雛祭りの頃になると”徒然棚”の姿を見かけます。先日の茶道具売り場もご多分に漏れず。すっかり雛祭りの取り合わせになっていて、一足早く春を楽しみました。三人官女や雪洞の蓋置もかわいらしく。
前の師匠のところでは3月には必ず徒然棚を使った思い出があります。
徒然棚は淡々斎好みで珍しい菱形、桐の溜掻合塗(私は見たことがありませんが桑木地もあるそう)。上段が袋棚で、正面に四枚の襖があり、中央2枚の襖には3本の松が淡々斎の自筆で描かれ、引き戸で開けられるようになっています。
勝手付の板に2段、右向こうの腰板に1段、業平菱から意匠された透かしが施されています。そのため、業平棚ともよばれる事があります。
業平菱とは三重襷(みえだすき)模様のこと。業平格子ともいう。公家(くげ)の直衣(のうし)にこの模様を用いるところから、王朝時代の公達(きんだち)のうちで、代表的な人物である在原業平の名をとって「業平菱」「業平格子」の俗称が近世生まれたものらしい。業平菱は、平安時代の煌びやかな文化をあらわすもののひとつとして描かれることが多いようです。
徒然棚は炉の時のみ使用することと、袋棚とその中の薄茶器の扱いが最大の特徴です。
袋棚の中には薄茶器をかざっておきます。
点前の時、中から薄茶器を出すときはまず左側の勝手付の戸を左手で明け、右側の客付きの戸を右手で明け、右手で薄茶器を取り、左手にのせたまま、右手で右の襖を閉め、右手に薄茶器を持ち替えて左の襖を閉め、右手の薄茶器を棚正面右寄りに置き、仮置きした茶碗をその左横に置きなおします。
最後に棚の中に薄茶器をかざり入れるときは右手で薄茶器を持ち、そのままの姿で左手で左の襖をあけ、薄茶器を左手の上にのせ、右の襖をあけ、右手で薄茶器を持ち替え、棚の中にいれる。右手で右の襖を閉め、左手で左の襖を閉める。つまり、必ず襖の裏を客付に見せないように扱うということになります。
慣れれば簡単ですが、持ち替えの手間がかかるので何度かやってみることが大事だと思います。
作者は岩木裕軒。ネット検索になりますが、調べてみました。
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明治8年(1875)生まれ。千家十職の指物師駒沢利斎に師事。裏千家十三代円能斎御家元時代から指物師として出入り。大正天皇即位式の高御座や椅子を制作。また、裏千家十三代円能斎の指導で猿臂棚などつくる。大正15年(1926)没。
二代は、時の天皇御大典什器を制作するなど、京都の名工として名を馳せる。
三代は、裏千家十四代淡々斎御家元から「秀斎」の称号を授かり、以降「裕軒 岩木 秀斎」と名乗るように。淡々斎好には幟鯉香合、鵬雲斎家元好に山雲棚などがある。
四代は2006年三代秀斎が他界した後、「裕軒四代 秀斎」を襲名、現在に至っている。
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これまで棚の作者を気にしたことはなかったのですが、今回、徒然棚=岩木裕軒の名前を見て、他の棚についても確認したところ、様々な棚をこの岩木裕軒、秀斎が作っていることを知りました。今後は作者についても注目したいと思います。
裏千家の棚は沢山あるので、出会った時、使用した時に学んでいくのが一番頭に入ると思います。棚も形、大きさ、素材、歴史もそれぞれ、どれも味わいがあります。
雛祭り
https://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/510e872cbd0925d1386b6006da04a540
卓と棚
https://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/75b70bad5f85a6bbc3941f23b944daff
前の師匠のところでは3月には必ず徒然棚を使った思い出があります。
徒然棚は淡々斎好みで珍しい菱形、桐の溜掻合塗(私は見たことがありませんが桑木地もあるそう)。上段が袋棚で、正面に四枚の襖があり、中央2枚の襖には3本の松が淡々斎の自筆で描かれ、引き戸で開けられるようになっています。
