ・きのと・ひのえ・ひのと・・・）にすると、「え」と「と」が繰り返されるわけで、これが本来の「えと」ということになります。トラやウサギとは何の関係もないわけ。

　トラやウサギが出てくるのは「十二支」です。

子	丑	寅	卯	辰	巳	午	未	申	酉	戌	亥
シ	チュウ	イン	ボウ	シン	シ	ゴ	ビ	シン	ユウ	ジュツ	ガイ
ね	うし	とら	う	たつ	み	うま	ひつじ	さる	とり	いぬ	い

　十干と十二支を組み合わせたものが「干支」で、甲子（コウシ／きのえね）から癸亥（キガイ／みずのとい）まで、全部で６０あります。干支で年を表すと、６０年で一巡することになるので、これを「還暦」と言うわけ。
　甲子園、戊辰戦争、壬申の乱、ひのえうま、辛亥革命・・・。干支って、けっこういろんなところで使われてるのよ。

　干支も、「え」と「と」が繰り返されるので、「えと」と言われるようになりました。でも、十干のついていない、十二支だけのことを「えと」って言うのは間違いということになります。
　１２歳下とか、２４歳上の人のことを「えとが同じ」なんて言っちゃダメよ。えとが同じ・・・っていうのは、６０歳違う人のことだからね。

　自分が生まれた年の「えと」、知ってる？

　まあ、偉そうなこと言っちゃったけどさ。
　アタシも、お正月が過ぎちゃえば、今年が庚寅なんだか丙寅なんだかわかんなくなっちゃうんだけどね。

界	門	綱	目	科	属	種	学名
動物	脊索動物	哺乳	食肉	ネコ	ヒョウ	トラ	Panthera tigris
動物	脊索動物	哺乳	霊長	クモザル	クモザル	ジェフロイクモザル	Ateles geoffroyi

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