
大宗匠のお言葉を借りて
”茶の湯は人が歩むべき道のりを示す灯火”
とご紹介しました。
日本人の心、伝えます 茶の湯は人が歩むべき道のりを示す灯火
このことを感じる顕著な例は、この一年で大きく成長した『茶遊庵』の小学生の成長ぶりです。
2022年2月、初めて体験に来た時には小学1年生、4年生だった子供達。
今年の4月には小学3年生、6年生となりました。
私は特に次世代に茶道を伝えたいという思いがあるので、小学生が体験にきてすぐそのまま入会してくれて(親御さんが習わせて下さって)本当に嬉しい限りでした。
これは、楽しみながらもしっかりと教えたいと思いました。
それでも、慣れない和室での正座、長い時間話を聞いたり、初めての沢山のことを一度に教えられたり、日本のしきたりや作法もお話されたり、大丈夫かしら?行きたくないとなってしまわないかしら?と少し心配もしていました。
でも、心配はいりませんでした。
3人共とても一生懸命で、茶道に真剣に向き合ってくれました。
和室での座り方、歩き方、襖の開け方、帛紗捌き、水屋での道具の準備、盆略点前、とどんどん吸収して今やお稽古場についたらすぐ水屋準備、風炉の薄茶平点前をサラサラとやれるようになりました。
最初はすぐ足が痺れてしまったり、腰がおちて姿勢が悪くなったりしていたのが、今や、一点前しっかり正座して終わります。
畳の歩き方も
一畳を四歩で!入る時は右から、出る時は左から。
恐る恐る数えながら一歩一歩歩いていたのが、すり足をして、建水廻りもスムーズに。
勿論、それぞれの集中力やその日の気分というのもあり、
ずーっと安定してとは言えませんが、
継続しているうちに形が出来上がっていきました。
勿論、薄茶も上手に点てられるようになって。
それと同時に、心の成長の大きいことも感じます。
ご挨拶
何かするときは相手を思いやり、必ずお先に。
お客様のために、お茶が熱いから気を付けてと声をかける
水屋でのやりとり など。
茶の湯の心が身につき、他の日常の場面でもこういう落ち着いた所作や思いやり、言葉がにじみ出ていくんだろうなと思ってみています。
その後、月1回でお稽古に通う小学生が二人。
1回ではお点前も忘れてしまうのでは?との心配をよそに、
茶道が好きなせいか、月1回でも家で復習してきて、前のお稽古で注意したことはきちんと直してきて、どんどんお点前ができるようになりました。
小さい時に茶道を学ぶことで、よい点が色々あるなと思います。
① 人や季節(自然)との柔らかで上品な接し方、思いやり、間の取り方、を自然と身につけていける。
② 点前を一生懸命やることで、集中力や落ち着きが身につく。
③ 総合的に将来に役立つ人格や能力の基礎を築くことができる。
座学ではいつも季節や行事、茶道具などのお話をしますが、
日本の伝統文化への興味も広がっているようで、
最近は自分でネットで調べたらこうだったとか、
これはどうなのか?といった質問も出たりして、
自宅稽古の時は私はついつい時間を忘れて話してしまいます。
④ 日本文化に強くなり、日本人としてのアイデンティテイーが育まれる。
→国際化社会に適応できる
色々な習い事で忙しい幼稚園生や小学生、
以前、小学校の先生が、「最近の子供達にはぼーっとする時間がないのが心配です。ぼけっと空を見たり、草むらにねころんだり、何も考えない時間を持ってほしい」とおっしゃっていました。
私もそういう時間は無駄ではなくて、大人にも子供にも、他で力を出すための余白の大事な時間だと思います。
茶道の点前は、最初こそ様々なことを覚えることになりますが、そのうち何も考えない(=無の)時間になりえます。
なかなかお点前を覚えられないわーと皆さんおっしゃいますが、そこはあまり心配する必要はなくて、少しずつ前進しているからいいのよとお話しています。
お稽古をしているうちに、お点前だけでなく、知らないうちに、思いやりや和の作法が身についていくのです。
学業だけでなく、人間として、日本人としての基礎を学べる茶道が
普通に習い事の一つの選択肢になるといいなあと願いながら、
生徒たちの成長にワクワクドキドキしながら
私の『茶遊庵』のお稽古は続いていきます。
この秋には小学生(親子)を亭主、大人をお客様とした練習茶会を開催します。
今、子どもたちはその日を目標に点前に磨きをかけています。
どんな風にお客様をおもてなしするのか、自分のお点前も大事ですが、
茶会の全体の雰囲気や様子も味わい、学んでほしいと思い、私も準備を進めております。
