もう1か月も前のことになりましたが、
おかげさまで2024年3月に開催した春の茶会も盛況のうちに終了しました。
本格的な広間茶室で、親子や初心者の方にも
気軽に茶席というものを体験し、楽しんで頂きたいとの
思いで開催した茶会。
全6席、36名のお客様をお迎えしました。
小学生や小さなお子様のいる親子さんが沢山いらして下さいました。
また、私の大学の友人や茶道研究会同期も家族でお越し下さり、懐かしいひとときにもなりました。
今回のお茶会では初心者の方が多かったので、
茶席の見どころや和菓子屋抹茶の頂き方についての座学プリントも準備。
席入り、床の間の拝見も体験して頂きました。
掛軸は「弄花香満衣」 小林太玄老師筆
漢詩の一節です。
花を弄すれば香り衣に満つ 弄花香満衣
花は椿と黄房水仙。
香合は交趾焼の花喰鳥。
通常の大寄せのお茶会では終わった後にそれほどゆっくりはできませんが、
折角の和室でのひととき、床の間を見たり写真を撮って頂いたりして、ゆっくり過ごして頂きました。
先生と一緒に写真をとのお申し出もあって。
年明けに急に決めたお茶会だったため、
亭主をしたい人、水屋の勉強をしたい人、お客様で参加したい方を募ったところ、
数人の生徒が手をあげてくれました。
果敢に亭主に挙手したのは小学生。
茶会前に一緒にお稽古したのは勿論ですが、
自宅でもお母様と共に稽古し、
当日は立派な亭主ぶりでした。
最初は1席だけと言っていたのですが、自信もついたのか、
小さなお子さんが沢山入った最終席でも自ら亭主をして薄茶を振舞いました。
ちょっと間違えちゃったと言いながらも、「またお点前したいなあ~」と頼もしい声。
それ以外の4席は私が亭主をつとめさせて頂きました。
点て出しも水屋の方がタイミングを見て出せるように。皆さん、茶会ごとに成長されています。
石川県の伝統文化復興を祈り、
満開の桜を一足早く味わって頂くべく
縁あり私のところに集まってくれた茶道具で取り合わせをしました。
この水指と建水は欅の樹皮に輪島塗が施されています。
見た目はどっしりとして点前座に運び込むと存在感がありますが、
軽く持ちやすい。
点前座で写真に残すのを忘れて自宅での片付け時に写真を撮りました。
棗は、柿木章作 「花筏」
花筏というと今は川面に一面に散った桜が流れる様子を思い浮かべますが、
そもそもは筏に骨壺と花を括り付けて上流から流し、
ほどけて早く骨壺が川に流れると浄土にいけるとの謂れで、
花筏の意匠はその流れた後の姿なのです。
今回は、能登地震で亡くなられた方への哀悼、ご冥福を祈る意味も込めて使わせて頂きました。
花筏
茶杓は、「花散里」
一足早い満開の茶室=花散里で、春のひとときを味わって頂きたいという気持ちと、
今年はNHK大河ドラマも”ひかる君”ですし、光源氏に愛された花散里を思い描きながら。
お菓子は主菓子と干菓子と両方を味わって頂きたくて
薯蕷饅頭「水紋」龍月製
琥珀糖と香川の名産を象った和三盆。
最終席は、親子2組の貸し切り。2歳~小学生、しかも男の子5名と親御さん3名でした。
小さくても、今は静かにする、座るべき時間というのがわかるようで、席が終わるまでしっかり
座っていることが出来ました。
案の定、終わったあとは広い和室を走っていました。
こういうメリハリのある時間を経験することが大事だと思っています。
茶会の翌日、自宅で片付けをしながらの振り返り。春の茶碗尽くしでした。
皆さんに茶道の楽しさが伝わったのなら、
お菓子と抹茶を美味しく召し上がって頂けたのなら、大成功。
次回は大人の方がお点前をする秋の『茶遊庵』練習茶会です。