茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

茶道具 ‐柄杓その2‐

2005-08-29 21:28:12 | 茶道具
 昨日の続き。柄杓を釜に置く際の扱い方について。釜に置く際の柄杓の扱いは炉と風炉とで違う。

 まず風炉の時は3種類、真行草の3つの形がある。
この3つの形は弓道で弓矢を扱う形を模倣し、取り入れたものだとか。

真: 置柄杓(おきびしゃく) 弓に矢をつがえる時の形。湯を汲んだ後、釜の口に置く際の扱い。柄杓の中節のところを親指と人差し指で挟み、押さえて置く。

行: 切柄杓(きりびしゃく) 弓を放った瞬間の形。抹茶を点てる際、茶碗に抹茶を入れ、湯を半杓入れた後、残りを釜に戻し柄杓を置く際に行う扱い。釜の口に合を上向きに平行になるようにおき、親指と人差し指の付け根に柄を預け、親指以外の4本の指を揃えて、手の平を向こうに見せつけるように開く。

草: 引柄杓(ひきびしゃく) 弓をひいて満月に張った時の形。水を釜や茶碗に入れ、風炉に置く際にする扱い。5本指をまっすぐに揃えた形で柄の切り止めまで引いていき、最後は親指を人差し指につけ丸い指の形で置く。

 弓道の手を模倣した理由は、昔弓を作った人が柄杓を作ったからとも、平安時代、邪気や物の怪を祓う為に弓の弦を鳴らしたり矢を射ったりしたことから、点前や茶を点てる行為を清め祓う為であるともいわれる。そういわれて見ると、弓道を知らない私でもまさにその通りの手の形だ、と思う。

自分が1本の矢を射るとしたら、、、、
 弓に矢をつがえる時、静かに、息をとめるようにして精神集中させる、弓をひいた時、息を大きく吸い込み、満身の力を弓矢に集中させる、弓を放った瞬間、とめた息を吐き、的の何処を射ったか矢に集中する。
 いずれの形も精神を集中して心を込めるという意味で、柄杓を扱う際は大切な瞬間であると思う。
 最初に様々な柄杓の扱いを習った時の感想でいえば、引柄杓は難しく、切柄杓は歌舞伎の”みえ”のようで、これをやった後は、”さあお茶を点てるぞ!”と気合が入って好きだった。置柄杓には特に何も感じなかった。ただ静かに置くという感じで。

 炉の場合は、習っている方には分かりやすいと思うが、炉は畳より下にあるので、当然釜の口も畳に近い位置にくる為、柄杓の扱いはシンプルである。
 お湯を汲む時は節の下を人差し指と中指ではさむようにして取り、水を汲む時は節の下を右手の親指と人差し指ではさんで上を向くように持ち上げ、胸の下辺りで左手で節を挟んで支え、右手を柄に沿って滑らすように切止に走らせて湯を汲むように持ちかえる。
 柄杓を釜の口にかける時は合を伏せたままかけ、親指を添えて中指と人差し指で柄をはさみ持ってそのまま炉縁の方へ指を滑らして引き、畳の上に自然に置く。

 今は自然に動けるようになったけれど、こうやって振り返ってみると柄杓の扱いって色々あったなあと思った。習っている方はどの扱い方が好きですか。
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7 コメント

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柄杓の扱いについて、御質問をお願いします (ふみこ)
2016-06-17 16:32:35
はじめまして、よろしくお願いいたします。
私は、茶道初心者です。
色々と、お点前について疑問があり、先生にお尋ねしたりもするのですが、どうも私の観点がずれているようで、なかなか納得できずにおります。
今日はその中のひとつを御質問させていただきますね。
炉と風炉の場合、柄杓の釜へのあずけ方、合を上向き、ふせると違うのですが、その
理由がおわかりでしたら、ご教授願いたいと思います。よろしくお願いいたします。
返信する
柄杓 (m-tamago)
2016-06-25 20:50:51
ふみこさん、はじめまして。
お返事遅くなりました。
私の個人の考えと先日お稽古で先生に伺ったのみですが、考えたことを書きますね。
風炉、炉では、柄杓の柄の先の切り方やお点前で柄杓を釜にかける時の手の動きも異なります。
風炉、炉でそれぞれ合を上向き、下向きにするのはその動きや道具の理に叶うものだと思います。
見慣れていることもありますが、見た目にも美しいと感じませんか。
もし、風炉で合を下向きに置き、炉で合を上向きに置くなら、今の手の動きではできませんので、そもそものお点前の動きを変えなければならなくなるはずです。
ブログ読者の方で、他に何かご存知の方がおられましたら、是非教えてください。

ご質問、私は当たり前のように受け入れていたので新鮮でした。改めて考える機会を与えて頂き、ありがとうございました。
長く習っていると、お点前の順番や動き、お道具などは先人の長年の経験と知恵に基づいて、知るほどに合理的に美しくできていると感じます。
それにしても、裏千家、風炉では切柄杓、引柄杓、置柄杓、とり柄杓と沢山の扱いがありますが、他流の柄杓の扱いはどうなのでしょうか。

ふみこさんのおかげでまたひとつ課題が見つかりました。ありがとうございました。ご質問の答えになっていなかったらごめんなさい。
返信する
柄杓の向きについて (ふみこ)
2016-06-28 21:35:22
お返事頂き、深く感謝いたします。
私は江戸千家を学んでおります。
様々な疑問が生まれます。経験を重ねることで納得のいくこともあると思います。
流派は違っていてもこちらの徒然日記は大変にお勉強になります。
今後とも、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
返信する
柄杓の置き方 陰と陽から (ふみこ)
2016-07-05 17:20:23
こんにちは、お世話になっております。
よそ様のブログを読んでいましたら、陰陽五行についての記載があり、
風炉、それに使用する香木、香合は陽
炉、香、香合は陰などなどありました。
とすると、柄杓を、仰向けは陽、伏せておくのは陰などとの解釈は乱暴でしょうか?
初心者ゆえ、茶道と陰陽のつながりも最近聞きかじった次第です。どうぞご教授のことよろしくお願いいたします。
返信する
柄杓 (m-tamago)
2016-07-31 11:55:13
ふみこさん、御返事が遅くなり申し訳ありません。
パソコンの調子が悪く、修理に出したら1か月かかりやっと手元に戻りました。

江戸千家でいらっしゃるとのこと、また違いなど教えて下さい。

柄杓のことですが、おっしゃる通り、上向きに置くのは陽、下向きに置くのは陰です。棚に荘る時にはよくそのように言います。
茶道と陰陽の繋がりには、興味深いものがあります。
私も勉強中です。
奥伝を習ってからの方が色々と合点がいくことが増えていくと思いますよ。

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陰陽 (ふみこ)
2016-08-06 21:04:26
お返事をありがとうございました。
じっくり習い、学んでみます。
感謝いたします。
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陰陽 (m-tamago)
2016-08-18 21:13:55
ふみこさん、また新たな発見や疑問があったら教えて下さいね。

私は今、小習いのお稽古からはじめていますが、お稽古の度にまた違った新たな気づきがあり、楽しいです。

お互いじっくりと茶道に向かい合っていけるといいですね。
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