勝手付の板に2段、右向こうの腰板に1段、業平菱から意匠された透かしが施されています。そのため、業平棚ともよばれる事があります。
業平菱とは三重襷(みえだすき)模様のこと。業平格子ともいう。公家(くげ)の直衣(のうし)にこの模様を用いるところから、王朝時代の公達(きんだち)のうちで、代表的な人物である在原業平の名をとって「業平菱」「業平格子」の俗称が近世生まれたものらしい。業平菱は、平安時代の煌びやかな文化をあらわすもののひとつとして描かれることが多いようです。
徒然棚は炉の時のみ使用することと、袋棚とその中の薄茶器の扱いが最大の特徴です。
袋棚の中には薄茶器をかざっておきます。
点前の時、中から薄茶器を出すときはまず左側の勝手付の戸を左手で明け、右側の客付きの戸を右手で明け、右手で薄茶器を取り、左手にのせたまま、右手で右の襖を閉め、右手に薄茶器を持ち替えて左の襖を閉め、右手の薄茶器を棚正面右寄りに置き、仮置きした茶碗をその左横に置きなおします。
最後に棚の中に薄茶器をかざり入れるときは右手で薄茶器を持ち、そのままの姿で左手で左の襖をあけ、薄茶器を左手の上にのせ、右の襖をあけ、右手で薄茶器を持ち替え、棚の中にいれる。右手で右の襖を閉め、左手で左の襖を閉める。つまり、必ず襖の裏を客付に見せないように扱うということになります。
慣れれば簡単ですが、持ち替えの手間がかかるので何度かやってみることが大事だと思います。
作者は岩木裕軒。ネット検索になりますが、調べてみました。
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明治8年(1875)生まれ。千家十職の指物師駒沢利斎に師事。裏千家十三代円能斎御家元時代から指物師として出入り。大正天皇即位式の高御座や椅子を制作。また、裏千家十三代円能斎の指導で猿臂棚などつくる。大正15年(1926)没。
二代は、時の天皇御大典什器を制作するなど、京都の名工として名を馳せる。
三代は、裏千家十四代淡々斎御家元から「秀斎」の称号を授かり、以降「裕軒 岩木 秀斎」と名乗るように。淡々斎好には幟鯉香合、鵬雲斎家元好に山雲棚などがある。
四代は2006年三代秀斎が他界した後、「裕軒四代 秀斎」を襲名、現在に至っている。
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これまで棚の作者を気にしたことはなかったのですが、今回、徒然棚=岩木裕軒の名前を見て、他の棚についても確認したところ、様々な棚をこの岩木裕軒、秀斎が作っていることを知りました。今後は作者についても注目したいと思います。
裏千家の棚は沢山あるので、出会った時、使用した時に学んでいくのが一番頭に入ると思います。棚も形、大きさ、素材、歴史もそれぞれ、どれも味わいがあります。
雛祭り
https://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/510e872cbd0925d1386b6006da04a540
卓と棚
https://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/75b70bad5f85a6bbc3941f23b944daff
所作が増えるのもいい~ですか?私もそう思えるようになりたいです。
お雛様の取り合わせは気持ちも華やいで楽しいですね。作者さんの勉強をして好きな方のを買い求めるなんて素敵な購入の仕方。私もそこまでの域に達したい。
お雛様はもうすぐ終わりであっという間に桜の季節になりますね。今年は温かいから更に早まりそう。来たる春を楽しみましょう!
ああ、お雛様早く出さないと。
お気に入りは裏千家さんの棚が多い
いつもいいなぁ~と憧れています
所作が増えるのもいいですよねぇ~
先生としては指導のし甲斐があります
最初はチンプンカンプンになるお点前って大すきです
覚えてくれるとうれしいんですよねぇ~!
お雛さんのお薄器がでてきました・・・蓋置も
楽しい季節になって来ました
作者さんの勉強して好きな方のを買い求めることもありますね
拝見の時に作者の方を紹介するのも勉強になります
次は桜・・・嵯峨蒔絵がたのしみです