茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

旧国宝と新国宝

2006-02-15 21:42:34 | 日本マメ知識
 ここのところ、お茶の話とは直接離れていますが、もう1日だけおつきあい下さい。国宝には便宜上、旧国宝と新国宝があるという話。

 今回調べていて知ったのですが、国宝という言葉は、1950年の文化財保護法施行以前と以後では意味が異なっているそうだ。1950年以前は国指定の有形文化財は全て国宝と呼ばれていたと。

 国宝という名称がでてきたのは、法令上は、1897年(明治30年)の古社寺保存法だった。1897年12月28日付で初の国宝指定が行われた。その後、1929年(昭和4年)に国宝保存法制定、更にその後、1950年に文化財保護法制定され、現在に至っている。

 古社寺保存法と国宝保存法下で指定された国宝(現在、【旧国宝】と呼ばれる)は、新文化財制度である文化財保護法制定に基づいて1950年8月29日をもって全て“重要(有形)文化財”=【重文】とされ、この中から改めて国宝が指定されることになった。(これを【新国宝】と呼んで区別している)
 つまり旧国宝は現在の重文以上の文化財で、新国宝はその中から更に選択されたということ。

 ところで、国宝・重文指定の対象になっていないものが2つある。
 まず、いわゆる古墳、貝塚、住居跡など考古学上の遺跡。これらは記念物、特別史跡といった形で指定されている。高松塚古墳は有名だが、古墳自体は特別史跡指定で、室内の壁画が“絵画として”国宝に指定されているそうだ。
 次に、皇室関係の品。御物や宮内庁管理の文化財は文化財保護法による指定の対象外。その為、正倉院宝物、桂離宮、修学院離宮は重要なものでありながら、国宝指定されていない。皇室関連で例外に正倉院宝庫1棟が国宝指定されているそうだが、これは、古都奈良の文化財世界遺産登録の前提条件で例外的に認められたものだそうだ。正倉院御物などは当然国宝かと思っていて、まさかそういう決まりで国宝ではないとは目から鱗だった。
 昨秋、東御苑に行った時、三の丸尚蔵館で見事な展示物を見て、いずれも見事なのに、重文・国宝という記載はないなと思っていたら、あれは宮内庁管理のものだから、指定対象外のものということだったのだ。

 国宝の多くは文化財保護法施工直後1950-60年に集中的に指定され、以降は年に数件の指定しかないそうだ。旧法で大事なものはほとんど選ばれていたということだろう。一番新しいところで、2005年に東大寺二月堂が国宝指定された。そういえば、もうすぐお水取りの季節ですね。
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3 コメント

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データベース発見 (ukiki01)
2006-02-16 22:32:01
m-tamagoさま、こんばんは。

今日、国立博物館で『書の至宝 日本と中国』を見てきたのですが、復習すべくいまネットをうろうろしていたら、こんなサイトを発見しました。ご存じでしょうか?



http://bunka.nii.ac.jp/Index.do



画像がきれいです。各国語の解説があるのも親切。
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つけたし (ukiki01)
2006-02-16 22:34:35
連投失礼します。

上のサイトは、これをもとにしていました。

http://www.emuseum.jp/

すごくすごく勉強になりそうなサイトであります。
返信する
データベース (m-tamago)
2006-02-19 20:53:28
ukiki01さま、書の至宝、ご覧になりましたか。

すばらしいデータベースをありがとう。

文化庁のHP見てみようとは思いつつそのままになっていました。

まだゆっくり見れていませんが、旅行など行く時に地域別から引いて調べてから出かけたりしてもいいかもしれませんね。これを見て、世界遺産などについても勉強したいと思います!!

またいいデータベースを見つけたら教えて下さいね。

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