茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

茶道具 ‐茶杓‐ 

2005-07-23 02:02:30 | 茶道具
 茶杓の銘については既にご紹介しているが、それ以外のことについて。
 茶杓の原型は中国から薬用として伝わった茶を掬う際に使用していた象牙の匙。
茶の湯とともに伝わり、竹でこの形を写したといわれている。
素材には、象牙の他に、竹・梅・松・桜などの木で作られたものがある。
象牙の茶杓は上の点前になると使用するが、通常は竹の茶杓が一番ベーシック。
竹素材のものは竹を縦に割って作るが、節(竹のつなぎ目)のある場所によって3種類。
真行草とあり、点前によって使い分ける。
中節(なかぶし) 草
元節(もとぶし) 行  止節(とめぶし)とも言う
無節(むぶし)  真

 茶杓は作者の好みで銘をつけ、筒にいれ、更に箱に納めた形になっている。筒も茶杓の作者が作ったものを特に共筒(ともづつ)といって特に大切にする。しかし、古い時代のものは共筒でないことも多く、後世の茶人が筒を作って入れたものもある。
 利休時代には銘はついていないのがほとんどで、その代わり、茶杓を送った相手の名前が筒に書いてあることがある。これを送り筒と呼ぶ。宗旦の頃から銘のついたものが多くなり、これまでご紹介したような季節の銘や禅語、古歌や自作の歌を書いて銘とした歌銘というものもある。

 匙の先を櫂先(かいさき)というが、これは竹を縦に割った後、曲げる部分を蝋燭で焦げないようにあぶりながら徐々に曲げて作っていく。それから削って形にしていくので、一言に茶杓といっても、薄作りのものから厚いもの、節が強く曲がっているものからなだらかな優しい形のもの、竹の筋が縦に入っているもの入っていないもの(これを樋といい、筋が入っている方が抹茶を掬い易く景色もよいので喜ばれる)など様々。
 縦に割った竹を根元に櫂先がくるように作ったものを順樋(じゅんひ)、穂先に櫂先がくるように作ったものを逆樋(さかひ)といい、それだけでもまた景色が違う。
 そして掬う一番先端の部分(露という)の形も様々で剣先形、一文字形、丸形、兜巾形など。露の形には千家代々のお好みというのもある。
 また、茶杓の後ろには刀傷がある。これは露の形と同じで代々の家元によって形や傷が決まっていて、見るとわかるそう。私はお恥ずかしいながら見分けがつかないが。。。
 
 作り方をみていると茶杓を作るのは根気のいる作業のようですが、自作の茶杓を茶会で使うのはご馳走でもあるので、私もいつかチャレンジしてみたい。
 盛りだくさんになってしまいました。小さな茶杓ひとつとっても様々な景色があるので、じっくり見ると結構楽しい。注意して見てみて下さい。
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